浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



おろし天ぶっかけ(ぬき)

dancyotei2015-06-25



6月23日(火)

昼飯。

外出からの帰り、牛込柳町の路麺[白川そば]に
久しぶりに寄る。

以前は“路麺”に凝って、いろいろなところへ
足を運んでいたのであるが、このところは行動範囲にある店以外は
ご無沙汰になってしまっている。

“路麺”といっているのは、まあ早くいえば、街角にある
立ち喰そばなのだが、なかでもチェーン店ではないところを
特に好んで出かけていた。

今、近所の[アズマ]以外はそれぞれのお店がどんな風になっているのか、
残念ながらフォローはできていない。

[白川そば]というのは、大久保通り牛込柳町の交差点から若松町方向に
坂を上った左側。

オフィスからも近いので以前は比較的よくきていた。

路麺でも個人営業のところはそれぞれに個性豊か。
むろんのこと経営努力をしている。

ここは東京では珍しいしょうゆではない、透明なつゆが売りで、
そばもあるが、きしめんというのか、ひもかわのうどんもある。

暑いので冷たいぶっかけを食べようと寄ってみた。

冷たいひもかわのうどんにおろしとかき揚げ。



ここはひょっとすると同年配くらいであろうか、
ちょっとごつい顔の小父さんと、眼鏡をかけたちょっと若め(?)の
奥さんらしききれいな女性の二人でやっている。

以前からそうなのだが、盛り付けがとても丁寧。

透明なつゆにひもかわ、おろしがのって、万能ねぎ、
海苔とかき揚げ。

うどんもつゆも、おろしも丼も、皆、キンキンに冷えている。
こう暑い日にはなにより。

ここは路麺にしては多少高めではあるが、それに見合った
いきとどいた一杯である。

夢中でひもかわをすする。

うまいもんである。

ただ。

やはり、冷たいぶっかけのおろし天であれば、
しょうゆのつゆの方が、合っている。

さてこれがあって、
夜。

どうしても、しょうゆのつゆのおろし天ぶっかけが
食べたくなった。

自分で簡単にかき揚げを揚げて、うどんそばはぬきの
おろし天ぬきを作ろうと思い立つ。

揚げるのは、別段天かすでもよいであろう。
まあ、冷凍庫に小海老も凍っているので、それを
入れてもよい。

帰り道、大根半分を買う。

道々、細かく切った玉ねぎも入れようと考えた。
立ち喰そばのかき揚げの、ほとんどは玉ねぎが主体。

かき揚げに細かく切った玉ねぎを入れてもうまい。

油を揚げ鍋に用意し、玉子冷水を作り、そこに天ぷら粉を合わせる。
解凍した小海老と、玉ねぎみじん切りを加える。

油温をみて、レンゲで二つほど投入。

まとまるようになど、形を気にしなければ、
かき揚げは簡単である。

作った衣の分全部を揚げてしまう。

揚がったら、大根もおろす。

丼に、天かすやらも取り混ぜで、小海老と玉ねぎの
かき揚げを入れ、その上におろし、まわりからつゆ
(いつもの桃屋)を入れて、出来上がり。

おろし天ぬき。



ビールを抜いて、食べる。

そう。

やっぱり、これこれ。

おろし天ぷら(かき揚げ&天かす)には
甘辛い東京のつゆである。

おろし、天ぷら、甘辛のつゆ。

この三つの組み合わせは黄金である。

まさに東京の味といってもよろしかろう。

むろんビールにも合う。

いや、真夏はともかく、今からの酒の肴には
絶好である。

二杯。

さて。

「おろし天ぬき」、「おろし天ぬき」といって
嬉々として食べていたら、内儀(かみ)さんに指摘された。

普通にかき揚げ天ぷらを食べているだけじゃない、と。

天つゆとおろしは、天ぷらを食べる時には、
必ず使うもの?!。

ぶっかけのおろし天そばの、そばを抜いたもの
などとまわりくどいことをいわなくても、そのまま、か。

なるほど。
その通り。

白川そば
03-3358-7675
東京都新宿区原町2-8