浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



歌舞伎

歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 その1

1月3日(水) やっぱりこれも書いておかねば。 各メディアでも取り上げられているので ご存知の方も多かろう。 高麗屋、松本幸四郎家の三代同時襲名。 初芝居でもあるが、今年は三日の昼に、 歌舞伎座へいってきた。 襲名口上は夜の部のみで、本来はこちらを…

歌舞伎座・吉例顔見世大歌舞伎 その6

引き続き、11月の歌舞伎座「顔見世」の昼、 「雪暮夜入谷畦道」。 この芝居に、黙阿弥や五代目菊五郎は、江戸の粋、 江戸の美意識をこれでもかと押し込んだ、といってよい のであろう。 結局、この芝居はなんであるか、というお話である。 明治の14年3月が初…

歌舞伎座・吉例顔見世大歌舞伎 その5

引き続き、11月の歌舞伎座「顔見世」の昼。 「雪暮夜入谷畦道」、そばやの続き。 このそばやの場では、そばやで男がどう振る舞うのが 粋で鯔背(いなせ)なのか(今風にいえば、カッコよいのか)を 伝えようとしていることを書いている。 ちょいとここでそば…

歌舞伎座・吉例顔見世大歌舞伎 その4

引き続き、11月の歌舞伎座「顔見世」の昼。 今日は最後の「雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)」。 別名、直侍(なおざむらい)。 もともとのタイトル、外題は「天衣紛上野初花(くもにまごううえのの はつはな)」。また、河内山と直侍、ともい…

歌舞伎座・吉例顔見世大歌舞伎 その3

引き続き、11月の歌舞伎座、顔見世。 前回は一番目の「鯉つかみ」。 二番目は「奥州安達原」。 これは吉右衛門が座頭の芝居ということになる。 最終的な感想は、やはり、同じようにわかりやすく、 たのしめた。 私は初見。 初演は浄瑠璃で、宝暦12年(1762年…

舞伎座・吉例顔見世大歌舞伎 その2

さて。引き続き、歌舞伎座の「顔見世」興行。一番目の「鯉つかみ」。この「鯉つかみ」という芝居は、一つではなく、お話違いでたくさんあるよう。そのたくさんあるものの一番最初のものの初演(なのか?)は、ものの本によると文化10年(1813年)江戸中村座…

歌舞伎座・吉例顔見世大歌舞伎 その1

11月5日(日) さて、連休の最終日。 例によって、歌舞伎見物に行くことにした。 今月は、歌舞伎座が顔見世で、国立は「坂崎出羽守」「沓掛時次郎」。 歌舞伎座の昼に、菊五郎の直侍(なおざむらい)がある。 直侍は通称で、雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべい…

團菊祭五月大歌舞伎 その4

歌舞伎座5月團菊祭の最終回。三つ目は「四変化 弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり )」という踊りの幕。これは立役二人で踊る。踊るのは、尾上松緑と襲名した坂東亀蔵。浅草祭なので、通称「三社祭」と呼ばれている。歌舞伎舞踊としては、ある程度…

團菊祭五月大歌舞伎 その3

引き続き、5月の歌舞伎座「團菊祭」。昨日は、一つ目の「壽曽我」と坂東彦三郎家の襲名披露。休憩時間に弁当を食う。既に書いたようにくる途中、銀座三越の地下で買ってきた。今日は、うなぎが食いたくなって[ての字]のうな弁。 [ての字]というのは創業…

團菊祭五月大歌舞伎 その2

引き続き、歌舞伎座團菊祭。昼の部がはねて、入場。 これ。 劇場係員のお兄さん。 普段はスーツ姿なのだが、この半纏姿。 襟に音羽屋。 背中の写真は撮れなかったが、丸い鶴の印(しるし)。 音羽屋は尾上菊五郎家。 音羽屋の半纏なのであろう。 こんなのを…

團菊祭五月大歌舞伎 その1

5月4日(木)さて。連休もう一つの行事。歌舞伎見物、で、ある。劇場は歌舞伎座。ニュースなどでも盛んに取り上げられていたのでご存知の方も多かろう。今月は、女優寺島しのぶ氏の長男の初お目見得。寺島しのぶさんは当代菊五郎の娘。寺嶋眞秀君は外孫(そ…

国立劇場3月歌舞伎公演・伊賀越道中双六 その3

3月20日(月)春分の日引き続き、「伊賀越道中双六」。昨日書いたような背景もあって、今回、かなり込み入っており、また、正直、書くほどのものはないと考え、筋を書くのはやめておく。史実とはむろん大幅に違っており創作の部分が多数ではある。これは一幕…

国立劇場3月歌舞伎公演・伊賀越道中双六 その2

3月20日(月)春分の日引き続き、国立の「伊賀越道中双六」。12時開演、16時半まで。序幕から大詰までの五幕構成になっている。序幕は物語の発端。敵討ちのお話なので、とある武士が殺されるのが発端となる。敵の方は当然、殺した動機から、悪者として描かれ…

国立劇場3月歌舞伎公演・伊賀越道中双六 その1

3月20日(月)春分の日 今日は正月以来の歌舞伎見物。 歌舞伎座ではなく国立。 「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」の通し。 中村吉右衛門、尾上菊之助、中村錦之助、中村歌六、中村米吉、、。 むろん吉右衛門が座長格であろう。 「伊賀越道中…

初芝居・歌舞伎座・寿初春大歌舞伎 その4

引き続き、歌舞伎座、初芝居。 二番目は踊り、所作事の幕。 上下と別れており、上は「越後獅子」。 下が玉三郎先生の「傾城」。 越後獅子、あるいは角兵衛獅子という。 主として春、子供が獅子の面をつけて踊る、大道芸といって よいのであろう。 越後といっ…

初芝居・歌舞伎座・寿初春大歌舞伎 その3

歌舞伎座の初芝居「井伊大老」から 彼のことを少しおさらいしてみた。 さらに芝居から離れるようでもあるが、 どうも私の場合、このあたりに興味があるので もう少し、井伊直弼のこと書かせていただく。 井伊直弼というのは、先にも書いたが 今あまり存在感…

初芝居・歌舞伎座・寿初春大歌舞伎 その2

引き続き、初芝居。 一番目の「井伊大老」という芝居。 ご存知の通り、幕末の幕府大老、井伊直弼の話。 安政の大獄と呼ばれている、反対派大粛清をして 桜田門外で水戸藩浪士に襲われ討たれている。 この桜田門外の変の直前の日々を扱っている。 二幕である…

初芝居・歌舞伎座・寿初春大歌舞伎 その1

1月3日(水) 正月三日。 毎年恒例の、初芝居。 歌舞伎見物、で、ある。 この正月は東京では歌舞伎座、浅草、新橋、 そして、国立の四劇場。 浅草は尾上松也などのまあ、花形。 新橋は、市川右近の右團次襲名披露。 市川右近は猿之助一門、澤瀉屋(おもだか…

中村芝翫襲名披露・十月大歌舞伎 その5

歌舞伎座の芝翫襲名披露夜の部、5回目になってしまった。 今日はいよいよ、最終幕。 玉三郎大先生の、舞踊「藤娘」。 お目出度い披露興行を飾る最終幕として豪華で華やかで なにより。 最終幕の開幕が近くなると、アナウンスが流れる。 開幕に遅れると、入れ…

中村芝翫襲名披露・十月大歌舞伎 その4

引き続き「外郎売」に関する疑問。 二つめ。 なぜ成駒屋の晴れの芝居に 音羽屋の松緑が主役を勤める芝居があるのか。 このことであった。 これは明確には分からず私の想像も多少含まれている。 昨日書いた、松緑(先々代)が尾上菊五郎(六代目)に預けられたの…

中村芝翫襲名披露・十月大歌舞伎 その3

引き続き、歌舞伎座、中村芝翫襲名披露。 一幕目の「外郎売(ういろううり)」について書いている。 外郎という薬を売る商人の口上が芝居になっているのだが、 これを“言い立て”ということ。落語にも言い立ては多くあること。 同じ話芸でも講談ではリズムよ…

中村芝翫襲名披露・十月大歌舞伎 その2

さて、引き続き、八代目芝翫襲名披露。 夜の部、一幕目の「外郎売(ういろううり)」。 この芝居はいわゆる曽我もの、という設定に なっている。 江戸期正月の芝居は曽我兄弟の仇討と、 なぜか決まっていた。 むろんのこと毎年毎年、正月はくる。 この度に同…

中村芝翫襲名披露・十月大歌舞伎 その1

10月10日(月)体育の日 夜 さて。 連休最終日は、夜の歌舞伎座。 昨今話題の、中村橋之助改め八代目中村芝翫襲名披露、 十月大歌舞伎。 正直のところ、是非とも観なければ、というほどでも なかったのだが、口上と松緑の演る「外郎売」も観てみたい。 それ…

歌舞伎座6月大歌舞伎・義経千本桜 通し その4

引き続き「義経千本桜」の通し。 「いがみの権太」の「すし屋」が5時20分頃終了。 「狐忠信」の三部は6時15分開演。 30分前に開場。 またまた、劇場内に残っていてもよいのだが、 やっぱりちょいと、出る。 さすがに、もう弁当は買わずに、ビールとコンビニ…

歌舞伎座6月大歌舞伎・義経千本桜 通し その3

引き続き、土曜日に観た、歌舞伎「義経千本桜」の通し。 三部制。 一日、AM11時からPM9時までの長丁場、で、ある。 これを、文字通り通しで観る。 一部は2時ちょい前終了。 二部は2時45分開演。 席は違うが、チケットは三部とも買ってあるので、 中にずっと…

歌舞伎座6月大歌舞伎・義経千本桜 通し その2

引き続き歌舞伎「義経千本桜」の通し。 第一部は「碇知盛(いかりとももり)」と 所作事「時鳥花有里(ほととぎすはなあるさと)」。 所作事というのは踊りの幕のこと。 「千本桜」の所作事は通常今回の第三部で上演される 「道行初音旅」である。このため二…

歌舞伎座6月大歌舞伎・義経千本桜 通し その1

6月4日(土) さて。 先月に引き続き、また歌舞伎。 TVのニュースなどでもやっていたので ご存知の方もおおいかもしれぬが、 今月は「市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候」の 「義経千本桜」の通し。 これはやっぱり観ておくべきであろう。 観終わっての結…

團菊祭五月大歌舞伎 その4

さて。 歌舞伎座の團菊祭も4回目。 最後は「男女道成寺(めおとどうじょうじ)」。 またまた、私の苦手な踊りの幕。 なのであるが、不思議と今回は飽きずに観ることができた。 「道成寺」。 「道成寺」にも実に様々なバリエーションがあって、 もっとも一般…

團菊祭五月大歌舞伎 その3

引き続き、五月大歌舞伎。 昨日は、二つ目の「三人吉三」。 今日は三つ目の「時今也桔梗旗揚 (ときはいまききょうのはたあげ)」。 その前に弁当を。 日本橋[弁松]。 おかずは同じだが、こっちがたけのこ飯。 そして、たこ飯。 日本橋[弁松]は160年ほど…

團菊祭五月大歌舞伎 その2

引き続き、連休、歌舞伎見物。 團菊祭の二つ目。 「三人吉三」大川端庚申塚の場。 黙阿弥先生作のあまりにも有名な作品の あまりにも有名な幕。 黙阿弥作品、いや歌舞伎を代表する名台詞が登場する。 なん度か観ているかと思ったら、通しを国立で一度だけで…