浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



生鰹節甘酢かけと瓜もみ、雷干し準備

5月29日(月)夜


例の、「剣客商売で十品」の撮影の参考に、
剣客商売・包丁ごよみ」(新潮文庫)を見ていて、
瓜の雷干し、に、先週から目がとまっていた。


いや、瓜の雷干しは、前から気になっていたのでは、あった。
秋のものをシコタマ作ったが、今は初夏。
瓜の季節である。瓜を食わねばいけない。


瓜の雷干し、と、いうのは、池波先生の作品にはよく登場する。


剣客商売はもちろん、その他の小説、エッセイにも登場する。
前に書いたが、「その男」(文春文庫)で、あったか、
伊庭八郎行きつけの上野広小路の料亭
〔鶏八十〕の板前、鎌吉も作ったように思う。

また、先生が子供の頃、お婆様であったか、曾お婆様であったか、が、
よく作られ、先生も、好きであった、と、いう。


瓜もみは、何回か作っているが、


雷干しは、筆者は食べたことがなかった。


どれほど、うまいものなのか。
やってみなくては、ならない。
このことで、ある。


前出の『包丁ごよみ』の近藤氏のレシピ以外にも、
いくつかレシピを調べる。


会社帰り、近所のスーパーに寄り、白瓜を二本購入。
(事前に電話をかけ、あるのを確認。)
千葉産。


瓜だけではしかたがない。
生鰹節。
切れっ端が、¥70で売っていた。
甘酢かけ、がうまいであろう。購入。


帰宅。


雷干しは、干さなくてはならぬので、今日は食べられない。
一本の半分を瓜もみにしよう。


薄めに切って、多目の塩で揉んで置いておく。
何回か作って、塩分は濃い目がうまい、ように思っている。


さて、雷干し。


これは瓜を螺旋状に長く切って、干す、のである。
この切り方、やってみると、さほど、難しくはない。


まずは、3cm〜4cmの長さに切る。
次に菜箸などを中心部分に突き通して、種を抜き取る。
そして、俎板の上に置き、縦に包丁を半分をほど入れ、
瓜を手前に回転させながら、わずかに斜め、切っていく。
なぜこれで、螺旋に切れるのか、どうにも文章では
描写ができない。
(ご興味があれば、やってみていただきたい。
手に持って切るのは難しそうだが、置いて切れば
簡単である。)


厚みを揃えるのは、なかなか難しい。2〜3mmから6〜7mmと
ばらついてしまった。


これを、塩水、または、昆布だしに塩を入れたもの
あるいは、白だしを入れた水、色々なレシピがあるが、
まあ、塩の水に10分から30分、漬ける。
そして、1時間から3時間、干す。


さて、生鰹節。
切れっ端は手でちぎって、甘酢をかける。


瓜もみ。
味を見る。
ちょっと塩辛い。
軽く水で洗って、よく水気を拭き取る。


さてさて、これも、茶碗酒。


湯呑みに酒(菊正宗、冷)。





やはり、瓜もみは、塩気が多目がよい。


瓜もみと、生鰹節の甘酢かけ。
これはもう、なにも、いうことがない。
筆者には、かけがえのない、
江戸・東京の、初夏の味覚である。




さて、雷干し。
拙亭のコギタナイ、ベランダの物干しに干した。






3時間、と、いうことなので、寝る前に、取り込み、
容器に入れ、冷蔵庫に仕舞い、食べたのは翌日と翌々日。
どんな具合か。乞うご期待。
(ちなみに、この後、金山時味噌をつけてそのままと、
だししょうゆに漬ける、の二種類で食べてみた。)