浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



アヒージョ

dancyotei2017-02-07


2月4日(土)夕〜

焼売が食いたくなった。

焼売は、私のかなりの好物かもしれぬ。
餃子よりも好きである。

横浜崎陽軒のものがスタンダードとして、ああいう
小粒のものも好きなのだが、それこそ“町中華”で大ぶりのものが
あるが、あんな風に大きくて肉々しいというのか、
肉の旨みにあふれているのがよい。

よし、作ろう。

思い立って、ハナマサへ買い出しに出たのだが、
同時にアヒージョも食べたくなった。

アヒージョが食べたいというのは、まあ、早い話が
呑みたい、ということなのではある。

焼売用の豚バラと焼売の皮、同時にアヒージョ用にぶなしめじ
フランスパンを買って帰ってきた。

焼売を作ろうとするとかなりの手間がかかる。

どうも早く呑みたいというのが勝ってしまった。

アヒージョというのはオリーブオイルの料理で
スペイン料理
さすがに、焼売とは合わない。

焼売は明日にして、早くアヒージョを作って呑もう。

アヒージョというのは、考えてみると
不思議な料理、で、ある。

オリーブオイルに、にんにく、塩。
極端なことをいえば、これだけでも成立しそうである。

オリーブオイルを熱くし、にんにくの香りを移し、
あとは塩が入ればOK、ということである。

だが、たいていはきのこ類を入れる。

きのこ類からは旨みが出る。
香りもよい。

塩味と旨みを同時に加えるのであれば、
アンチョビを入れてもよい。
ただ、これは具というよりは、味付けであろう。

一般には、小海老、貝類その他、魚。
肉類でもよい。

野菜を入れたものをあまり見ないのは
水分が出るからか。
あるいは、揚げ煮になるので、加熱しすぎると、
食べられなくなる、ということか。

具がなくても成立するのは、オイルをフランスパンなどに
つけて食べるのが主なスタイルだからであろうか。

いや、本来はバルなどのタパス、小皿料理なのであろう、
やはり酒の肴で、ちょいと小海老やきのこを楊枝で刺して
つまむのか主なスタイルになるのか。

フランスパンにつけてでもむろん、酒の肴として
大いに成立するが、これを主なスタイルにしているのは、
私だけかもしれぬ。

わからぬが、具などなくとも、
いくらでもパンが食べられてしまう。

さて、作る。

まあ、作る、というほどのことはない。

土鍋にオリーブオイルを張る。

量は、ぶなしめじに火が通って嵩(かさ)が小さくなったときに
ヒタヒタになるくらい。

ぶなしめじのいしづきを切ってほぐす。

土鍋に点火し、しめじを1パック全部入れる。

味付けは、ニョクマム

それもたっぷり。

私はこれに決めている。

アンチョビというのはかたくち鰯の塩漬けであるが、
醗酵食品でもある。

これがいけるのであれば、同じく魚介類の
塩漬け+醗酵食品の、日本の塩辛でもよい。

私自身は、パスタににんにくに加えて、いかの塩辛や、
鰹の塩辛の酒盗を入れる。

塩辛がよいとなると、塩辛の主成分である、
いわゆる魚醤でもいける。
つまり、東南アジアの魚醤、ニョクマムナンプラーといった
類いである。

実際に塩辛や魚醤は、にんにく+オリーブオイル
とても相性がよい。
アヒージョは酒の肴なので、塩味は濃い方がよい。
それで、たっぷり。

味見、OK。

しめじがしんなりすれば出来上がり。
仕上げに胡椒を軽く振る。

塩辛や魚醤は過熱をすれば、匂いはほぼなくなる。

フランスパンは切って軽くトーストする。

ビールを開けて、食べる。

ちょっと塩辛いくらいが、やっぱりうまい。

そしてただの塩ではなく、ニョクマム
正解、で、ある。
ニョクマムのうまみと、しめじのうまみ。

オリーブオイル+にんにくもうまいのだが、
この二つが加わり、黄金ではなかろうか。

いくらでも食える。

 


明日こそ、焼売。