浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



本所・石原・レストラン・クインベル


11月27日(日)夜


さて、満を持しての、登場である。
本所、石原のレストラン・クインベル、で、ある。


最寄駅は、どこになろうか。
大江戸線の、両国が近いであろうか。


本所、である。
江戸の地図を出しておこう。



この界隈は、隅田川の東岸。
一番大きな面積を占めているのが、幕府の蔵。
西岸の「蔵前」の蔵は米蔵であるのに対して、こちら側は
材木や、竹の蔵であった
現在は、国技館やら、江戸東京博物館、その北の安田庭園、
関東大震災の慰霊のために建てられた、東京都慰霊堂などに
なっている場所、で、ある。
そして、その東側の通りが、今は清澄通りと呼んでいる、
二つ目橋の通り。
見てわかるように、町屋はやはり少なく、ほとんどが武家地。
それも、大きな大名の屋敷は少なく、多くは中小旗本や、
御家人の屋敷である。
「御厩の渡し」の場所が、今の厩橋あたりだと思われる。


また、現在は徳之山稲荷というお稲荷さんになっているが、
池波正太郎ファンの方は、ご存知かもしれないが、
おとこの秘図〈上〉 (新潮文庫)」の徳山五兵衛秀栄(とくのやまごへえひでいえ)の
屋敷であったところである。
(お稲荷さんは、徳山家の屋敷神であった、と、いう。)


またまた、前置きが長くなってしまった。
インベルである。
日曜日の夜やっている、というのがよい。
ここは、界隈では有名なレストラン。
また、小さいが、その筋では名を知られている
店でもある。
(筆者は、一度、昼にきたことがあったが、
夜、に来てから、書こうと、思っていたのであった。)


夕方、予約をし、19時、妻と共に、自転車で向かう。
拙亭からは、春日通り、厩橋を渡って、清澄通り
蔵前橋通りを左折、蔵前橋通り沿いの右側で、ある。
(10分ちょっと。)


入ると、満席。
やはり、予約をしてきてよかった。
日曜日の夜で、こんな場所である。
やはり、ご近所さん率は高い。
家族連れや、町内会の集まり風なグループ、など、である。


なににしよう。シーフード系のメニューも充実している。
ここは、コースもあるが、単品の料理にご飯やパンを
付ける、方が、多いかもしれない。
または、居酒屋風にあれこれとって、
シェアする、のも、あり、かもしれない。


ボージョレーヌーボのグラスワインと、殻付き牡蠣のロースト
のセット、というもの。
それから、妻はシャリアピンステーキ、筆者は鴨のロースト。


牡蠣のロースト。



満席でもあり、ちょっと、時間がかかった。
しかし、待った甲斐がある。
殻付きの牡蠣にバターを落とし、パルメザンチーズ、
トマト、ベーコンをのせ、焼いてある。
シンプルであるが、抜群に、うまい。


そして、鴨。



スライスしてあるが、随分と量がある。
マスタードで、食べる。中が半生で、柔らかく、うまい。


ワインを二杯飲んだが、もう少し、なにか、、、。


!。


黒板の一番下に書いてあった、「特製ドライカレーオムライス」
これを、いってみよう。
追加で頼む。





うお。
これは、これは。すごい。
ベラボウに、うまい。


ものとしては、ドライカレーのオムライスに
デミグラスソースがかかっている。


ドライカレーは少しスパイシーさが強い味。
玉子は厚みがあり、フワフワ、とろり。
そして、デミグラスソースは、比較的ゆるめで、
味もおさえめ。


これら、三種が、合体して、口に入れた時の
うまさ、である。


これはどうも、筆舌に尽くしがたい。
デミグラスソースと、スパイシーなカレーが
口の中で、一緒になると、ちょっと、欧風カレー
のような、ことに、なる、のか、、。
欧風カレーに、フワフワトロリの玉子が絡む、
そんな、イメージであろうか。しかし、これとて、
描写し切れていない。


まさに、マジック。
突き抜けた、うまさ。


このクインベルのシェフは、味覚の天才ではなかろうか。
前何品かも、シンプルだが、ズバリうまさの
中心に当たっている、ように思われる。


下町の気の置けない、腕は確かな、フレンチレストラン。
やはり、夜。充分に堪能しなくては!。





(二人で、\7,000ちょい)



地図





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