浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



五反田・讃岐うどん・おにやんま

dancyotei2016-02-14


2月10日(水)夜



水曜日。


19時、五反田のオフィスを出る。


明日は休み。


どうしようか。


しばらくご無沙汰していた、讃岐うどんの“路麺”
[おにやんま]へ行こうか。


ご無沙汰していた理由は、あまりにもかためて行ったので
ちょっと飽きた、というのと、食べすぎはやはり
よろしくなかろうと、意識的に控えていた、
というのもあった。


夜になってやっぱり寒い。


毎日の通勤路のホテル街を駅方向に抜けて
桜田通りの交差点に出てくる。



五反田駅を左に見て桜田通りを渡る。


五反田駅には駅舎をはさんでガードが二つあって、
こちら側、桜田通りと[おにやんま]があるのは
もう一つ、大崎側のガード際。


西口の駅前は、大和証券があってヴィクトリアゴルフ。
ちょっと山手線の駅前にしては地味な感じ。


このビルはなにかと思ったら、カーオーディオ、カーナビの
アルパインの本社ビルであった。


その隣がここも硬く並んで野村證券


むろん野村證券もこの時刻には閉まっている。


大崎側のガードの通り。
[おにやんま]はこの通りの向こう側で突き当り、
この正面なのでこのまま通りを渡ってしまうのが早いのだが、
交通ルールは守って一度右に曲がって目黒川方向、20〜30m先の
信号のある横断歩道を渡る。


この先はまだあまり歩いたことがないのだが、
目黒川を渡って、大崎広小路になる。
こちらもなかなか味がありそうな街の様子ではある。


どうでもよいが、ここ目黒川に架かる橋は大崎橋という。
五反田であるが、大崎橋。


江戸の地図





調べてみるとやはりこの橋、いやこの通りは江戸の頃からここを
通っており備前岡山藩池田家下屋敷から
品川台町方向へ向かっていた。
橋の名前はその頃からのもののようである。


江戸期にはここは行政区画としての地名は下大崎村で
五反田はここの字名にすぎなかった。


ともあれ。


信号を待って横断歩道を渡り、左。
プロントがあって、チェーンの立ち喰い寿司、
合鍵店、路地一本、調剤薬局
この並び、なんだかバラバラである。
このあたりが五反田っぽい。


調剤薬局の隣が[おにやんま]。


店前の歩道のガードレール近くに出してある店の看板に
3人ほど並んでいる。


店内が一杯の場合、店の外、左にある自販機で
先に食券を買って看板の前から並ぶのがルール。


今、一人が、自販機で食券を買っている。
その人の後ろに私もついて、待つ。
と、すぐに私の後ろにも人が立つ。


やっぱり、温かい鶏天、かな。


私の番になり、小銭を出して、買う。


看板前に並んでいた3人は既に、店内へ入っている。


替わって看板前に並ぶ。


むろん、回転は速い。2〜3分。


お兄さんに声をかけられて、いわれた右側の出入口から入る。


あいていたのはカウンターの一番手前。
荷物は足元にあるブルーのプラスチック容器に
入れる。
カウンターに食券を置く。


なん回かきてわかったのだが、注文は自販機から
直に店の中にも情報が行くようで、客が出す食券と
照合して、お客の手元に注文のうどんが届くように
なっているようである。


お兄さんは今は3人。


私の目の前は茹ったうどんを冷水で洗う場所。


茹でて冷水で洗って、一杯分を丼に取ってもう一度温めて
湯を切り、もう一人のお兄さんに渡して、温まった
つゆを張り、具を載せて、出す。





鶏天。



ここはつゆの温度に多少のばらつきがある。
つまり、ぬるいことがたまにある。


今日のつゆは、熱い。
やっぱり熱いものは熱くしなければ。


味は、むろんうまい。


腰のある讃岐うどん
熱いつゆ。


そして、舌が火傷をするほどの揚げたての
鶏天。


格別、で、ある。


食べ終わり、左隣りにある麦茶のタンクから
プラスチックのコップに一杯注ぎ、飲み、
ご馳走様ぁ〜〜、といって、出る。


なんであろうか。
この満足感は。


単にうまい讃岐うどんを食べたということ以上の
満足感なのである。


うまいうどんをしゃかりきになって作るお兄ちゃん達と
それを立って無言ですすり込むお客達が醸し出す活気、
ライブ感のようなものがこの店に満ち満ちている。


このライブ感にひたった満足感。
そんなものが、この店の魅力なのかもしれない。






おにやんま
品川区西五反田1-6-3