2月26日(木)昼
さて。
[鼎泰豊]である。
ティンタイファン。
ご存知の方も多いのではなかろうか。
台湾の台北が本店。小龍包が看板の中国料理店。
新宿の高島屋に初出店した時には大いに話題になり、
行列でとても入れなかった。
実は、私は行ったことがない。
価格も高めの設定で、そんなに並ぶほどか?と、
足を運ぶ気にならなかった。
(いや、それ以上に、これ以来、小龍包自体に
あまり近づかなくなったといってもいいかもしれぬ。)
また、台湾にも行ったことがないので
当然[鼎泰豊]本店にも行ったことはない。
今日はたまたま池袋で昼飯を食うことになり、
東武の上のレストランで見つけ、少し早めの時刻で
列もなく、入ってみたのである。
頼んだのは小龍包が三つ付いた、酸辣湯麺のセット。
1500円弱であったか。
やはり、お安くはない。
デパートのお昼というのは、まあ、若い方は子供連れの
30代くらいのグループから60オーバーんを含めて、
奥様方の楽天地。
私など場違い。
ともあれ。
小龍包。
ちゃんとしたところで、小龍包に集中して食べるのは
久しぶりかもしれない。
レンゲに取って、
針生姜をまぶし、酢じょうゆを
つけて、口に入れる。
さすがに[鼎泰豊]、スープが口中にあふれ、べら棒にうまい。
とまらない。
バクバクと三つ食べてしまう。
少し待って、酸辣湯麺。
これはまあ、普通であろう。
(以前に、市ヶ谷の[中国飯店]で食べたものは、大感動をした。
中国ハムなども入り、辛いことは辛いのだが、とにかく
コクがあってうまかった。)
さて。
小龍包。
あらためて、名にし負う[鼎泰豊]、うまいもんだと実感した。
特にここのものは皮が薄い。
日本で一般に焼売などに使われる薄いものに近いのではなかろうか。
この薄さが食感のよさになり、スープと相まってうまさの一つになっている。
先にも書いたが小龍包のカリスマ[鼎泰豊]を
避けていたので、必然的に小龍包自体も避けていた
ということになっていたのである。
小龍包というと中国でも、上海の発祥でところの名物となっている。
実は、もう20年ほども前になるが、小龍包が日本で一般化する前に、
その上海、小龍包発祥の店というところで食べたことがあった。
店の名前は[南翔饅頭店]といって、ご存知の方もあろうが、
今では東京の六ヒルに出店があるよう。
当時の印象は[鼎泰豊]ほどの薄さの皮ではなく、
手で伸ばした感じの、厚めのものであったような気がする。
その後、私は中国風の水餃子や焼売は自作をするので、その延長とばかりに、
無謀にも小龍包を自作しようとしたことがあった。しかし案の定、これは大失敗。
小龍包の皮の中には具とともにゼラチンで固めたスープを
忍ばせる。これが溶けてあのスープになるわけである。
中国のオリジナルレシピでは豚皮や骨(軟骨)やらを
煮出して、ゼラチンを取るということになっており、
豚足かなにかを煮出したような記憶があるが、まあ、
素人ではとてもじゃないが、ゼラチンにまでたどり着かなかった。
今考えれば、市販のゼラチンを使っても大きな
違いはなかったであろう。
中国の点心、例えば水餃子にしても焼売にしても、うまいものである。
豚ひき肉をよく練ってアミノ酸が出た具を、
小麦粉の皮で包み、加熱し、その旨みを味わうという料理である。
作る方も慣れればそう難しくはない。
そして、安い。
だが食い物としての完成度はかなりのものなのではなかろうか。
ここでいうのは凝った点心ではなく
ノーマルな水餃子、焼売などのことである。
それで十分にうまい。
小籠包が上海の先の店で生まれたのは
ウィキペディアによれば明治3年という。
ノーマルな水餃子や焼売よりは、おそらく新しいのであろう。
中国の点心としては餃子、焼売よりも後で、これらをふまえ、
スープを加えた点心の進化形ということができよう。
薄い皮は [鼎泰豊]の発明なのであろうか。
わからぬが、小籠包はまだまだ進化し、
よりうまい点心になるのかもしれない。
(欲をいえば、もう少し安くしてほしいものであるが。)
また、自作に挑戦してみようかしら。