浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



金沢で、鮨

dancyotei2013-01-31


1月29日(火)夜



金沢出張。



仕事は翌日なのだが、朝早いので、前泊。
20時すぎに金沢駅に着いた。


取っていた駅そばの、安いビジネスホテルに荷物を置いて、
なにか食べようと、外へ出てみた。


いつ降ったのか、歩道にはシャーベット状の雪が数センチ積もっていて
歩きにくい。
こちらの人には、へっちゃらなのであろう。


長靴?冬靴で、ガンガン歩いている。
普通の革靴の私などは、へっぴり腰。
と、ホテルのすぐ裏に鮨やを見つけた。


名前は[この花]というところ。
昨日の今日で、鮨やを探していたわけではなかったのだが、
まあ、よいか。


金沢、富山の出張はこの頃多いのだがまともな
鮨やはほとんどいっていない。


店の造りは真新しい。


外に、品書きも出ており、安心はできそう。
暖簾を分けて、入ってみる。


明るい店内、白木のカウンター。
若い板さん。
なかなかよさそう。


お客は男性一人。


座って、ビールをもらう。


お通しで出てきた、蕪(かぶら)鮨。





少し前に、富山駅で売っていたものを買って帰って
家で食べてみたことがあった。
(一度は途中でどこかに忘れて帰ったのであった。)


明らかに、それよりも数段うまい。


5mm程度の厚みに切った蕪の間に、同じくらいの厚みの
鰤(ぶり)のスライスをはさんで麹で漬けたもの。
鰤の切り身は水分がある程度抜け、熟(な)れており、
うまい。


こちらでは正月料理であったか。


なるほど、これならさもありなん。


刺身を少し、ということで、やっぱり、寒鰤。





もう、北陸の冬の味覚はこれにとどめをさすだろう。
あまりよく撮れていないが、上が背の身で、下が腹。
腹側は、よい脂がたっぷり。食感もしっかり。


背側もあまみがあり、ぷりぷり。
最高の味覚、で、ある。


これだけでも、金沢へ来た甲斐があったというもの。
さて。


ここで、にぎり。


わからないので、一人前。特上3000円也を頼む。





まずは、右がかじきで、左がまぐろ中トロ。


いきなり、大物。


かじきは、やはり富山で昆布〆、というのを買って食べたが、
なかなかうまかった。


板さんに聞いてみると、やはりこちらでは、
かじきをよく食べるらしい。


東京のちゃんとした江戸前鮨では、かじきはまず使わない。
刺身で食べることもまずないが、おもしろいもの、で、ある。


中トロもなかなかなもの。


魚の切り方は江戸前よりも厚い。
にぎり鮨の場合、酢飯とのバランスも重要だが、
酢飯はそこそこ大きめでよい。魚が大きければよいだろとばかり、
酢飯はほんの少しで、魚ばかり長く切ったにぎりは、
にぎりる意味がない。


いかは、あおりいか。





鰤と、鯛。





鰤は、にぎりでも登場。


これだけのものが登場すると、鯛など添え物のような感じ。


そして、これでもか、と、





大トロ。



もう、なにもいうことがない。



かに、甘海老。



最後に、うにといくら。





巻物は、なし。


合計、5000円。


これだけのものを東京で食べれば、
間違いなく、1.5倍あるいは、2倍は取るかもしれない。



流石、で、ある。