浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野・餃子・昇龍

dancyotei2015-07-01



6月29日(月)夜



さて。


餃子、で、ある。
こう暑くなってくると食べたくなるものといえば、
もう一つ、餃子、ではなかろうか。


むろん、焼き餃子。


餃子がきらいな人というのも少なかろう。
やはり、これも国民食といってもよいのであろう。


皆様であれば餃子といえば、どこであろうか。


店ではなく、家庭の、という方もおられよう。


私の場合は、自作をするとすればいわゆる普通の
焼き餃子ではなく、中国風の野菜の入らない点心の餃子である。


普通の餃子が食べたくなると、自作ではなく
外で、ということになる。


餃子というと、東京でも著名な店も多いし、また地方でも
宇都宮だったり、浜松であったり、いろいろな名前が出てくる。


さて、そこで、で、ある。


では、うまい餃子というのは、どういうものなのか、
という問題である。


実はこれ、私自身は人によって大きな差があるのではないか、
と思っているのである。


私も例えば都内でもうまいといわれるところのものを
いくつも食べているが、今のところびっくりするほど
ダントツにうまいというものに出会ったことがない。


これはなにかというと、もしかすると焼き餃子というのは、
ある一定以上はそう大きな違いがないのではないかと、
いうことなのである。


そこそこのセオリー、例えば、よく練るとか、を押さえていれば
家庭でもうまい餃子はできる。
それ以上の違いは出しずらい、のではなかろうか。


よく羽根つき餃子などというのが話題になるが、
これは実際のところ餃子の本質ではない。


そうするとどういうことになるのかというと、
人それぞれの好みということになろう。


店の雰囲気だったり、値段、形、大きさ、その他での
好き、嫌いということになっているのではなかろうか。


と、いうことで、私の好きなのは大きいもの。


それで、上野[昇龍]のもの。
もうここなん年も決まっている。


かなり以前にこの[昇龍]のことをこの日記に書いた時のこと、
「ここ、うまいか?」というコメントを
読んだ人にもらったことがある。


まあ、根本的に、人がうまいといっているものに
「うまいか?」というコメントはナンセンスである。


友達でも家族でもない人間にいわれる理由はない。
人の好み、大きなお世話である。


その上「うまいか?」の理由に、ジューシーではないから、
ということをいう。


これはもっとナンセンスである。


前にも書いていると思うが、焼き餃子は本来ジューシーなもの
なのか、ということなのである。


大方グルメマスコミの影響だと思う。
なんでもジューシーですませてしまう。


例えば、皮で密閉して蒸している小龍包ならば
汁気が多く、ジューシーでよい。


焼き餃子の場合は水を入れて蒸し焼きにする間に、
汁気は一度外に出て、煮詰めてもう一度皮に戻る、
という挙動をしていると思っている。


あるいは、皮を完全に密閉していない焼き餃子も以外に多くある。


こんなものはジューシーであるはずがない。
だが、うまいものもある。


世の中の焼き餃子でジューシーさを売りにしているものも
あろうが、ジューシーさのみを焼き餃子に求めるのは
おかしな話であると思っている。


ゴタクが長くなってしまった。


まあ、人がどう思おうが、自分でうまいと思うのであれば
それでよい。特に焼き餃子というものはそういうものでは
なかろうか、というのが私の今日の結論。


と、いうことで上野[昇龍]。


場所は、アメ横、海苔屋のガード。
これでおわかりの人は、そうとうな上野通(つう)。


上野と御徒町の間ににはなん本かガードがあるが、
なぜか海苔屋が二軒並んでいるところがあって、それが目印。


NHK連ドラ「あまちゃん」のアメ横女学園の舞台とされた、
アメ横センタービルの三角形の頂点のすぐ北のガードである。


近くにもう一軒あるが、本店はこのガード下のカウンターだけの小さな店。


お世辞にもきれいとはいえず、いかにもアメ横ガード下という雰囲気。


店の前、外で持ち帰り用のものを売っていたりするが、
その脇を通って狭い店に入る。


おばちゃん(あるいはオジサン)に、一人といって、
空いている席に座る。


座ったら頼むのは、瓶ビールと餃子、のみ。


餃子が大きいので、一人ならばこれで十分。


ビールとお通し。





ここの瓶はサッポロラガー。
お通しは小皿にのったもやしのナムル。
ほどなく、ヘイ、オマチ、と、餃子が置かれる。


一人前、4個。


大きめの取り皿に、酢じょうゆラー油を作って、





ガブっと、かじりつく。



やっぱり、夏は餃子だよね。



ご馳走様でした。





03-3832-0847
台東区上野6-10-14