5月30日(土)第二食
さて、土曜日。
なにを食べよう。
生そばが残っている。
鶏ぬき?はどうだろうか。
そばの「ぬき」。
そばといっても、酒の肴である。
好きでそばやでももちろん食べるが、自分で作って食べ、
毎度書いているが、いまだ一般的ではないだろう。
地方は知らぬが、東京のそばやでは、一般的な
食べ方であった。
河竹黙阿弥翁の明治になってからの名作歌舞伎「雪暮夜入谷畦道
(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)」。
直侍(なおざむらい)のそばやの場に出てくる。
豊原国周 明治26年(1893年)「梅幸百種之内」「直侍」
「みちとせ 故 岩井半四郎」5代目尾上菊五郎 8代目岩井半四郎
「タマゴやテンのヌキ」で一杯やる、という台詞がある。
作品の初演は明治になってすぐだが、おそらく江戸末期の
江戸のそばやでは酒の肴としてやられていたものであろう。
なにかというと、温かいそばの、そば抜き。
タマゴであれば、月見そばの、そば抜き。
テンであれば、天ぷらそばの、そば抜き。
つまり、温かいそばつゆに生玉子や天ぷらを入れたもの。
これを酒の肴にする、のである。
今も、おそらく東京の大方のそばやで、言えば
作ってくれると思われる。
そして、さらに、私は、冷たいそば、ざるや盛りの
つけ汁に具が入ったもの、鴨せいろのつゆが一般的で
あろうが、これも酒の肴にする。
この延長で、いろんなものをそばつゆに入れて、
酒の肴にしている。
鴨があるなら、牛。
あるいは、豚。
牛ぬき?、豚ぬき?、で、ある。
「?」を付けているのは、温かいそばのつゆの場合が
○○抜き、なので冷たいそばのつけ汁なので。
そこで、今日は鶏ぬき?。
温かいそばであれば、鶏南蛮。
動画にした。
まず、鶏もも肉とねぎを切る。
まずは、鶏肉は、まあ食べやすい大きさに切る
だけではあるが、ちょっとだけポイントがある。
一口に切るのだが、四角く機械的に切るよりも
できるだけ鶏肉の塊というのか、筋肉なりに切る。
でなければ、そぎ切り。
食感が違うのである。
これは、あの、神田[まつや]の鶏南蛮そばの
鶏肉の切り方で発見したことであった。
そして、煮る。
まあ、これは、つゆで煮るだけ。
毎度書いているが、家のつゆは桃屋のつゆ一本鎗。
とにかく濃い。
東京下町の味に一番近いと思っている。
今回はさらに、しょうゆを足している。
桃屋だけでは、甘いと感じるので。
鶏ぬき?、の、出来上がり。
これで、ビール。
鶏の皮をもっと意識的に入れて脂を出してもよかった。
だが、こんなものでも、十分以上に酒の肴になる。
簡単で、うまい。
鶏肉とねぎをつまんで、そばをゆでる。
まだ、生わさびが残っているので、わさびもおろす。
そばの出来上がり。
生わさびになるだけで、やっぱりちょっと違う。
今回、この自粛のお蔭(?)で安く手に入った
太い生わさび。
癖になりそうである。
生そばと生わさびを、冷蔵庫に常備しておく?。
考えてみようか。