浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



元浅草ラーメン稲荷屋/竹町武井食堂

さて、今日はご近所二店。

4269号

1月30日(月)第一食

相変らず、寒い。
寒中なのでまあ、あたり前ではあるが。

今年は大寒が1月20日、旧暦の正月1日が1月22日。
中国で春節といっている日。
2月3日(金)が節分で翌、4日(土)が立春
これで寒が終わるということになる。

毎度思うのだが、立春と旧の正月元日は随分ずれている。
わかりにくいではないか。同じにすればよいのに、と。

歌舞伎「三人吉三」の有名な大川端庚申塚の場

「月も朧に白魚の 篝も霞む春の空」

台詞途中
「御厄払いましょう、厄落とし」

と、厄払いの声が入る。
そして、最後が
「こいつぁ~春から縁起がいいわぇ」

これは節分の夜で、翌日が立春
落語にも「厄払い」はあるが、節分の夜に、
厄払いの口上をする門付け芸人が回ってくる
習俗があった。
文楽師の音が残っているが、正月初席で演る噺であった。

節分立春は旧の正月と1週間前後ずれており
年中行事としてなにか妙な感じもするのである。

暦は元日があって、七草があって、15日の
小正月がある。この間に、節分と立春が毎年ずれながら
入っているということになる。ちなみに今年は立春
旧の1月14日。また正月元日は一般に初春というが、
実際は寒中である。
妙ではないのか。

そもそもなぜ違っているのであろうか。

いや、それはあたり前か。

旧暦というのは太陰暦、つまり月の満ち欠けの暦。
立春だの節分などの節季は一年の太陽の動きに
基づいている。
月と、太陽の動きはずれているというのか、
別である。つまり、以前は太陽暦太陰暦
ある意味混在していたともいえよう。
まあ、理屈はそういうことであるのはわかる。
だが、その頃は妙ではなかったのか。
まあ、閏の月などあったので、妙なことは
もっとあったのではあろうが。
妙なのが、あたり前であったということか。

ともあれ。
やっぱり、温かい汁物。
どうしても、うどん、そば、ラーメンが多くなってしまう。

今日は手近で、ご近所元浅草二丁目、浅草通り沿い
稲荷屋]。

13時半頃。
背脂、太麺。

背脂が食べたくなると、ここか、蔵前[元楽

である。
元楽は、ギトギト、濃厚だが、ここは背脂だが、上品。
毎度書いているが、ここのしょうゆスープは、
濃厚なコンソメスープに近いように感じる。
これが上品なのである。
わかりずらいが、実はにんにくがガツンと効いている。
これもよい。

うまい背脂、で、ある。


台東区元浅草2-10-13 島田ビル 1F
03-3841-9990


竹町武井食堂

1月31日(火)第一食

たまにはご飯ものも食べたくなる。

そんな時には、竹町の[武井食堂]で、オムライス。

町中華というよりは、町の大衆食堂、と
いってよいだろう。

ラーメン、チャーハンなど中華があって、トンカツがある。
普通のとんかつやにはない、ここはかつ丼もある。
かと思うと、オムライス、も、ある。
焼肉定食などの定食類。
これで大衆食堂。

で、私は、ここではかつ丼の場合もあるが、
オムライスの方が多いだろう。

オムライス。

中はこんな感じ。

ふわとろではなく、しっかり焼いた薄い玉子焼き。
私はこちらの方が実際は好み。

入っている肉は鶏ではなく、豚ではなかろうか。
以前はケチャップライスは、チキンライスが最も
うまいと思っていたが、今はハムでも豚でも
うまい。

オムライスというもの。
洋食や意外では今、あまり食べられないであろう。
以前の食堂ではオムライスは定番メニューであった
のであろう。(喫茶店にもあったかもしれぬし、
どうかすると社食などにもあった。)

上野・浅草界隈、洋食やは多いが、こういう
気軽にひょいとこれる大衆食堂、今はかなり
希少な存在、で、ある。

ご馳走様でした。


03-3831-6430
台東区東上野2-2-911

 

 

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浅草千束通り・ふぐすっぽん・つち田

1月29日(日)夜

相変らず、今日も寒い。

また、というべきか。
ふぐ、で、ある。

内儀(かみ)さんの希望。

昨年、10月に行った[つち田]へ。

一応予約をしておいた。
日曜日もやっているのはありがたい。
浅草の飲食店というのは意外に日曜営業が多い。

17時半から。

元浅草からタクシー。1000円程度。

千束通りに入って、パチンコやのある交差点で
降りる。
[つち田]はその一つ先の路地を右に入ったところ。

入って名乗り、調理場脇の細いところを通って
奥の座敷へ。

前回と同じ突き当りのお膳へ。
掘りごたつ式。

寒いのだが、鍋ではなく、やっぱり焼きふぐのコース。

ふぐというのは、基本、鍋なのであろう。
だが、私は、焼いた方がうまいと思うのだが、
どうであろうか。

まあ、東京では元来ふぐを食べなかった。
東京に限らないか、東日本は食べる習慣はなかろう。
西日本のもの。

鍋にしても、刺身にしても子供の頃からまったく
縁がなかったのが影響しているのかもしれぬ。
ふぐを食べるようになってそう長くもない。
まだふぐの味というものがわかっていない、のかも
しれない。

ともあれ。

焼きふぐコース。
寒いが、最初はやっぱりビール。

先付けというのか。
つぶ貝と、左の小鉢がまぐろ。

まぐろは、甘辛く煮た佃煮のようなものかと
思ったら、ヅケというのか、生。
胡麻がまぶされたもの。
数回食べたことがあるか。胡麻漬けまぐろというらしい。
西の割烹系の料理であろうか。

刺身がきた。

縮尺がわかりずらいかもしれぬ。
二人前でこの皿だが、30cmもないほどで、そう大きくはない。
ふぐというのは、こうして皿が透けるほどの厚みに
切るのが普通だが、さらに1.5倍ほどの厚みに切ったら
どうなのであろうか。厚い方がふぐのうまさが
わかりやすいと思うのだが。むろん、高価なもので
見た目、寂しくなるのだが。
白身だがコリコリとした食感と、うまみ、で、あろう。

から揚げ。

ふぐは、から揚げもうまい。
やっぱりコリっと、しっかりした歯応え、がうまい。

お酒、お燗に。大関。浅草は大関が多いかもしれない。

焼きもきた。

ガスに火をつけ、おかあさんが網にのせてくれる。

骨の付いたものから。
最初はつきっ切りで焼いてくれる。

こちらは、骨のないもの。

昆布で〆ているのである。
水分を抜くのと、うまみを加えている。

ヒレ酒。

ご存知の通り、熱くした日本酒に漬けると、
色もつくし、うまみが出る。

ヒレ酒というのは、いつ頃からあるのであろうか。
ふぐが最も有名だと思うが、他の魚でもやるのか。
調べてみると、鯛などでもやるようである。
ふぐが最初であろうか。

いわななどは骨酒というのがある。
骨やヒレは焼いて、出汁を取ったりもする。
こちらが先なのかもしれぬ。
出汁が取れるのなら酒に入れてもうまかろう、と。

ともあれ。
まったく、こんなこと誰が考えたのか。
偉いもんである。

さて、焼きふぐ。
骨付きは焼けるのに時間が掛かるよう。

おかあさんが、焼けたのから皿に取ってくれる。

軽く焦げるくらいが食べ頃のよう。

やはり、ふぐは骨のまわりがうまい。

骨付きを食べ終わって、骨のない切り身も
平らげる。

食べると、雑炊。

焼きふぐだと、雑炊はできないのだが、
ちゃんと作ってくれる。

少しだが、身も入っている

これもまた、うまいもんである。

大満足。
うまかった。

勘定は、24,530円。

ご馳走様でした。

タクシーを捕まえてもらって、帰宅。

 

つち田

台東区浅草5-9-7
03-3875-1779

 

 

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フレンチ・銀座・マルディグラ

4267号

1月28日(土)夜

さて、銀座[マルディグラ]で、ある。

あの和知徹シェフの店。

毎度、私がステーキなど肉料理で参考にさせていただいている
フレンチシェフ。

NHKが多いと思うが、TV、特にステーキのプロとして
出演されることが多い。
なん度も私も視ているがキャラクターもなかなかおもしろい。
好感が持たれる方。あー、この人、肉が大好きなんだなぁ~、と。
有名シェフもいろんなキャラクターの人がむろんあるが、
たのしそうに料理をする人はよい。

1967年淡路島出身。フランス修行後フレンチの[ヒラマツ]を
経て01年独立。この店は20年以上ということになるよう。

なかなか予約が取れないのかもしれぬが、少し前に
TELをすると予約ができた。
ラッキー。

18時半から。

場所は銀座八丁目。銀座通りの西側の裏通り。
いわゆる銀座のクラブ街。
ビルのB1。

見つけるのに、ちょっとうろついてしまった。
なんのことはない、おでんの銀座[お多幸]の地下で
あった。

地下に降りて、ドアを開けて名乗る。

細長く、そう広くはない。奥にオープンのキッチン。
おお。和知シェフが見える。

席に着く。
メニューはコースはなく、アラカルトのみ。

ビールは、ハートランドがあったので頼む。

さて、オーダーは?。
やっぱり、肉が看板なので、二人でメインの肉を3品で
前菜1品はどうかと考えてきた。

おねえさんに相談してみると、メイン2品と
前菜2~3品がよいのでは、とのこと。

では、前菜、
おすすめの、下仁田ねぎのグリル、
新人参のラペ、フンムスがあったのでこれも。

メインは、看板らしき、新男のハンバーグ、と
やっぱり、牛ステーキ。
牛ステーキはいくつかあるのだが、メニューの
筆頭にある、青森田子牛フィレ200g。

パン。

いや、奥の黒いのはパンだが、手前はオムレツ?。
じゃがいも入り。
スパニッシュオムレツだ。

下仁田ねぎ。

ロースト。繊維に沿ってナイフを入れて食べる。
オリーブオイルと塩のみか。
流石にかなりあまい。
こういうものなのだろうが、土の味?。

よい写真を撮っていなかった。

人参のラペと奥がフンムス。

ラペというのはフランス語で千切り、らしい。
フンムスは私も作るが、アラブ料理。ひよこ豆のムース。
和知シェフの本にもレシピが入っていたので、
お好きなのであろう。オリーブオイルが入り、レモンの酸味を
利かすことが多いと思うが、ほぼ塩のみ?と思うほど
シンプル。

そして、これが、新男のハンバーグ。

ハンバーグ、チーズ、ゆで玉子、ソース。
ソースは甘いマデラ酒。

カット。

玉子は半熟、煮玉子?。
ハンバーグは、シェフはたくさんのレシピを
お持ちなのであろう。私が真似している水分の多い
肉汁ジュワではない。
どちらかといえば、液体分は少ないよう。
そう、なんでもかんでも肉汁ジュワがよいと
思うのは大間違いである。
ハンバーグでもいろんなうまさがあるのである。

これ、なにか独特の特徴的な風味がある。
なんであろうか、食べながらずっと考えていて、
わかった!。
血の味。おそらく、レバー。豚の。
ほんの少しだと思うが。

やはりこのハンバーグ、ユニーク、無二といってよいだろう。
流石の和知シェフ。

そして、ステーキ。

二皿に取り分けてくれた。

切る。

いわゆる霜降りではないのか。
フィレだからかなり柔らか。
火の通し方は、もしかすると低温調理後焼いている?。
ふんわり。赤いが、まったくドリップは出ない。

ソースは前のハンバーグに近いのか?。
酸味と甘み。

付け合わせはじゃがいものガレット。

やはり、流石、で、あろう。

うまかった、うまかった。
会計は二人で23,800円也。

難をいうと、中は、シェフとアシスタント一人で、
メインが出るのに時間が掛かった。
それもあって、前菜を勧められたのかもしれぬ。

以前は、オーソドックスなコースのみで
あったともいうが、メインの肉料理と軽めの
前菜に絞った今の形式は、形ではなく出したい肉を
出すということにしたかったのかもしれぬ。

日によってランチもやっているよう。
銀座はちょっと遠いかな。

 

ヒトサラ

Facebook

03-5568-0222
中央区銀座8-6-19 野田屋ビルB1F

 

 

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ミラノ風カツレツ

4266号

1月27日(金)夜

さて、ミラノ風カツレツ、で、ある。

昨日、豚ロースを1パック2枚買ったのだが、
昨日は、焼いて塩胡椒だけで食べた。

豚ロースソテーというのか。
これでも十分にうまい。

で、今日は残った一枚、考え付いたのが
ミラノ風カツレツ

バリエーションはたくさんあると思うが、
最も基本的な豚ロースにパルミジャーノレッジャーノ
の衣を付けて、揚げ焼きにしたもの。

なん回か作ってはいるが、なかなか段取り、
というのか、手際が難しい。

材料は全部ある。

小麦粉、卵黄、パン粉・目の細かいもの、
バター、オリーブオイル。

付け合わせは、冷蔵庫に残っているえのきを
一緒に炒めればよいか。

まずは、豚ロースを叩いて、薄くする。
ラップにはさんで、堅いワインビネガーのガラス瓶で。

ラップを二つ折りにしたので、折り目の部分が
伸びない、、。おわかりであろうか。
この写真で右側。
二つ折り、ではなくて、二枚のラップで挟むべき
であった。
、、まあ、よいか。
このまま行ってしまえ。

両面塩胡椒をし、両面小麦粉。

パン粉の容器も用意、また、パルミジャーノレッジャーノも
おろしておく。

小麦粉→卵黄→パルミジャーノレッジャーノ→パン粉
この順で衣付け、なのだが、この段取り、手際がどうも
むずかしいのである。

上の、最初の小麦粉はなんの問題もない。
問題は次の卵黄なのである。
全卵丸々の溶き玉子であれば、まぶすのはなんら問題ない。
玉子1つで卵黄一つ。これを肉にどう塗るのか。
平たい容器に卵黄のみ広げると、容器にくっつく分で
終わってしまうのである。
1枚に塗るのに4個は必要になる。

今回は、口径の狭い器に卵黄、二つ分。
これをティースプーンで塗ってみる。

先に、ラップ上で。

この状態から串に刺して表裏をひっくり返して、パン粉へ。

パン粉の上でもう片面も卵黄を塗る。

卵黄を塗るという意味では効率はあがる。
卵黄二個分が少し余るくらい。
肉二枚だとちょっと足らないくらいか。

ここにパルミジャーノレッジャーノ。

お気付きであろうか、これでは片面にしか
まぶせない。

卵黄をスプーンで塗った影響である。
仕方なかろう。

この上にもパン粉を掛け、しっかり押しておく。

フライパンにバターとオリーブオイル。

中火。衣を付けた肉を投入。

スプーンで上からも掛ける。
衣を早く固めたい、という意図である。

片面、焼き色が付いてきたら、ひっくり返す。

えのきも場所を作って入れる。

えのきとともに焼き上がり。
えのきに塩胡椒。

油を切って、皿へ。

ビールを開けて、切る。

切り口はこんな感じ。
問題なく、火は通っている。

やっぱりパルミジャーノレッジャーノが少なかった。
塩味が少ない。
残りがあったのでかけながら食べる。

そして、もう一つ。
やはり、まだ厚かった。ラップを折るのではなく、
二枚で叩くべきであった。

うーん、やっぱり難しい。
卵黄とパルミジャーノレッジャーノの付け方、
なにかよい方法は、なかろうか。
無駄を承知で大きな容器に広げるしかないか。

 

 

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上野・そば・翁庵

4265号

1月26日(木)第一食

さて、またそば。

今日は、上野の[翁庵]。

先日、神田[まつや]を書いた。

居心地のよい老舗そばやとも書いた。

今、東京のそばやもかなりのバリエーションができている。
その中で、自分がそばやに求めるもの、というのは
なにか。まあ、時代とはずれているかもしれぬが。

これも先日書いた、ミシュランの西浅草[ひら山
はそばも料理もうまい。
趣味そば系?、だが、味もサービスもプロであり上級。
よい店で出掛けるだろうが、ここも少し違う。

[まつや]の回に散々書いたが、浅草、上野の
ご存知の二軒の老舗も違う。

通し営業で、ご飯ものもあって、というのは、
池波先生のご意見に従う。
ご飯ものは私などはあってもなくともよいのだが、
象徴的に、庶民的、敷居が低いと考える。
上野[翁庵]は通し営業でご飯ものもある。

通し営業というのは、私のような変な時刻に
行く者にはよい。
そして、昼時は、お昼を食べにきたお客さんに
わるいと思うので、TPOとして避けるべきだが、
昼食のお客が引けた午後、早い時刻でも、
一杯やれるところ。
これが私などには、通し営業のよさ、で、ある。

今、東京の町の蕎麦やでも通し営業はほぼない。
オフィス街などでは半端な時刻には、お客は
こなかろう。

上野[翁庵]は場所のよさ。
浅草通り沿い、上野警察前、上野駅前といっても
よいであろう。
通し営業で、半端な時刻にもお客が絶えない。

それから、蛇足だが、そうは見えぬが上野[翁庵]も
立派な老舗。
神楽坂[翁庵]の分かれで明治32年(1899年)創業
で、ある。
敷居が高い方が、老舗っぽいというのも妙ではあるが。

小洒落てなくともよい。通し営業で、東京のそばやが
伝統的にしていたサービスを今でもちゃんとしている
ところ。
まあ、そばの味が、ひどすぎてもだめ、ではあるが、
ある一定以上であれば私はまったくかまわない。
前回も書いたが、サービス、居心地がだめであれば、
どんなにうまくとも、歴史と名のある老舗でも
そこへは継続して行けない。

そばやというのは、食い物やでありながら、
居酒屋のように呑めて、喫茶店のようにくつろげる、
そんな場所とでもいおうか。

今、地元、上野、浅草でこれらを満たすのは、ここと
雷門[尾張屋]だけではなかろうか。

今日、寒い中自転車で到着は、3時半前。

各テーブルに一組程度の客の入り。
この時刻であれば、食券を買うようにはいわれない。

あいていた窓側の飾りの囲炉裏のあるテーブル。

壁を背に掛ける。
天井の角にTVがあるのもこの店らしくよい。

お酒お燗と、つまみは板わさ。
そして、看板のねぎせいろ。
ここでも、ぬる燗ではなく、ただお燗といってみた。
そばと、お酒を同時にいう。

ここは、つまみは伝統的な、町の蕎麦やのものしかない。
もう少しなにか、とも思うが、まあ、料理やではないので、
これでよし。必要条件ではない。

板わさ。

お燗もきた。
湯気が出てるほどではないが、気持ち、熱燗寄りか。
やっぱり、お燗といっても、熱めにするのが
この店でも普通になってしまっているのか。

お通しは、枝豆。ここは年中これ。

酒を持ってくるときに、お姐さんは、ちゃんと、
そばはどうしますか、と聞いてくれる。

例によって、持ってきてくださいと、頼む。

二本も三本も呑むわけではなく、呑みながらも
そばは喰えるので、このくらいの時間差で私の場合は、
OKである。
ただ、これで、完全に酒とそばを同時に持ってこられても、
それはそれで違うのである。
場違いなところは、おそらく逆に合わせている可能性は
高いのだが、一緒に持ってきてしまう。むろんこれは論外。
ともあれ、やはりここで一言聞いてもらいたい。

また、趣味そば系にありがちだが、お通しのないところ。
これもちょいと、寂しい。伝統的にはそばやはそば味噌だが、
なめるもの、枝豆でもなんでもよい、なにか添えてほしい
ではないか。

そばやでなくとも、お通しのない食い物やというのは、ある。
お通しを出さないというのは、うちは呑む店では
ありません、という意思表明なのであろうか。
まあ、それはそれで理解はできるが。
(料金を取るのか取らないのか、という店側の問題は
あるかもしれぬが、それは置いておいて。)

しかし、そばやは明らかに呑むことが前提の業態と
いうのは異論はなかろう。酒とともにお通しを出さない
となると、他の料理を一品は頼めということか。
頼んでもむろんよいのだが、気持ちの問題である。
そばやでは、お酒一本と、そば一枚あるいは一杯で
すますというのも選択肢として用意するのも東京の
そばやの習慣、伝統であったのではなかろうか。
敷居の低さ。ちなみに、先の[ひら山]はお通しはなかった。

ねぎせいろもきた。

ちょっと緑がかったのもここのそばの特徴。
つゆには小さないかの入ったかき揚げ。
このかき揚げは特段かわったすごいものではない。
これでよい。

かき揚げをつまみながら、残った酒を呑む。
そして、つゆでそばを手繰る。これでちょうどよい。

立って勘定。
ご馳走様でした。


台東区東上野3-39-8
03-3831-2660

 

 

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味噌煮込みうどん

4264号

1月25日(水)第一食

10年に一度の寒気、とのこと。

日本海側だけでなく各地で大雪。
京都ではJR西日本の列車に多くの人が長時間
閉じ込められたり。

東京も今朝の最低気温が-2.9℃。
どこかで雪もちらついたようだが、基本は晴れ。

風も強い。ベランダの植木鉢が二つ、昨夜飛んでしまった。
朝、植木鉢に水をやると瞬く間に凍ってしまい、
日は出ているのだが、日陰になっているので
昼になってもまったく融けない

こう寒いと、うどん、だ。

鶏肉もももがあるし。
煮込みうどん。

東京のそばやでも、土鍋で出てくる、
しょうゆ味の煮込みうどんは定番である。
風邪を引いた時などは、絶好である。

うどんは、乾麺で問題なかろう。

ん!。いや、待て。

どうせ煮込みなら、味噌煮込み!。
名古屋名物、味噌煮込みうどん。

名古屋の味噌煮込みうどん、というのは、うまい。
好物といってよい。
30代の頭、3年弱だが、名古屋転勤で住んでいた。
この時に、名古屋の味噌煮込みうどんにはまった
わけである。

名古屋の味噌煮込みうどんというのは、
スガキヤのインスタントもあるし、外のうどんやでも
必ずあるが、やっぱり [山本屋本店]。

名古屋の人でも贔屓でないこともあるようだが、
私は麺が堅めのここのものが気に入った。
以来、名古屋へ行けば[山本屋本店]に必ず寄っていたし、
なん度も再現を試みていた。

また、コロナになって[山本屋本店]のものを
取り寄せたりもしている。

うまいもんである。

名古屋の味噌煮込みうどんは、基本八丁味噌ベース
なのだが、濃厚でかなり複雑な味。
八丁味噌自体は豆味噌でうま味成分が少ないので、
味噌汁でも米味噌を足す。また、出汁は濃厚に取る
必要がある。

最初に鶏肉を解凍しておく。

出汁を取る。

混合の厚削りというのがある。
東京でもそばの出汁のベースになる。
これに、煮干。煮干は頭と腹を取る。

煮立てて、弱火で煮出す。火を止め30分ほど置く。
ここにノーマルな鰹削り節を加え、もう一度煮立て、置く。

どうであろうか、色も濃く、濃厚に取れたのでは
なかろうか。

乾麺のうどんはそこそこ太いもの。
[山本屋本店]は土鍋で乾麺のうどんをもどす。
洗ったりしないので、うどんのぬめりもつゆに入る。
これもポイントの一つである。

さて、土鍋。一人前用の土鍋ではちょっと小さい。
取っ手の付いた金属製の煮込み鍋があるので、
これにしようか。

麺は、ここにも直に入らないので、フライパンに
少量の水で下ゆで。

このゆで汁ごと鍋へ。
濃く取った出汁、油揚げもあるので短冊に切って入れる。
鶏肉も。

ここに味噌。
八丁味噌に信州味噌、半々程度。

しばらく煮込み、味見。
う-ん、八丁味噌と信州味噌を足し、さらに日本酒、
みりん、そして、冷蔵庫の奥に隠れていた、
江戸甘味噌。ちょっと水分が飛んでいるが、妙な
味はしないでの足してみる。

再度煮込んで、味見。
大分濃厚になってきた。
気持ち、甘めになってしまったので、塩を足す。
こんなもんでよいか。

長ねぎを五分に切って、冷蔵庫にあった
えのきも入れてみよう。

火を通して、出来上がり。
薬味用のねぎも切って入れる。

味噌煮込みうどんの出来上がり。

アップ。

よく煮えた。

煮込んだのでうどんからとろみが出て、
つゆもとろとろ。

これはこれでバランスは取れたのだが、
もう少し、八丁味噌が強くてもよかった。
名古屋の味噌煮込みうどんはそうであった。
色はよいのだが、江戸甘、みりんで甘み方向に
バランスを取ってしまった。

だが味噌煮込みうどん、うまいものである。

なにしろ、温まる。

そして、濃厚。

あー、、、玉子を入れるのを忘れていた。
八丁味噌ベースの名古屋風味噌煮込みうどんには
生玉子は必須であった。

 

 

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両国・山くじらすき焼き・ももんじや

4263号

2022年12月29日(木)夜

旧臘のことで恐縮だが、ここは記録のためにも
書いておきたい。
暮れと新年のドサクサで書き落としていた。

毎シーズン必ず行っている。
両国の[ももんじや]。

猪鍋、で、ある。

むろん、私も好きなのだが、どちらかといえば、
内儀(かみ)さんの方が上なのではなかろうか。
毎年、行きたがる。

享保3年(1718年)創業。
享保というと、暴れん坊将軍吉宗の治世。

私達が今思い描く、江戸っ子がいる江戸らしい江戸、
にまだ江戸がなる前といってよいと思う。
江戸時代の真ん中は1735年で享保の最後の年、20年。
それよりも少し前。
享保よりも前、例えば元禄あたりでは、まだまだ
京、大坂、上方のほうが文化的には上で、江戸は田舎。
江戸に住む江戸人が、ある程度江戸人であることを
誇りに思うようになるのは、もう少し後、私は、
蜀山人太田南畝先生の頃からと考えている。(南畝先生は
田舎者をディスッたりし始めている。)世の中は田沼時代、
あるいはその後の松平定信の寛政の頃。享保からは
まだ50年ほどある。
さらに、江戸らしい、浮世絵が流行ったり、うなぎの蒲焼、
にぎり鮨が出てくる、文化文政期はさらに後、[ももんじや]
の創業から百年もある。

まあ[ももんじや]の創業はそれほど前、
ということになる。
東京で現代まで続いている料理やの暖簾では二番目に
古いのではなかろうか。むろん私の知る限り、だが。
最も古いのはどこかおわかりになろうか。
今、残念ながら一時閉店中で再開が待たれるが、
あの根岸の豆腐料理店[笹乃雪]で元禄4年(1691年)。
[笹乃雪]は上野の宮様に随行して京から江戸へきた
ので古いというのは納得できるが。

ともあれ[ももんじや]。

京葉道路沿いにこのぶらさがっている剥製。
やっぱり、グロい。
以前は、もっと薄暗く、ほんものを下げていた、、、。

玄関。

微妙に開店前で、ちょっと待つはめに。

開店と同時に入る。むろん、予約はしてあった。
なかなか人気のよう。

二階の座敷。

ガスもついていないので、部屋がまだ寒い。

猪鍋のコース。
特に他のものは、頼まない。
そして、寒いがビール。

煮込み。

味噌味で、猪の筋であったか。
かなり、うまい。いつも思うが、もっとほしい。

つゆが張られた鍋がきた。

つゆだけではなく、味噌も入っている。

火をつけ、猪肉が入る。

豚肉とは脂身の部分など随分違う。
イノシシとブタとは生物学的には同じという。

まあ、豚肉でも鹿児島の黒豚だったり、スペインの
イベリコ豚だったり、見た目も味も随分違うが。

毎度書いているが、猪肉は、すぐには食べられない。
いや、食べても別段生ではないので大丈夫なのだが、
堅い。

だが15分程度煮ると、これが驚くほど柔らかくなるのである。
スマホのタイマーをセット。

野菜も入る。

根っこ付きの芹、長く切った白ねぎ、
ちょっと写っていないが、豆腐、白滝。

やっぱりごちゃごちゃ入らない。
これも江戸前鍋といってよいだろう。

肉が煮えるのに時間がかかるので、すぐに火が入る
芹などは後でもよいのだが、やっぱり腹が減っているので
先に入れてよいだろう。

芹はそろそろいいかな。

我慢できず食べ始める。

寒いので燗酒に。

やっと、タイマーが鳴った。
芹はほぼ食べ尽くしている。
肉は柔らかくなったか。

この味噌のつゆはそこそこ甘め。
この赤黒い色、ここもあの江戸伝統の味噌、
江戸甘ベースなのであろう。

ふむふむ。
猪肉はちゃんと柔らかくなっている。

脂身が多いようだが、不思議なことに、
豚肉ほど、ギトっとした感じではない。
なぜであろうか。
思いの他さっぱり。

あらかた食べ終わると、飯を頼む。

ねぎと温泉玉子。お新香。

鍋に残ったつゆと温泉玉子、ねぎを
ご飯にぶっかけて、掻っ込む。

これがまずかろうはずがない。

ご馳走様でした。
うまかった。


ももんじや

墨田区両国1-10-2
03-3631-5596

 

 

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