浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



豚汁

4452号

11月20日(月)夜

さて、なにを食べよう。
寒くなってきたので、温かいもの。

そうだ、豚汁。
東はとん汁で西はぶた汁だそうだが、まあどちらでもよい。

先日、煮込み、もつ煮を作ったが、やはり
汁のある煮込みものがよい季節。

豚汁はもちろん、簡単なので、過去にも
なん度も作っている。

TVドラマの「深夜食堂」の唯一の定番メニューが
豚汁であった。
番組で作り方をよく流していたのだが、先に
肉や野菜を炒めていた。

皆さん、どうされてようか。
私はどうかというと、炒めるという意識は
なく、おそらくそのまま煮ていたと思う。

改めて、レシピを調べてみると、やはり
炒めるというのがほとんど。
これ、なぜであろうか。

豚汁というのは、豚肉に根菜を入れた味噌汁
ではないのであろうか。

ご存知のけんちん汁は、先に材料を炒める。
これは、けんちん汁の出自によるものと聞く。
けんちん汁の発祥は鎌倉の臨済宗大本山建長寺
といわれている。建長寺がなまって、けんちん、と。
まあ、お寺の精進料理なのだが、鎌倉時代禅宗
中国から入ってきており、建長寺の開祖も
蘭渓道隆という中国からの渡来僧。
つまりけんちん汁は中国料理がもとなのである。
それで先に炒める、と。

日本料理で材料を先に炒めるというのは、基本
ないと思われる。

けんちん汁の影響?。

豚汁は明治以降、軍隊食として考えられ広まった
と言われているよう。肉も野菜も同時に摂れる
栄養食として。やはりカレーライスに近かろう。

和食のようで和食でない?。
それで炒める?。

だがまあ、炒めることの論理的な説明にはあまり
なっていない。

ともあれ。
今日のレシピは「味の素」のものを
ベースにする。

材料を買ってくる。
里芋を入れる人もいるようだが、私はじゃがいも。
豚こま切れはある。にんじん、これも冷蔵庫にあった。
牛蒡は必須。それから豆腐。これはやっぱり煮込むので
木綿。大根も入れようか、1/3のもの。
こんなところでよいか。

材料を切る。

牛蒡はたわしで軽く洗って、小口切り。
豚汁の場合、笹がきではなくこちらの方が
私はよいと考える。
大根は薄めの銀杏切り。
にんじんも薄く。
じゃがいもは皮をむいて煮えやすいよう
小さめに切っておく。

雪平鍋に油を引いて、豚肉細切れ。

火を強くするとくっつきやすいので気を付けながら。

ただ、炒めるのであるから、おざなりではなく、
火を通し、むしろ、焦げ目が入るまで炒めてみよう。

洋食で炒める意味は焦げ目を入れること。
いわゆるメーラード反応をさせる。

よいかな。牛蒡、にんじんも投入。

これも油によく馴染むまでよく炒める。

じゃがいも。

大根。

これらは、まあ、和える程度。

OK。

水を入れ、大き目に切った豆腐。

一度煮立て、アルミホイルで落としぶたをし、
アクが出ぬよう、極弱火で10分ほど煮る。

火を止め、放置調理。
これ、時間があれば意外に効果的。
余熱で加熱は進む。

30分ほど置いて、味噌を投入。
じゃがいも、にんじんも煮えている。

ねぎはすぐ煮えるので、ここで。

味見。
ちょい薄いので、味噌を足す。

それから、、、。
なんだか、旨味が足らない、、、。
豚肉とこれらの野菜だけでは、不十分であったか。
味の素のレシピではあたり前のように「ほんだし」を
入れている。出汁を取るべきであった。
化学調味料は、ポリシーとして滅多に使わぬのだが、
持ってはいる。ちょいと、入れてみる。

よし、OK。

出来上がり。

ビールを開けて、食べる。

ほんだし」のおかげもあってうまいものには
なった。また、温まる。

が、、、うーん。
やっぱり、最初に炒める意味は?。
豚肉のうまみがよく出ている、とも思えない
のだが。

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。