浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



飯田橋・中華そば・高はし

dancyotei2015-09-10

9月8日(火)夜

ワンタンが食いたくなった。

ワンタン自体、誰もが知っているものだが、
どこにでもあるメニューではなく、意外に限られている。

今は閉めてしまったが、私の地元浅草の千束五叉路にあった
かの[元祖恵比須ラーメン]を思い出す。

ここはもともとは名前通り、恵比寿にあり、我々の学生時代
30年近く前だが、ラーメンブームの走りといってもよい、
その頃の、文字通り元祖行列のできるラーメンやといってよろしかろう。

しょうゆ味のラーメンであったが、やはりうまかった。
ワンタンも確か、その頃からやっており、ワンタン麺もうまく
浅草時代にもよく行っていた。

もう一方で、クラシックなワンタンというのも東京にはある。
我々の子供の頃はそうであったと思うのだが、ラーメンの
麺の代わりにスープの中にワンタンを入れたもの。
(不確かだが、有楽町の[慶楽]などにはあったかもしれない。)
昔のワンタンの中には具があまり入っておらず文字通り、麺の代わり。

[元祖恵比須]もそうであったが、ちゃんと具が入っており、
スープに浸かっていなくても、ワンタンそのものでも食べられて、
プリプリで、もちろんうまい。

今の新規開店のラーメンやで、つけ麺はあっても、
ワンタンをやっているところというのは、なかなかないかもしれない。
是非、ワンタン、ワンタン麺にも挑戦してほしいものである。

で、どこか。

飯田橋[高はし]

ここは中華そばという看板を掲げているが、
四谷の[こうや]の分かれ。

[こうや]も有名な店だが創業は1983年(昭和58年)と古い。
ラーメンやというよりは、一品料理も多く、中華料理やといった方がよい。
塩味のワンタンやワンタン麺は、昔からここの看板であった。

[高はし]は1991年(平成3年)創業で、もはや古株といって
よいだろう。

この店のある場所がまたちょっと変わっている。
総武線飯田橋駅ホームの秋葉原寄りからも北側に見える。

神田川総武線の土手の間の、狭いところに
千代田街ビルという古い飲食ビルがあるが、その一階。

どうでもよいが、飯田橋で千代田街というのもいささか妙な
感じを受けられるかもしれぬが、神田川の北側は文京区と新宿区だが
川の南、駅がある方は千代田区になる。

7時すぎオフィスを出る。

雨も降っている。
会社のタクシープールにはなん台かいつもいるのだが、
雨のせいで一台もいない。

飯田橋であれば歩こうか。
15分はかからないだろう。
もちろん、運動にもなる。

会社の敷地を出て道路を歩き始めると、、、あ、後ろからタクシーがきた。
がっかりしたような、うれしいような。

大久保通り経由で飯田橋、ガードの手前で止めてもらう。

店はガラス戸を開け放っている。

店内はお客が3人。
雨のせいか、季節のせいか、ちょっとさびしいか。

入ると、作っているお兄さん一人。
お兄さんといっても、ここの創業年から考えると、私などと
同年配かもしれない。

手前カウンターの端と、座る場所を指定され、
お荷物は後ろにおいて下さいとのこと。

昔からそうだが、ここはお客への注文がうるさい。
よほどこのご店主、几帳面な性格なのであろう。

ビール(ここは小瓶)と雲呑麺を頼む。
ここは漢字で雲呑と書いているが、これは[こうや]ゆずり。

ビールを呑みながら、待つほどのこともなく、きた。


雲呑麺。

雲呑は五つ。
海苔、大きなばら肉のチャーシュー、メンマ、一面の万能ねぎ。

スープは旨味の濃い塩味。
いつも、舌が火傷するほど熱かったのだが、今日はさほどでもない。
だがやっぱり、前にも書いていると思うが、旨味が腹に染み渡る。

雲呑は見た通りしっかり肉が詰まっており、プリプリ。
こうでなくてはいけない。

私は[こうや]にも行くのだが、あちらには他にも気になるメニューが
たくさんあって目移りがしてしまい、雲呑だけに集中できないが
ここにはこれしかないので、どっぷりと没入することができる。
([高はし]には他には、ノーマルな中華そば、叉焼麺、高菜麺であったか。)

ご主人の趣味なのであろう、ここではいつもけっこうな音量で
バンジョーやらフィドルやらが速いテンポのリズムを刻む、
アメリカのカントリーソングがいつも決まってかかっている。

無口で注文の多い神経質そうなご主人で、高音量のカントリーソング。
お客は黙々と雲呑麺をすする。
そんな雰囲気。

たまに、友達同士でベチャベチャ喋っているのがいると
とても場違いに見える。

雲呑と麺で、かなり腹が一杯になる。

うまかった。

ご馳走様でした。

勘定をして、出る。

ラーメンやなので、長居をするべきところではないが、
居心地は、決してよくはない。
(ご主人は職人気質というのであろうか、むろんわるい人ではない
とは思うのであるが。)

うまい雲呑麺を食わせるが、やっぱり、ちょっと不思議な
ラーメンや、かもしれない。

 


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千代田区飯田橋3-11-30 千代田街ビル 1F