4620号
引き続き、浅草[弁天山美家古寿司]。
昨日は白身、鯛、平目昆布〆、白いか、まで。
まだ白身。目の前のショーケースにもう一つあった。
若親方に聞くと、鱸(すずき)。
もちろん、もらおう。
これも厚切り。
鱸は夏から秋のもの。
秋になるとやはり脂がのり、落ち鱸、などという。
うまみのある白身。
今も東京湾に鱸はたくさんいるようで、獲っても
いるが、やはり鮨やに並ぶのは、三陸のものが
多いよう。
そして、これもあった。
しまあじ。
適度な脂ののりと、うまみ。
そして、ちょっとしっかりした食感
やはり、いつ食べてもうまい。
しまあじは、漢字で書くと島鯵、らしい。
知らなかった。
しまあじは、東北以南の沿岸、比較的浅い海に暮らす。
今は養殖が確立し、ほとんどが養殖物で味もよい、と。
江戸期の江戸でやはり食べられていたよう。
だが、さすがに江戸湾にはおらず、伊豆諸島から
運ばれたものが食べられていたよう。
それで、島鯵、と。ほう。
江戸前ではないが、江戸前鮨として正しい種と
いってよいのであろう。
また、昔から、鰤、島鯵は白身に入れるものであったよう。
(ぼうずこんにゃく)
そして、そう。
これ。
小肌!。
開いた比較的小さいものの二匹づけ。
この形も、きれいなもんである。
このひねっている具合もよいではないか。
これでも、新子ですか、と聞くと、そのよう。
先日食べたものから比べると随分大きい。
いや、むしろこのくらいの方が、よい、のかもしれぬ。
あれは小さすぎだったかも。
あれから、考えたのだが、小肌は身の薄いものの
方がうまい理由。
酢〆の小肌は身ではなく、皮がうまいのでは?。
どうであろうか。
そして、光物はまだ続く。
鯵。
東京の鮨やで、〆た鯵を握るところは、
どのくらいあるのであろうか。
かなり少なかろう。
ほぼ他にはないのではなかろうか。
(柳橋を含め[美家古寿司]系列の店はなん軒も
行っているが、鯵はどこも生を握っていたような
気がするが、、、。)
〆るといっても、小肌ほどしっかりは〆ていない。
ほんの少し。
おそらく、これが昔からの東京の鮨やの鯵の〆具合
であったのであろう。
私も最初は多少違和感というのか、腑に落ちなかった
ように思う。鮮度管理ができる現代に、〆た鯵をにぎる
意味とは、と。
だが、わかってきた。
ものもよい、瑞々しい生の鯵のにぎりはうまい。
だが、生とは違ってこれはこれで、別のものとして
うまい、ことに気が付いてきたのである。
次は貝。
鮑(あわび)と北寄(ほっき)。
北寄は、薄い甘酢に漬けたもの。
貝も生のまま握るということは、江戸前にぎりでは
ほぼなかったわけである。
書いている通り、私は貝類はあまり食べない。
貝らしい、と好まれる人もいるかもしれぬが、もちろん、
ものにもよるが、貝特有の生ぐささ、えぐみというのか、が、
があると思う。あれがだめなのである。
もちろん、こういう拵えをするとそんなことは一切なく
また、食感も守られる。
そして、鮑。
蒸し鮑、あるいは、(鮑の)塩蒸しという。
これも夏のもの。
蒸しといっているが、実際には、塩でゆでて煮詰め、
煮汁をもう一度貝に含ませる。
今は、これが食べられるのは、江戸前鮨やしかないだろう。
生の鮑も、もちろんうまいのだが、やはり別のもの。
柔らかさと、濃いうまみ。
夏の江戸前鮨の愉しみ。
そして、貝をもう一つ。
好物の平貝。やっぱりあればもらってしまう。
関西ではタイラギというらしい。
正式種名もタイラギ。
貝類として比較的水分が少ないので、
生ぐささが出にくいのか。ここが好きなポイント。
形は似ているがほたてよりもサクサクした食感。
これもよい。
鮨やでもやってくれるが、ちょとっと炙って海苔で巻いた
磯辺もうまい。
タイラギの住んでいるのは、房総半島以南の内湾で
東京湾にもいる(た?)らしい。
10m~50mの比較的深いところにいるよう。
やはり、昔から食べられていたのであろう。
ただやはり、そういうことなので、主産地は西。
トレンドとしては不漁傾向で、一時期、
ほぼ見かけなくなったが、このところよく
見かける。理由はわからぬが、有り難い。
つづく
台東区浅草2-1-16
03-3844-0034
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