浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



牛込神楽坂・スペインバル・マコ

dancyotei2014-10-14

10月9日(木)夜

さて。

牛込神楽坂、で、ある。

牛込神楽坂大江戸線の駅で、私の毎日の通勤に
使っているところ。オフィスまで徒歩で10分程度。

先日、神楽坂のうなぎや[志満金]へ行ったときにも
気が付いたのだが、神楽坂は最近もどんどんと
新しい店ができている。
皆、さほど大きくはないがなん年もあったところが
入れ替わったのもあれば、最近できたかと思ったら
もう変わっているなんというところもある。

牛込神楽坂は神楽坂という名前が入っているが
むろん町名は神楽坂ではない。

江戸の地図を出しておこう。
 
市谷から牛込、神楽坂。


 
これは江戸全図から。
 
牛込神楽坂付近の拡大図。


 
これは切絵図からのもの。
 
牛込神楽坂駅のあるのは、神楽坂の西側で、江戸の頃は
大小の武家屋敷。明治以降はそのまま山手のお屋敷町になっている。
 
現代の地図


現代と江戸で比べてみていただくと細かい路地の多くが
変わっていないのがお分かりになるであろうか。

また、この界隈、江戸から町名も変わっていない。

江戸市中であったところの町名は明治になって、
あるいは、戦後など、なん回かのタイミングで、
ほとんどが整理されている。
私の住む台東区などはその最たるものである。

それに対して、この市谷牛込界隈は、町名変更の際に、
住民の反対運動が起こり残された。

それで、細工町、納戸町、山伏町、箪笥町二十騎町、などなど、
武家屋敷らしい名前が残っており、それぞれは昔のままなので、
一町は大きくはない。

ともあれ。

神楽坂といえば、今は京都のような(?)細い路地のある
由緒ありそうな、雰囲気のある町というので、人気、なのであろう。

これに対して、この神楽坂の西側は多少毛色が違う。

先にお屋敷町と書いたがそれは今も同じなのだが、ちょいとした
特徴がある。それは外国の大使館員の住まいが比較的多いということ。
なかでも、フランス大使館員の方が多いという。

真偽のほどは定かではないが、確かにオフィスの行き帰りにも
フランス語を話す子供を連れたお母さんなどをちらほらと
見かけることがあるので、あながち根拠のない噂話では
ないのであろう。

それが呼び水になってということになっているが
これもやはり定かではない、この界隈にはもうなん年も前から
小さなフレンチやイタリアンのレストランがちらほらと現れはじめ
今ではミシュラン星付き店もあったり、かの有名立ち飲みフレンチなどなど
小洒落た店の密集地帯。それに今では蕎麦など和食系にも広がりを見せ
それなりに話題の店も出てきているようなのである。

毎日通っていながら、まったくもって知らぬ間に、
浦島太郎のようになっていた。

なん軒かあるのだが、今日はここ、スペインバル[マコ]。
タパスの店、というようなことも書いてある。
そこそこ知られる店のよう。

できてから2〜3年ほどは経っていようか。
ほんとうに帰り道、毎日前を通っていながら、入ったのは
初めて。
 
牛込北町の交差点の南西、角から二軒目。
間口一間半か、奥行きもさほどなく、ほんの小さな店。

入るとすぐにスタンディングのカウンターがあって、
ここだとチャージ(\300?。)はかからない、
というお兄さんの説明。

その奥、隣にスツールのあるカウンター、
それから小さなテーブル席が二つ。

お客さんは若い女性二人組が、二組。
なるほど。

内装は別段凝ってはいないが、狭い分落ち着ける。

座る方のカウンターへ。

スペインバル、というので、スペインワイン
売りなのであろうが、「ハートランド」のようなので
最初はグラスのビールをもらう。

お通しは殻の付いたアーモンドとレーズン。

メニューはタパスというが、作り置きの小皿にのせたものではなく、
オーダー毎に作るようである。ただし1/2サイズも可で、
一品が\600程度からなので、ハーフであれば、随分と安い。

おすすめが黒板に書かれており、そこから白身魚のパテ。


魚のパテなんて初めて。
が、食べてみて、納得。
むろん、うまいのだが、この味は魚肉ソーセージである。

シェリー酒にしてみる。


シェリー酒も初めて。
いろいろなタイプがあるということで、
甘いのかと思ったら、これは辛めのもの。

次、ラムの乳腺を焼いたもの。


スペインでは一般的なものなのか。
ちょっと、コリっとした食感がおもしろい。

ポークの串焼き。

スペイン語の名前が付いていたようだが、
忘れてしまった。

なんということはないが、うまい。

白のスペインワインをもう一杯もらって、お会計。

\3000ちょい。

髭をたくわえた熊のような小父さんが一人で作っているが、
どれもなかなかの味。

一人でちょいと寄れて、この味でこの値段は、
なるほど、めっけもの。
毎日でも寄りそうである。


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