浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野・洋食・ぽん多本家

dancyotei2018-02-05


2月2日(金)夜


金曜日。


なにを食べよう。


ちょっと久しぶりだが[ぽん多本家]へ行こう。


寒いので洋食だとかフライものにあまり思考がいかない。


6時すぎにオフィスを出て山手線で御徒町まで。
ちょっとまだ早いので、床屋に寄る。
広小路のQB。
土日以外にも時間があけば、床屋へ行くことがある。
やはりQBは便利。
すいているのですぐにやってもらって[ぽん多本家]へ。


松坂屋の南館が再開発され、PARCO_yaとTOHOシネマズ、
上層階はオフィスビルになっている。
御徒町駅側のパンダ広場あたりまれ含めて多少垢ぬけて
きているのか。


[ぽん多本家]の通りはもう一本先。


左に曲がって左側。


重い扉を開けて入る。


お!。
珍しく、一階のカウンターが一杯。


お二階へ、とのこと。


どうでもよいが、“お”二階、のこと。


お三階、お四階とはいわない。
“お”を付けるのは、二階だけ。
考えてみるとただ“二階”で“お”を付けなくとも
なんら問題はないではないか。
だが普通、客商売ではお二階という。
これはどういうことであろうか。


お三階、お四階は言いにくいから、というのもあるのであろうが、
“お二階”にはちょっと特別なニュアンスというのか、使われ方が
昔、あったようなのである。


お二階さん、などと、さんが付く場合もある。
以前の木造日本家屋であれば、三階建てというのはそうは多くなかった、
というのがまずはあったろう。
そして場面とすれば、料理や、というよりは、待合(まちあい)、
あたりがぴったりくる。
待合というのは、花柳界、いわゆる新橋だったり、柳橋芳町人形町
この上野界隈(下谷)といった三業地の、料理を作る料理や(料亭)、
芸者さんが住んでいる置屋、そして、いわゆるお座敷である、お客と会う待合。
この待合の一階は住まいでお客が通る部屋は、普通、二階であった。
まあ、そんなちゃんとした三業地でなく、もぐりの、
浅草六区から千束などにたくさんあったが、銘酒や、楊弓場なんというところも、
一階が一応の店でお二階にお客とお姐さんが一緒にあがって、、という形。
それで“お二階さん”という場合はやっぱり色っぽいことになる
のである。(さんがつくのは、もちろんお客を指すから。
「オイ、お二階さんが呼んでるよ〜」なんて使ったわけである。)


「お二階」にはこんな歴史がある。
もちろん、使っている方も今はそんなことは忘れられていると思うが。


毎度お馴染み与太話は置いておいて。


お二階は、先客が二組ほどですいている。


ここ、値段も高いので、お二階はお上品そうなお食事会然とした男女3人。
それから成金系?銀座であろうか、着物姿の若い同伴お姐さん2人を連れた
ちょっとお下品そうなオジサン2人の4人組。


瓶ビールをもらって、、、、
他のものも考えてきたのだが、やっぱりカツレツに
しようか。
例のよって、ご飯と味噌汁はなし。


お通し。



いか下足のぬた。


味噌は白味噌からし酢味噌。
また、ねぎ、わけぎではなく、浅葱(あさつき)のよう。
からしがよく効いている。
からし酢味噌のからしの塩梅というのは、ちょっと難しい。
自分で作ると、どうしてもおとなしくなってしまうのだが、
そこそこ強くともよいのだろう。


毎度書いているが、こういう和の酒の肴で、それも
もちろんシロウト仕事ではないものが、お通しで
出てくる洋食やというのは、他にあるまい。


きた。


カツレツ。

アップ。


写真では、なかなかわかりずらいが、切り口がほんのり
ピンク。


ここのカツ、最近は塩で食べることにしている。
色白に揚げられている。
キャベツにのみソースをかける。


この揚げ上がりの白っぽい衣の色で、中はピンク。
そして、この厚みというのは、低温でゆっくり揚げてある、
ということであろう。


ただ、普通、低温で長く揚げると油切れがわるくなる。
そこをすっきり仕上げるのが、技術。
ごくたまにだが、今一つの油切れ、ということが、
ここでもあるのだが、今日は上々。
堅くなりすぎず、豚肉がうまみにあふれている。


ソースでもうまいのだが、塩のみが、よりよくわかる、
と、いうもの。


じっくりかみしめながら、しかし、うまいので、
どんどんと食べる。


技と、うまさを、思いきり堪能。


うまかった、うまかった。


下へ降りて、お勘定。


いつも通り、おいしかったです。


ご馳走様でした。








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