浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野・洋食・ぽん多本家

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6月17日(火)第二食

さて。

外食解禁シリーズ。

表題の上野[ぽん多本家]

開けたら、行きたいと思っていた店。

自粛中、自粛版のNHK「プロフェッショナル」に
出演されていたのを視た。

16時半からやっているので、よいかもしれぬ。

今日は、内儀(かみ)さんも一緒。

二人だと予約ができない。
16時半を目指して、自転車で出る。

竹町公園から真っ直ぐ西へ。

昭和通りも越えて、JRもくぐって、右に緩やかに
曲がり、中央通りの手前右側。
建物外装の工事をされており、特徴のある
木の玄関がわかりずらい。

営業中の札は出ている。

重い扉を開けて、入る。

二人、というと、お二階へ。

さすがに一番乗りのよう。

二階に上がって、窓際のテーブルに案内される。

むろん、他に客はないので静か。

ビールをもらって、
オーダーはなにしようか。

二品。

カツレツは決まりとして、もう一品。
なにがよろしかろう。

海老コロッケ。

食べたことがないかもしれぬ。

カツレツ、海老コロッケ、ともに2750円也。
いつも通り、ご飯も味噌汁もなし。

ここは、今は上野とんかつ御三家の一つに数えられて
いたりする。
だが、ここのメニュー名はとんかつではなく、カツレツ。

明治38年創業。
明治は45年まで。
明治38年日露戦争中。

明治も40年近くたち、欧米に追い付こうと頑張った。
国も文明開化をなしとげ生活レベルもあがった。
日清戦争勝利、勢いに乗って大国ロシアと朝鮮半島
大陸の権益を争って戦いを無謀にも挑んだ。
そんな頃。

とんかつというのは、明治の洋食やの人気の料理
豚のカツレツだけが独立したもの。
はっきりした時期はわからないが、これは明治末から
大正に入った頃と考えられる。
このご近所の同じく御三家[蓬莱屋]は大正元年の創業。
[蓬莱屋]はとん(ヒレ)かつオンリー。
最初は屋台であったというが、このあたりであろう。

それで[ぽん多本家]は今もとんかつやではなく、
洋食を名乗っており、ビーフシチュー、タンシチュー、
ボークソテー、私の好きなバタヤキもある。

ビールとお通し。

いか下足ときゅうり、わかめもあったか。
毎度書いているが、お通しはとても洋食やとは
思えない乙なものである。
これは、いつものぬた、かと思ったら、
胡麻和えであった。

カツレツもコロッケもきた。

いつも通りのピンクの切り口。
ロースだが脂身はほとんどない。

キャベツにはソース。
カツは、もちろん塩。

おお!。
かなり今日はよいのではなかろうか。

この白い揚げあがりは、低温で揚げている。
先日[とん八亭]でも書いたが低温で揚げると、
どうしても油切れがわるいい方向に傾きがち。
これをすっきり揚げるのが技なのであるが、忙しい時
などであろうか、さすがのここも、油切れがわるいことが、
まま、ある。

今日はかなりよい。ベストに近いかもしれぬ。
すっきり軽い、ふんわりした揚げあがり。
口開けで、ラッキーであったか。

海老コロッケ。

ふつうはカニであろう。

切り口。

ちょっとわかりずらいが、
もちろん、クリームである。

食べてみる。
クリームは、そこそこ堅め。

そして、この海老、伊勢海老ではなかろうか。
かなりしっかりした食感で、うまい。

やはり、カツレツ以外も
ここは食べなければいけないものは多い。
だがここへきて、カツレツは食べないわけにはいかないので、
一人でくるとやはりカツレツになってしまうし、、。
なかなか悩ましい。

ともあれ。

段々に日常が戻ってくるのは、うれしい。

 


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