浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



根岸・洋食・香味屋

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4059号

3月27日(日)第一食

さて。
今日は根岸の洋食や[香味屋]に

行くことになった。

かなりの久しぶり。
あまり私の頭に選択肢がなかったのである。

内儀(かみ)さんが言い出したのだが、
内儀さんは、私が根岸の話をしていたから、
ということである。
正確には、正岡子規の話をしていたのだが。

ともあれ。
昼、内儀さんがTELをしてみると
夜は、既に一杯とのこと。
だが、通しでやっているよう。
すぐに行けばいいじゃないか。30分後、
14時でいいだろう。もう一度TELをして予約。

タクシーでいいだろう。
春日通りで拾って、清洲橋通りから昭和通り
柳通りを左に入って、金杉通りを越えて、
[香味屋]は左側。
1000円ほど。
意外に近いのである。

根岸の[香味屋]というのは、大正14年(1925年)創業。

ご存知かどうか、わからぬが、根岸というのは
花柳界、いわゆる三業地であった。
大正11年(1922年)の数字で料理屋23軒、待合17軒、
芸者置屋33軒という。この三つの業態で三業地。
この規模は、東京ではそう大きい方ではないし、
また、根岸はこの時点でも新開の花柳界
鶯谷駅周辺に今もかなりの数のラブホテルがあるが
あれも名残。
[香味屋]のあるあたりに芸者さんの住む置屋があって
鶯谷駅付近に待合があり、人力車で通っていたという。
この待合が今のラブホ街ということになろう。
芸者町には、当時ハイカラであった洋食やができた。
浅草観音裏、銀座[資生堂パーラー]、人形町にいくつかある
老舗洋食や、、。[香味屋]もそんな立地といってよい。

ただ、妙に思われる方もあるかもしれぬ。
江戸時代、風流な別荘地であり、明治には俳人正岡子規
住んだ根岸が、なぜ?と。
ご興味があれば、以前に書いているので、ご参照されたし。

ともあれ[香味屋]。

14時に着いて、入る。
コートを預け、テーブルに案内される。

ここでは、なにを食べるべきか?。
もちろん、老舗洋食やなので、洋食らしいメニューは
一通りあるが、やはりデミグラスソース系が
うまいのではなかろうか。

ビールをもらって、コンビネーションサラダ、
テールシチュー、カニクリームコロッケ、オムライス。
こんな感じでどうであろうか。
むろん、二人で。

ビール。

オムライス用であろう。
らっきょと福神漬け。

そばやでかつ丼や親子などのご飯ものには
お新香を付ける。
これが洋食やのご飯ものに援用された。
ご飯ものにお新香的なものが付いていないと
きっとなにか物足りなく思えたのであろう。
今は妙にも思えるが、当時の習慣になった。
資生堂パーラー]のご飯ものにはもっとたくさんの
添え物が付く。

コンビネーションサラダ。

きれいに盛り付けられている。
特徴はやはりドレッシングであろう。

古い洋食やのマヨネーズやドレッシングは
あまり酸っぱくないのである。
これがよろしい。
今、一般的なものよりも酸味を抑えている。
私などもそうなのだが、日本人の男性は
酸味が苦手、なのである。
酸味を感じる味蕾が日本人女性や外国人よりも多く、
感じやすいのである。
やはり、段々に馴れてきたのであろう。

かにクリームコロッケ。

きれいな俵型。
たっぷりのタルタルソース付き。

テールシチュー。

テールの肉がほろほろなのはもちろん、
なのだが、やはり特筆すべきは、ここの
デミグラスソース。
実は、私自身、デミグラスソースというのは、
そう得意ではない。
苦いのがもう一つ、なのである。
今日は頼まなかったが、ここのデミグラスソースは
白いご飯に合う。

そして、オムライス。

そう。フワトロではない。

中は、

まあ、ノーマルなチキンライスか。

フワトロもわるくはないが、どちらかといえば
私はしっかり焼いた玉子焼きの方が、好み。

とてもオーソドックスなオムライスであろう。

以上。

うまかった。

ご馳走様です。

会計はこれにビール二本で11000円。

やっぱりここにもたまにはこなければ。

 

 

香味屋

台東区根岸3-18-18
03-3873-2116

 

 

 

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