浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



鮨・新ばし・しみづ

dancyotei2009-11-11


11月8日(日)夜


土曜日は、内儀(かみ)さんも出かけておらず、
以前煮たつゆをベースに、
モツの煮込みなんぞを作って、呑んだくれ。


日曜、夜。


久しぶりに、新橋のしみづへ鮨を食いに行くことにする。


やっぱり、値段、味(腕)、雰囲気、その他含めて、
今、私には一番よい鮨やではなかろうか。


昼頃TELを入れ、予約。
やはり、人気のようで、17時から。


16時半頃、内儀さんと出る。


稲荷町から銀座線に乗って、新橋。


以前の店から、斜向(はすむ)かいの新しいところに
移ってから、二回目、で、ある。


17時ぴったり、店に到着。
どこかに出ていたのか、路地の向うから親方が歩いてくるのと
ちょうど行き合う。


店に入ると、一番奥へと、案内される。


既に、二組ほど先客も待ってた。


ビールをもらう。
今日は、おまかせ、に、してもらおう。


刺身を少し、切ってもらう。


切ってくれたのは、鯛と、たこ。
9月にきた時には、確か、たこは、なかった。


ここのたこは、ほんとうに、うまい。
なにもここだけに限らないが、たこの味とすれば、
正しい江戸前の仕事をしたものは、たこの食べ方とすれば、
最上、ではなかろうか。
柳橋美夜古鮨から、鶴八、を経由し、しみづ、へ続く
流れは、正しい江戸前のたこ、を、伝えている。
(むろん、鶴八も、うまい。)


もちろん、ものもよいのだろうが、
香りがよく、柔らかく、旨みにあふれている。
これ以上のたこは、お目にかかれない。


鯛は厚く切ってある。
鯛も白身であるから、薄く切る方が多いように思う。
だが、厚く切った方が、しこしこした食感と
濃い旨みが、味わえる。


内儀さんが腹が減っているというので、
ここから、にぎりにしてもらう。
(これでは、なんのことはない、
自分で好みで頼んでいるのと、あまりかわらない。)


まずは、さより、から出てきた。


毎度のことだが、ここへきて、
最初のにぎりを口に運ぶ時には、
ここの赤酢を使った、濃いめに仕上がった酢飯に
思いがいく。


あー、この味、この味。
しみづの酢飯、だ、と、再認識。


さよりは、軽く酢洗いをしているか。


キリッとしており、うまい。


続いて、すみいか。
プチっとした食感とあまみ。
これも、うまい。


にぎるそばから、ばくばく、食う。
これは池波先生の教え。
鮨と天ぷらは、親の敵(かたき)のように
食べなければいけない、と。
鮨も、天ぷらも、気合いの、もの。
呑んだり、喋ったりしながら、いつまでも
置いておくのは、料理人に失礼である。


しまあじ
よい香りと、旨み。
(いや、ほんとに、しまあじは、うまい魚、で、ある。)


小肌。
やっぱり、ここは、〆もの、光りものは、うまい。
伝統の技に磨きをかけている。
きつめの〆加減だが、これが、しみづ、の小肌であると、
主張しているよう。


まぐろ、赤身。
続いて、まぐろ、中トロ。


内儀さんは、赤身がもともと好物、で、あるが、
今日の、しみづ、では、赤身が最もうまかった、と、いう。


以前に、視たTVで築地のまぐろを扱う有名仲卸の店先の
カットに品物を買っている、ここの親方が映っていた。


むろん、そうとうに吟味をしたものなのであろうし、
赤身も中トロもどちらも繊細な食感が特徴である。
そして、ここの味の濃い酢飯とにぎると、
より、酢飯が主張しているように感じ、
他の店とは違うまぐろにぎりになっているように思われる。


〆鯖。
(このへん、順序が怪しい。)
〆具合は、深くはないが、浅くもない。
中間よりは、少し浅め、か。


よい脂で、うまい。
やはり、今年の鯖はうまい、か。


ぶり。
これは、確か、ここに初めてきたとき、
今年の二月に初めて出会った。


(おそらく)サクで霜降りにしたものを
サクごと、〆ている、あるいは、なにかで
ヅケ、に、している。
この技は、ここ以外では、私は見たことがない。


うまい。


赤貝。


煮はま。


はしら。


の、貝三種。


(これも順序は怪しい。
内儀さんは続いていなかった、というし、
私は、続いていたような、、。)


赤貝は、ちょっと小ぶりかもしれぬ。
(にぎりの大きさに合わせた大きさか。)
プリプリで、あまみと潮の香り。煮はまは、
ふっくらとし、うまい。


海老。
大きな海老を、やはり、二つに切って。
ほんのり人肌で、しゃっきり、みずみずしく、
あまい。


穴子
いつものように、塩とたれ。
うまい。


おぼろを入れた、海苔巻。
これは、内儀さんが、どうしても、
ここのおぼろを食べてみたい、といい出したので、
最後に海苔巻(干瓢)に巻いてもらった。


私も、海苔巻に巻いてもらったのは、
初めてだったが、おぼろが、そこそこ
主張しており、うまいものであった。


腹も一杯。


勘定は、ビール二本と、酒一本で、
二人で、30000円。


おまかせで頼んだせいか、
いつもよりも、気持、かかった。


店を出て、時計を見ると、18時。
ちょうど、一時間。


まんぞく、まんぞく。





TEL:03-3591-5763
住所:東京都港区新橋2丁目15−13