浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



ざるうどん

4月8日(水)夜

若干前後するが、今日はよい天気。

最高気温、19.2℃(14時03分)。
ほぼ平年並み。

久しぶりに、ざるうどんにしようか。

吉池に売っている「大進食品」の生太うどん
讃岐とはまた違う、腰の強い武蔵野うどん。

昨年あたりに見つけて、気に入っている。

うどんというのは日本全国、特に中部地方以西で、
広く伝統的に食べられてきたもので、讃岐・香川を始め、
大阪、伊勢、福岡、宮崎、などなど乾麺を含めると今も
かなりの地域でそれぞれ独特の名物うどんがあって
愛されており、どれも、うまい。
そば食文化圏と並んでうどん食文化圏というのが
濃厚に存在する。そばとうどんは並立しない。これも
おもしろい。

ともあれ。
武蔵野うどん自体も、伝統のもので西武沿線で育った私も
子供の頃から食べていた。
江戸は蕎麦だが、その近郊の武蔵野は、うどん。

武蔵野という地域は具体的にどこかというと、行政上の
定義ではないのでなかなか難しい。
歴史的に、あるいは文学など様々な文脈で使われており
皆、微妙に違っていると思われる。
言葉そのままの意味は、武蔵の国の野だが、武蔵は今の
東京都と埼玉県を合わせたとても広い範囲になる。
だが、文学などで扱われる場合、狭義になろうが東京都
練馬、杉並、世田谷など区部西部を含んで多摩地区から
所沢など埼玉県南部あたりを指すか。
国木田独歩の「武蔵野」などはこの例だろう。

武蔵野の特徴は、基本台地で赤土の関東ローム層。
水が得にくい。従って、田んぼが作れず、米を作りたければ、
陸稲であった。それで主に作られてきたのは小麦。

ここから、うどんが生まれてくるが、伝統的にうどんを
よく食べてきた地域は、先の多摩地域+埼玉県南部よりも
ずっと広く、熊谷など埼玉県北部まで。

厳密には多摩や埼玉南部あたりの狭義の武蔵野地域の
うどんと深谷あるいは熊谷、埼玉北部あたりで食べ方、
腰など、違いはあって、埼玉北部では地域的に群馬に
近い要素もあるよう。
だが、台地で関東ローム層は同じで地域としては繋がって
おり、武蔵野のうどんという場合は、武蔵国のうどん、
武蔵野うどんとして、ここまで広げてよろしいのでは
なかろうか。

特徴は腰が強いこと。
おそらく平均値を取れば、讃岐よりも強い。
ゴワゴワ、ガシガシなものも私の経験上はある。
食べ方は夏はざる、冬は煮込み。

食べ方は、煮込みもよいが、私が考えるに、
腰が強いので、やはり冬でもざるがよいだろう。
それも、今は、つけ汁にねぎと豚肉を入れたもの。
これが武蔵野の定番であろう。

長いこと武蔵野のうどんは、耳目が集まっていると
はいえなかったが、ここなん年かでやっとTVなどでも
噂を聞くようになってきた。これはうれしいこと。
そして、吉池に、埼玉狭山市の「大進食品」の生の
太うどんが置かれるようになり、武蔵野うどんがいつでも
家で食べられるようになったのである。
武蔵野のうどんは、うまい。讃岐同様に、注目される
ポテンシャルを十分に持っていると思われる。

吉池の地下で、太うどんと、豚バラ、今日は三つ葉、
それから切れていたので、ねぎ。

三つ葉はなくても、まあよいのだが、やはり、
あるとちょっと、うれしい。

夜、作る。

大鍋に湯をわかしておく。

ねぎを5cmほどに切り、半割り4つほど。
それから薬味用に小口切りに。

三つ葉は一把、1cm程度、葉っぱは細かく
切っておく。

豚バラを一口に切っておく。

小鍋に桃屋のつゆと、水少々、しょうゆ少々。
これは、出来上がりで2~3杯分の量。

豚肉を入れ、煮立てる。
火が通ったら、ねぎも投入。
ねぎはすぐに火が通るので、30秒ほどでふたをして
火を止めておく。

大鍋に再点火。

沸騰したら、生うどんをほぐしながら投入。

ここでタイマースタート。
規定の時間よりも1分短く。

スパゲティーでも乾麺のうどんそばでも、大抵
マイナス1分でゆでている。

再沸騰したら、ふたをし弱火。

タイマーが鳴ったら、火を止めすぐにざるにあげる。

数回水洗い。

ざるへ。

つゆの鍋を軽く再加熱し、火を止め三つ葉も入れる。

つゆを器に入れ、薬味のねぎも入れる。

出来上がり。

ビールを開けて、手繰る。

しこしこと堅めの腰でうまくゆだった。

うまい、うまい。

やっぱり、全部、このざるで三枚分、
全部食べ切って、しまった。

やっぱり、うまい。
武蔵野うどん。

 

 

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