浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



おでん・朱色の皿

dancyotei2018-02-14


2月9日(土)夜


昼間、出かけたついでにハナマサに寄って、
安くなっていたので、おでん種のセットを
買ってきた。


おでんを煮よう。


もちろんしょうゆで煮〆た純東京風。


セットのおでん種なので内容は大方知れているが
今日のテーマは、皿。


先月、新橋の[お多幸]へ行った。


新橋に限らず[お多幸]の皿はなぜか朱塗り(のような)もの。


おでんというもの別段どんな皿でも、よさそうだが
どうもこの朱の皿がよいように思って、
前から気になっていたのである。


旧臘(きゅうろう)であったと思うが、
近所の合羽橋道具街で探してみた。


合羽橋には塗り物、漆器を専門に扱っているところもある。


丸くて平たい皿。


塗り物を扱う店を一軒、二軒のぞいてみるが、
意外に、なんの変哲もない赤い塗りの平たい皿
というのは見つからない。


ある一軒で探していると、店の方に
声をかけられたので、聞いてみた。


丸くて平たい皿?。


おでんやさんにあるような。


あー。
あれは塗りじゃないんですよ。
メラミン。
あの上で包丁で切るでしょ。
塗りじゃもたないんです。


なん枚いるんですか、30枚くらいからですが。


どうも合羽橋へ行くとプロに間違われることがある。
ヘンなものを探しているからであろう。


さらに他の店もまわってみる。


そうそう。
別段、本物の塗りでなくとも私などいっこうに
かまわない。
いや、むしろ塗りなど、傷をつけてはいけないと
扱いが面倒で困るくらいである。


すると、一番奥(北)の西山漆器(ここは合羽橋で最古参。)の
店頭の安売りワゴンの中から見つけた。


まごうことなき、メラミン。
あの大きさ。
これ、これ。


ふたまわりほど小さいものもあったのでそれも購入。


和菓子などをのせるのに子供の頃などは
家にもあったものだが、塗りの菓子鉢、菓子皿でよいのか、
そんなもの。
どら焼き程度でも瀬戸物の皿はやはり似合わない。


と、まあ、こんな具合で今日はそのおでん用に買った
赤い皿がテーマ、である。


鍋にセットのおでん種を入れて、水としょうゆ。
もちろん、純東京風に濃く。



セットはちくわ、ボール、ごぼう巻きなどの練り物。
それから、がんも、こんにゃくといったあたり。


このあたりであれば、濃い汁にしているので
すぐに味が染みる。


ちょいと、皿にのせてみる。



これがその皿。


東京のおでんや、純東京風のところも入れて
すべてがこの赤い塗り(風)かといえば、
そんなこともない。池之端仲町の[多古久]なども
東京風の老舗だが、確かあそこは一人用の白い土鍋であった。


[お多幸]がなぜこの赤い塗り(風)の皿を使っているのか
聞いたわけではないので真相はわからない。
飲食店の皿としては珍しかろう。
[お多幸]にはおでんの持ち帰り用の缶の容器が昔からあるが
あれも、朱であった。


これ。



この色も、以前から好きであった。
なにか色っぽいではないか。
[お多幸]の元祖は銀座であったか。
なんとなく、芸者さんへの手土産?待合で取った?。
皿もそうだが、この色、花柳界を連想させるのである。
もちろん、私の勝手な想像だが。


続けて、玉子を茹で、冷蔵庫にあった豆腐も煮る。



他のものはそのまま入れてくと味が染みすぎるので
ボールに取っておく。


豆腐を入れ、煮る。
豆腐が煮えたら、玉子を煮るために、豆腐もパッドにあげておく。


玉子にも味が染みてきた、かな。

皿の上で玉子を切って、豆腐とさつま揚げとちくわ。

もう少しであった。



ともかく。


やっぱり、おでんはこの朱の皿がよろしい。