浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野藪蕎麦

1月13日(金)夜

金曜日。

例によって栃木から戻ってきた。

今日は、浅草ではなく、御徒町の眼鏡やに出来上がった
眼鏡を引き取りに、北千住で日比谷線に乗り換えて、上野まできた。

上野にくるのなら[上野藪]と思ってきた。

8時近く。

きてみると、外で待っている人もいる。
金曜の夜だからか、なかなか混んでいるよう。

しかし、待つといっても、入れ替わり待ち程度で
すぐに入れる。
今日は、二階のテーブル席。

やはり寒いので、燗酒だ。

お姐さんに、熱燗でもなく、ぬる燗でもなく、
ちょうどいい温度で、と、頼む。

一応、了解したよう。

肴はまぐろ山かけ。

そばは、、、、?
品書きを見てしまうと、やっぱり牡蠣に目が行ってしまう。

鴨なん?、かけ?。
今日は他のもの、と思ってきたのだが、、、。

牡蠣そば。
冬であれば、ここではこれにとどめを刺す。

きた。



燗酒。

一口呑んでみる。

うん。
いい感じ、で、ある。

上燗。
ここも菊正宗の、樽、で、あったか。

お燗器を使っていて、その都度温度の調整などできないところで
なければ、もちろん微調整は可能なはず。
(さすがに[上野藪]くらいの店がお燗器は使わなかろう。)
お姐さんの教育の問題なのかもしれぬ。

燗酒=熱燗ではないこと。
なにもいわずに燗酒といえば、熱くもなく、ぬるくもない
上燗を出してほしい。

山かけもきた。



ブツではなく、お上品な切り身。

赤身と中トロ。

黒いのは、もみ海苔。

しょうゆを入れて、わさびもともに、全部を混ぜてしまう。

さすがにそばやの山芋、うまいもんである。

燗酒をゆっくり呑む。

呑み終る頃、、、、、

ん?

ここは、いわなければ、酒、肴とそばも同時に持ってきてしまう
ところなのだが、牡蠣そばが、こない。
今日だけ、調整してくれているのか?。

もしかして、忘れている?。

あるいは、いわれるまで、調理にかからないことに
変えた?。

お姐さんにいってみる。

あ、はい。

との返事。

後者であったか。

ともあれ、お酒をもう一本頼もう。

そばというのは、不思議なことに
呑みながら食べられる。

お酒お替りとほぼ同時、で、あった。



牡蠣そばについてはもう、なにもいうことがない。

熱いつゆと、ほかほかのそば、
そしてぷっくりと大きな身の牡蠣。

まさに堪(こた)えられない。

牡蠣などというもの、基本生ぐさい、ものである。
また、フライなどにしても、
苦味のようなものが残ることもある。

ここの牡蠣そばには、そういった雑味のようなものは一切ない。
炒めていると聞いたことがあるが、どうすれば
こういうものになるのであろうか。
むろん、ものもよい、のではあろうが。

とにもかくにも、実に珠玉の一杯、といって、
よろしかろう。


大満足。

ご馳走様でした。


台東区上野6-9-16
03-3831-4728