浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草弁天山美家古寿司 その1

4619号

8月10日(土)夜

さて。

なんだか鮨が続いているのだが、内儀(かみ)さんが
浅草[弁天山美家古寿司]を予約していた。

来週旧盆なので、お休みのよう。
その前に。

18時から。

いつも通り、タクシーで向かう。

馬道通りの伝法院通りの信号で降りる。

馬道通りというのは、吾妻橋西詰の信号から東武浅草駅
西側、そこから真っ直ぐ北へ、言問通りを越え、
旧山谷堀脇の土手通りまで。
旧町だとこの両側が馬道町であったが、これは江戸期から。
だが、由来はもっと古い。、
落語家などは、この通りが吉原遊郭へ向かう道で、馬で
吉原へ行っていた、などという。だが、これはおそらく誤り。
そもそも、町人が江戸市中で馬に乗るということは
まずなかったのでなかろうか。
江戸以前、はるか前。浅草寺がこの地にできたのは奈良時代
ともいわれているがその頃、浅草寺で馬を飼っていたらしい
のだが、その馬の通り道が寺の東側であったから、と。

ともあれ。

降りて、数軒先の[美家古寿司]へ。
店のガラスのドアには、予約で終了という札が下げられている。

開けて入る。

若親方、若女将にご挨拶。

カウンター中ほど、若親方前に掛ける。

ビールはキリンラガー。

お通しは、まぐろ佃煮。

ショーケースのちょうど目の前に、たこがあった。
最近、並ぶことが多いかもしれない。

若親方が、たこと、鰹、ですか?。
と、気を利かせてくれた。なんだか、決まってしまった。

はい、お願いします。

たこから。

頭の方。
塩が振られている。

たこだと、甘いたれを掛けることもあるが、
やはり塩の方がよいかもしれぬ。

毎度書いているがただのゆでだこではなく、
江戸前仕事が施されており、それを味わいたい。
見た通りゆでだこよりも、色が濃い。そして、
香りも強く、食感も違う。

頭の方は指定しているわけではないのだが、
いつもこれ。なぜであろうか、聞いてはいないが。
つまみで足は避けたい?、のか。
足もうまいが、頭はちょっと柔らかいコラーゲン感のある
食感でうまい。

鰹もきた。

辛子じょうゆ。

鰹は、前回、6月下旬であったが、驚くほど脂があった。
そう、ニュースでもやっていたが、やはり今年
話題のよう。
もちろん、6月は、本来ならば初鰹といってもよい
時期で、脂は少ない。フレッシュさを味わう。
脂が多いのは、戻り鰹といって、秋。
夏、餌をたくさん食べて、南へ戻る鰹は脂をたっぷり
蓄えているので。

今年、なんで脂があるのか。獲れているのが三陸沖北部、
八戸あたりという。このあたりの海水温が高いらしいのである。
黒潮が北の方まできているということか。わからぬが、
それでこのあたりのプランクトンが多いらしいのである。
(FNNプライムオンライン・仙台放送

たたきだが、今日もしっかりした脂。
もちろん、うまいこと、このうえない。

これも出してくれた。

この店のコースに入っているつまみだと思うが、海苔の
佃煮にまぐろを和えたもの。海苔の佃煮は比較的薄味。

ここから、にぎり。
お茶に。

生姜がきて、白身、から。

鯛。

酢漬け生姜は自家製。細かく切っている。
甘くなくてよろしい。

鯛は皮を残した霜降り。
適度に水分が抜けてよい食感。うまみも濃い。

次は、平目。

もちろん、昆布〆。

水分が抜け、うまみが加わる。

鯛もそうだが、ここは厚切り。
特に白身だとそれが強調されるのでは、
なかろうか。

いか。

珍しく、包丁目が入っている。
これは、白いか、とのこと

先日、吉池で見つけた新いかを食べたが、
若親方に聞くと、まだ小さい、とのこと。
そう、随分小さかった。

すみいかがない今の季節、東京の鮨やが、よく
使うのは、相模湾あたりのあおりいか。
あおりいかも獲れていないようで、西日本の白いか、
とのこと。
すみいかとは食感、味ともに違う。
ちょっと肉厚、そして柔らか。

 

つづく

 

弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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