浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



仲御徒町・路麺・かめや

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3817号

3月16日(火)第一食

仲御徒町・路麺・かめや

ここ、ご存じであろうか。

昭和通り沿い東側、多慶屋の交差点の南、交番のある
交差点のさらに南。

小さな店で前から知ってはいたが、入ったことは
なかった。

少し前になんの気もなく、たまたま入ってみて、
かき揚げののった、そばを食べた。

これはまあ、うまかったのだが、
この時、壁にに貼られた一枚の古い
白黒写真に目が留まった。
戦後すぐ、であろうか。
不忍池池之端上野広小路の交差点の角。
まだ、通りには都電が走っている。
今の、アブアブのところの交差点。
この不忍池側の角にある、そばや。
この店の昔の姿のよう。

はて、あんなところにそばやがあったか?。
今はなかったはずだが。

調べると、今は[亀屋 一睡亭]という名前のうなぎを
メインにした料亭になっている。
あれだ。

[亀屋]は、この場所でなのか、江戸の頃から続く
最中の皮を作る、和菓子屋で、戦後料理やに
業態を変えたとのこと。
戦後の最初は、このそばやであったのかもしれぬ。

立ち喰いそばの[かめや]はこの[亀屋]の経営する
チェーンといってよいよう。
ここ以外に、神田に二軒、銀座、新宿など6軒ほど。
立ち喰いそばの最初は昭和45年、新宿思い出横丁
のよう。

その後、今日またきてみた。

かき揚げののった「天ぷらそば」。

路麺という表題にした。
路麺とは、私は個人経営の立ち喰いそば、と定義している。
個人経営に対して、チェーン。
そして皆様ご存知の大手チェーン、JR、各私鉄に入ってる
駅そば。

ちょうどここは、その中間ぐらいではなかろうか。

かめやは古いが、今、こういった中間的な
立ち喰いチェーンが目立ってきたような気がする。

東武の浅草駅の地下にもあるが[文殊]。
チェーンであるが、味がある。
あるいは、最近御徒町にもできたが、日本橋
[よもだそば]。本格的なインドカレーがあったりする。

ここもその中間系といってよいか。
なにが違うのか。味ももちろんあるのだが、
働いている方のモチベーションが違うように
思うのである。
個人経営の路麺は当然ながら、一所懸命さが
伝わってくる。
中間系には、これがある。

チェーンはまあ、これも当然かもしれぬが、
バイトなのかパートなのか、、仕事なので
しょうがなくやってます感がどうしても漂う。
まあ、致し方のないことであろうが、
こういうものは客に伝わるのである。

ともあれ[かめや]。

天ぷらはたくさんあるが、普通の路麺とは
ちょっと顔ぶれが違っている。

普通の路麺は刻んだ玉ねぎやらにんじんやらが
ごちゃごちゃ入っているノーマルなかき揚げ以外にも
春菊などもあるが、ここにはかき揚げは一種のみ。
(駅そばなどは、このタイプ。)

このノーマルなかき揚げに生玉子を入れたものを
天玉などと駅そばなどでは言っているところがあるが、
この呼び名はここが初めてらしい。(だからどうだ、
というほどのものでもないと思うが。)

ここは、春菊かき揚げはないが、海老、いかなどの
天ぷらがある。
また、今の季節でも冷やし、ざるなどもあるよう。

さて、味は?。

そばは生そばゆでたて。
天ぷらは、揚げ置き。

つゆもそばも吟味されたもの、ともいうが、
うまいには違いないが、まあ、そこそこ。
びっくりするほどではない。
値段も他の立ち喰いと似たようなものなので、
まあ、あたり前であろう。

ともあれ、はずれない。
安心感のある、よい"路麺"、で、あろう。

これから、ちょいちょいこれるのは、
うれしい。


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