浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



小肌とやりいかのにぎり鮨 その1

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1月19日(土)夜

1月19日(土)夜

さて。

午後、吉池をのぞく。

目に留まったのは、開いた小肌。

開いたもの。

小肌はかなりの割合で、吉池にあるのだが、
開いたものはいつもというわけではない。
このところ、置いているのに気が付いていた。

作ろうか。
〆て、鮨を。

実は今日浅草の[弁天山美家古]へ行こうと思って
TELをしたのだが、予約で一杯であった。
このところ当日はもちろんだめで、先もずいぶん
埋まっているようである。

まあそれで、手間はかかるが
やってみる気になったのである。

ちょうど、パック入りの生のやりいかもあった。
これも、煮いか、にぎり鮨にできる。

購入し帰宅。

小肌は五枚。1枚70円。
安いものである。

それに対して、やりいかは高いものである。
イカ類は少し前から全般的に高価。
函館などのするめいかの不漁はよく報道されている。

そういえば、暮れあたりからタコの不漁、高騰も
報道されている。
困ったものである。
タコ・イカ類はほぼ養殖はされていないと思われる。
タコはともかく、イカ類はよく獲れて安かったからか。
気候の変動などで、獲れるものも変わっているし、
漁業のサステナビリティーなどを考え、食べたければ、
養殖の取り組みを進めるしかなかろう。
イカもタコも、世界的には食べていない人々も多い。
大坂名物タコ焼きも屋台のイカ焼きも庶民のもので、もちろんうまい。
イカ・タコ食は固有とは言えないが、大切な私たちの
食文化であり、是非とも守る必要があろう。

さて、一方、小肌。

開いたもので、一枚70円。
これは安い。
開いていなければ、50円程度か。

小肌というのは、江戸前のにぎりでは欠かせないものだが、
酢〆にする以外食べ方がないので、一般にはそうニーズが
ないのであろう。

開くのは、一度やったことがあるが、小さな小肌は
かなりの手間。きれいに開くのもむずかしい。

開いたものがあると、ありがたい。

小肌にはまずは、塩。

白くなるほどたっぷり。

これも少し前、NHK「あさイチ」で鯖をやっていた。

塩をたっぷり?!。

たっぷり振るとよく〆るのはわかるのだが、
塩辛くなり、塩抜きをしなければならない?!。
塩抜きやら、意外にこのあたりのこと、一般のレシピには
書かれていないのである。

あさイチ」のレシピは和食の篠原武将氏。
割烹、銀座[しのはら]のご店主。
こういうプロ中のプロのレシピであれば、信頼性抜群である。

ポイントは塩をして置いた後、同量の水で割った酢で
仮漬けをする、というところか。
この後、本漬けもするのだが、仮漬けは塩抜きの意味も
ありそうである。

一度、旧臘、実際に鯖でやってみたが塩辛くもならず、
うまい〆鯖ができた。(この冬の鯖が脂がのってうまい。)

TVで篠原氏もいっていたが本漬けは、実際にはしても
しなくともよさそう。
酢の入る量はこのやり方をしても変化しないからであろう。
私は、仮漬けのみにしたが、十分であった。

さて、そんなわけでたっぷり振る。
ちょっと少ないようにも見えようが、途中で足してもいる。

その間に米を洗って浸水。

やりいかは内儀(かみ)さんにさばいておいてもらう。
いかをさばくのは、なぜか内儀さんは得意にしている。

鯖の篠原氏レシピでは1時間だが、念を入れて2時間。

だいぶ水は抜けた。

洗って、水と同割の酢に漬ける。

これは30分。

いかを茹でる。

煮汁をたれにするので、煮詰めやすいフライパンを使う。
穴子同様、煮いかにはたれが必須。

小肌。色も変わって、十分漬かっているだろう。

酢からあげて、ペーパータオルでよくふき取る。

鯖も然りだが、小肌も本当は酢に漬けた後、一昼夜
置くのがプロのセオリー。篠原レシピの鯖でもそう。
だが、もちろん、すぐに食べたい。
網にのせて置いておく。

このあたりで、飯を炊き始める。
浸水はしてあるので、酢飯・カタメモード。

やりいかの煮汁に砂糖、しょうゆ、酒を入れて
煮詰める。

トロトロになるまで。

 

 

 


つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんかけ焼きそば

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1月18日(金)第一食

さて、白菜、で、ある。

もちろん、冬が旬。

だが、1/4を買っても使い切るのがたいへんなので
今シーズンも買っていなかったのだが、食べたくなった。

うまい食べ方。
鍋というのもあるが、中華の炒め物。
焼きそばにしようと考えた。

肉はなにがよかろう。
焼きそばに入れるのであれば、豚でも牛でも
なんでもよさそう。

モツはどうであろうか。
中華の焼きそばでモツを入れたものがあるが、
意外にうまい。

昨日のうちに、焼きそばの麺と白菜、
それから、生ではなく、ボイルされた
煮込み用の豚モツを買っておいた。
やはりモツは下処理済のものの方が使いやすかろう。

さて、問題は白菜にどうやって火を通すか、
で、ある。
白い厚い部分である。

中華の葉物野菜の火の通し方は、油通し、湯通し。
あるいは、回鍋肉のキャベツであれば、
太い葉脈の部分は、包丁の腹で潰しておく、
というのもある。

白菜だとどうか。
ちょいと調べてみると、油通しも湯通しもいろいろあるのだが、
おもしろいのが見つかった。

鉄人脇屋シェフのレシピ。

油通しと湯通しの両方をする。
油通し後に油を落とすために、湯通しもする。
そういうことのようである。

焼きそばはあんかけがよろしかろう。

あんかけのスープのために乾燥椎茸のもどし汁を
使えばどうだろうか。
椎茸は同時に具にもなるではないか。
それから、小松菜も冷蔵庫にあったので、
白菜だけではなく、青味として入れよう。

乾燥椎茸はスライスのもの。
丼鉢に椎茸と湯を入れレンジで1分ほど加熱し、置いておく。

油通しのために揚げ鍋に油を用意。
余熱をしておく。
中華というのは一気に作ってしまわねばならぬので
準備が大事。
油通しの後の、湯通しのために鍋に湯も沸かしておく。

白菜も一口に切っておく。
内儀(かみ)さんもいるので二人前分。
小松菜も切っておく。

小松菜とモツはそのまま炒めればよいか。

麺も先に焼いておく。
焼きそば用の蒸し麺をレンジで温め、
ほぐす。

中華鍋を熱し、一度油を回し一度捨て、
再度油を回す。
麺を薄く広げ、鍋肌に押し付ける。
強火で加熱。鍋を回して麺を回す。
焦げ目がついたら、鍋を振って麺をひっくり返す。
反対側も焦げ目を付ける。
もう一玉。

OK。

白菜の油通し。

油温は低温でじっくり、とのこと。
150℃くらいであろうか。
とはいっても、温度計があるわけではない。
一先ず一切れ油に入れてみる。

軽く泡が出てくるくらい。よさそうかな。

全部入れる。
当然油温は下がるので、強火にし様子をみる。
再び軽く泡が出てくる程度まで油温をあげて、
火を調節し、キープ。

しんなりするまで、とのこと。
白い部分が、と、いうことであろう。

じっくり火を通す。

湯通しのお湯の鍋も再度加熱しておく。

油の方、白菜の白い部分が軽く半透明になってきた。
よいかな。

あげて油を切って、湯の鍋へ。
ここは、軽くでよろしかろう。
30秒ほど。
ざるにあげて、湯を切る。

もう一度、中華鍋を加熱、油を回し、先にモツから。
炒めて、白菜、小松菜も入れる。

旧臘であったか、NHKの「ガッテン!」でやっていたが
小松菜というのは火を通すのは、ほんの少しでよい。
茹でても10秒、20秒。むしろこの方がうまい、という。

軽く炒め、塩胡椒。一度火を止める。
水、味覇(ウェイパー)。

加熱し、味見。
よいかな。

水溶き片栗粉を用意。

とろみをつけて、終了。

皿に焦げ目をつけた麺を盛り、餡をかける。

出来た。

アップ。

なかなかよい色ではないか。

酢をかけ回して、食べる。

白菜の火の通り方は、よい。
手間がかかっだだけのことはある。

小松菜の火の通り方もこれで十分。

餡の量は、意識はしていなかったのだが、あんかけというには、
多少少なめ。だが、このくらいの方がむしろよいかもしれぬ。
あんかけでない中華風(広東風?)焼きそばでは微かにとろみ餡が
からまっているものがある。
図らずも、そんな感じ近くなったようである。

なかなか、うまい焼きそばになった。

食べ終わって、台所にもどると!。

あ~、、、、椎茸忘れてた。

 

 

 

 

 

上野・蕎麦・翁庵

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1月17日(木)夕

夕方、上野の蕎麦や[翁庵]。

ちょっと久しぶりであろうか。

もうなん年も通っているが、いつきても変わらない。
これがいい。

ほぼ上野駅前。
浅草通りに面し、上野警察前。

毎度出している江戸の地図も出してみよう。

現代の地図も。

だいたいおわかりになろうか。

下谷広徳寺門前という。

今、浅草通りといっているこの通りは、新寺町通りと
呼ばれていた。

広徳寺というのは大きな寺だが、今の上野警察と台東区役所などに
なっている。

関東大震災後に練馬へ移転しているがそれ以前は、
このあたりのランドマークといってよろしい。
戦国期から起源がある臨済宗の禅寺。家康が江戸入府後神田に再興。
大名家なども檀家に持っていたよう。

「おそれいりや(入谷)の鬼子母神」という江戸の地口(洒落)は有名だが
その後に「びっくりしたや(下谷)の広徳寺」あるいは「どうかしたやの
広徳寺」と続いた。

さらに「なさけありま(有馬)の水天宮」「うそをつきじ(築地)の御門跡
(ごもんぜき=築地本願寺のこと)」なんというのも続きにあった。
蜀山人作などともいうがこれは誤りと考える。※)

ともあれ。

戦後の建築であると思われるが、よい感じの二階建ての
日本建築の町のそばや。

入ったのは、夕方4時頃。

入った右側に食券売り場があって、昼時など混んでいる時には
ここで食券を買うのだが、この時刻であれば人もおらず、
席に座ってから頼んでよい。

お姐さんに一人といって、TVの視えるところに座る。
お客は奥でお姐さんを相手に呑んでいるオジサン一人。

お酒をもらおう。

お姐さんに、

お酒お燗と、ねぎせいろ。

よかった。

なにがといって、熱燗ですか、とは聞き返されなかった。
通じたのか。

トイレに立って、戻ってくると、きていた。

お通しは、夏でも冬でも、枝豆。

猪口に注ぎ、呑む。

よし、正解。
熱くもぬるくもない、温度。

そうなのである。
これが正しい。

熱燗とは燗酒の温度のことで、燗酒の代名詞ではない。
くどいようだが、声を大にして言いたい。
「お酒お燗」と頼み、店は上燗、適温を出す。
どっちにしても「熱燗」はやめてくれ。

さて。

呑み終わりが近くなってきた頃、お姐さんの、ねぎせいろ、と
注文を通す声が聞こえて、出てきた。

お酒と同時に頼んでいるが、特にいわれなくとも、
ちゃんとこちらの呑むペースを見ていてくれて、
時間差で出してくれる。

これも、少し前まで東京の蕎麦やではお客への
配慮として、するものであったこと。
まあ、この時はお客も少なく余裕もあったのではあろうが。
ただ、あるべき姿がこうである、というのは
ちゃんとこの店に残っていることは間違いない。

ともあれ、ねぎせいろ。

もりのそばのそばつゆに、小さなかき揚げが入っている。
これがここの看板、ねぎせいろ。
かき揚げの種は、ねぎと、いか。

そばつゆに、小さなかき揚げを入れるのは、ここだけ
ではなく、室町[砂場]

にも今もある。

[砂場]ではこれを天もり、天ざるといっている。
どちらが先か。おそらく店の歴史からすれば[砂場]の方が
古いのではなかろうか。
まあ、どちらにしても、他ではそばつゆに小さなかき揚げを
入れるというのはみない。もっとあってもよさそうではあるが。

室町[砂場]の創業は明治2年
この上野[翁庵]の創業は明治30年頃といい、
そばつゆに小さなかき揚げを入れるのは明治の初期に
室町[砂場]で生まれ、その後ある程度東京の蕎麦やに
広まったのではなかろうか。
だが、なぜか他では残らなかった。

もう一つ、おもしろいのがここ[翁庵]の蕎麦の色。

先日の、神田の[藪]を思い出す。
そう、薄緑、なのである。

ここも新そばの時期だけではなく、
年がら年中この色であったと思う。

うまかった。

ご馳走様でした。

勘定をして、出る。

やはり、ここも上野警察前でこのまま、続けてほしい。
そんな蕎麦やである。

 

 


台東区東上野3-39-8
03-3831-2660

※「おそれいりやの鬼子母神~」の地口は蜀山人の作などともいうが、
おそらく後の講談師、落語家、あるいは戯作者などの創作でまさか
蜀山人大田南畝先生がこんなものを作ってはいないと考えている。

落語でも蜀山人作として語られているものはたくさんある。

花というはこれよりほかに仲之町 吉野は裸足 花魁は下駄(松葉屋瀬川他)

まだ青い素人浄瑠璃黒がって 赤い顔して 黄な声を出す(寝床)

そもそも「蜀山人」は実在の文人狂歌師であり幕府御家人であった
大田南畝とは離れ、談志家元などもたまに演っていたが講談、落語では
水戸黄門の「黄門漫遊記」のような構成で蜀山人狂歌頓智
出会ういろいろな問題を解決するといった内容の一連の作として
長く語られていたのである。

太田南畝先生について書いている。

まあ、別の人として考えた方がよろしかろう。

  

 

両国・山くじらすき焼き・ももんじや

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1月13日(日)夜

日曜日。

両国の[ももんじや]である。

「山くじら」とは、猪肉のこと。
そのすき焼き。

ここの創業は享保3年(1718年)。
江戸も真ん中あたり。吉宗の頃。

東京で今も続いている江戸創業の飲食店はそう多くない。
なかでも、享保創業というのは、かなり古い方であるし
このあたりまでくると数も少ない。

ご案内の通り、獣肉食は江戸期にはタブーであったわけだが
そんな店が東京でも1、2を争うほど古いというのは、
ちょっとおもしろい。

毎シーズン、必ず一度は訪れている。
内儀(かみ)さんが好きだというのもある。

年が明けたので、亥年
まさに、この店の年、である。

混んでいるのでは、と危惧をしていた。
一つ前の亥年にきて、大混乱であった記憶があったのである。

TELを入れてみると、そうでもなさそう。
開店の17時に。
開店すぐであれば、そう待たされることもないであろう。

15分前に出て、タクシーで向かう。

蔵前通り(江戸通り)から両国橋を渡って
一つ目の信号で降りる。
[ももんじや]は向こう側。
京葉道路を渡って、店の前。

うわっ。

以前から、ここにぶら下がっていたが数が増えている。
このスペース自体もきれいになっている。
大昔は生身のいのしし君であったが、もちろん今は、はく製。

これもなかったと思う。

墨田区が建てているよう。

店に入り、帳場で名前をいう。

お二階へ。

階段を上がって、再度名乗る。
左の奥へ。

開店すぐのはずだが、どういうことか既にお客は
入っている。皆、早いのか。

内儀さんが猪鍋に鹿肉の刺身をつけて頼んであった。

ビールをもらう。

お膳の上には既に鍋の用意ができている。

鍋の中のつゆは、味噌ベース。

お通し。

猪のすじ肉の煮込み。

薄めの味噌味で大根と煮てあり、うまい。

肉がきた。
猪鍋は、ぼたん鍋などともいうが、肉の色は、豚肉よりも
もっと赤く、脂身もたっぷりある。

野菜などは、ザク、などというが、お姐さんが肉とともに
鍋に入れてくれる。

ザクは、長ねぎ、芹(せり)、細めの白滝、豆腐
なんというところ。

さて。
ここからが問題。
猪肉というのは、待たねばならない。

なぜだか猪肉は煮る時間を15分以上取らないといけない
のである。

色が変われば食べても問題はないのだと思うのだが、
この時点では、まだ堅い。

これが、不思議と15分煮ると、柔らかくなる。

最初にこの店にきた時に、よく聞かないで
食べ始めてしまったことがあったのである。

待つ間に、鹿刺し。

これもまた、上々。
くさみもなく、淡泊でうまい。

腹が減っているので、バクバク食べてしまう。

そして、我慢できず肉以外は、食べ始めてしまう。

よし、15分!。

食べるぞ。

この味噌のつゆは、赤い色だが、江戸伝統の江戸甘味噌

がベースではなかろうか。
これにさらに砂糖、甘みを加えているか。
かなり甘め。

15分煮ているので柔らか。
脂身はプリっとした食感で、うまい。

最高である。

肉を少し残し、うどんもあるが、飯をもらう。

この味噌のつゆと肉を飯にのせて食べる、のである。

これがまた、堪えられないうまさ。

ご馳走様でした。

亥年、万歳!。

 

 

 

 

墨田区両国1-10-2
03-3631-5596

 

 

 

 

食べたものいろいろ その3

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もう少し、いろいろ。

引き続き、

1月11日(金)

新宿南口前で“真のナポリピッツア”を食べてから
伊勢丹にまわる。

高校生の頃から新宿を通って通学していたので
地元といってもよいくらいであったが、東京の東側に
引越してから、ほとんどこなくなっており、たまにくると
その変化には随分と驚かされる。

伊勢丹の地下、食品売り場。
私がよくきていたのは、それこそ30年も前。
そりゃ、変わっていて当然。
以前から、食品売り場は充実していたが、
今はまた、そうとうなもの。
日本橋や上野あたりの東側のデパートの地下よりも
上ではなかろうか。

魚売り場で、珍しいものを見つけた。
かわはぎの刺身。もちろん、肝つき。

金沢だったり、瀬戸内、九州でも食べるか。
東京では、料理やでもあまり見かけない。
生けのものでなければ、これはできないと、聞いたことがある。
こういう一般の魚売り場で見かけるのは初めて。
流石、伊勢丹
1000円を超えているが、東京で食べられることを考えると、
むしろ安かろう。
迷わず買う。

それからもう一つ。
若狭小浜の小鯛笹漬け。小さな樽入りのもの。
これは日本橋などにもあるであろうが。

確か、池波先生の好物であった。
これも。

食べたのは夜。

こんな経木にのっていると、そのまま出せる。

肝もたっぷり。

普通しょうゆに溶いて、肝じょうゆにし、刺身を
つけて食べるが、これだけあれば、刺身に巻いて食べてもよい。

これがまずかろうはずがない。
まさに堪えられない、うまさ。

小鯛笹漬け。

小さなものではある。

これはわさびじょうゆ。

さっぱりしていてうまい。

笹漬けという名前だが、酢〆を漬けたもの。
樽に詰めて時間を置くことで、ある程度ナレズシになってもいる
のであろう。

東京だと、鮨やで小鯛の酢〆は春子(かすご)といっているが
もっと強く〆るのが一般的であろう。

このくらいさっぱりしているのも、またよい。

これは翌日になるが、温かい飯にのせ、
わさびじょうゆをかけ回し、海苔を散らした。

光ってしまったが、右の汁は先日アヒージョにした
鯛のあらが余っていたので潮汁にしたもの。
小松菜も入れた。
上は小茄子の辛子漬け。

小鯛笹漬けは飯にも実によく合う。

さて、もう一つ。

1月12日(土)昼

見た通り、スパゲティーカルボナーラ

どうしても食べたくなって角切りベーコンに、切れていたので
粉チーズも買ってきて作った。

玉子は二個。
一個は白味を除こうとしたのだが、うまくいかずに
結局全卵二個分。
溶きほぐし、粉チーズをたっぷり混ぜておく。
あとでもよいのだが、ここにも黒胡椒を挽き入れておく。

ベーコンを炒め、スパゲティーを茹でる。

スパゲティーが茹ったらフライパンのベーコンと合わせ
玉子と粉チーズのミックスを和える。
微妙に火を入れつつ、ソースを半熟にトロっとさせる。
フライパンなので熱がすぐに上がってしまうので
火を入れるのはほんの少しで、すぐにガス台を外して
混ぜる。
この塩梅がむずかしいが、なにごとも経験である。
なん度もやっているうちにできるようになる。

仕上げにもう一度黒胡椒をたっぷり引き入れる。

皿に盛り付け。

チーズに塩味があるので、あまり塩は入れないのだが、
今回買ったものは若干塩味が低く、足した。

イタリアでカルボナーラはローマのもので、
本来は、パルメザンチーズ、パルメジャーノ・レッジャーノ
ですらなく、ペッコリーノ・ロマーノ、ローマ地域で生産された
羊乳のハードチーズ、を使う。

本場のペッコリーノは香りが違うし、塩味が強く、また、
脂分も多かったのではなかろうか。

ペッコリーノ・ロマーノを買ってきて作ったことがあるし、
また、同じペッコリーノでもシシリア産の、ペッコリーノ・
シシリアーノで作ったこともある。

だがまあ、市販の粉チーズでも私などには不足なく食べられるし、
もちろん、パルメジャーノ・レッジャーノでも十二分に
うまいと感じる。

昨日のピッツアなども同様だが、この違い、
なかなか、門外のものにはわからぬものなのであろう。
(若狭小浜の小鯛の笹漬けと、東京の鮨やの春子の違いは
わかると思うのだが。)

 

 

 

食べたものいろいろ その2

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引き続き、いろいろ、だが、今日は二つ。


1月10日(木)夜

はぜ唐揚げ。

塩もみをしてなん度も洗い、ぬめりだけは取って冷蔵庫に入れておいたもの。

ぬめりというのは、どうしても生ぐささになるのであろう。

その他は特に下味などもつけずに片栗粉をまぶし、揚げる。
油温は高温、180℃であろうか、狐色まで。

塩をふって食べる。

もちろん、骨ごと食べられる。

うまいものである。

次、翌日。

1月11日(金)昼


ピザである。
ピザやというのもたくさんあるのだが、やはりナポリ

イタリアでピザといえば、ナポリという名前が必ず出てくる。
一度行って食べてみなければと前から思ってはいる。

最近、「真のナポリピッツァ協会」

なるものがある、というのを知った。
ナポリが本部で、伝統のナポリピッツアを認定、普及させる
団体とのことで、日本にもある。

定義は
1.生地に使用する材料は小麦粉、水、酵母、塩のみ
2.生地を手だけを使ってのばす
3.窯の燃料は薪、もしくは木くず
4.仕上がりはふっくらと「額縁(コルニチオーネ)」がある
5.上にのせる材料にもこだわる
(永福町[ラ・ピッコラ・ターヴォラ]橋爪氏)

ということである。

都内でも、手でのばし、薪窯で焼く、本格を謳ったピザやは
数多いが認定店はそう多くはないよう。

一番近そうな、新宿にある[カポリ]というところに昼、
行ってみることにした。

南口前、甲州街道の南側、ビルの地下。

店内はかなり広い。

ランチはピザドリンク付き、800円から。

ドリンク付き1500円のブラッチョ・ディ・フェッロというのを
もらってみた。

ブラッチョ・ディ・フェッロ=BRACCIO DI FERROは
イタリア語で「鉄の腕」、鉄腕で、日本で鉄腕といえばアトムであるが、
イタリアではアメリカアニメのポパイのことらしい。

ポパイはほうれん草。
緑色はほうれん草入りのリコッタチーズで
トマトソースはなし、赤いのはちょっとスパイシーな
サラミ。
ピッツアの定番メニューでもあるようである。

なるほど、かなりうまい。

具がのっている部分は型どおり、薄い。

認定店とそうでないところとどれだけ違うのか
わからないが、このピザがうまいことは、間違いない。

ピザというのは、宅配などのアメリカ風の厚いものは別にして
薪窯で焼いてイタリア風を標榜しているところは
東京でも今は珍しくない。
私などには、どこも十分うまいと思うし、違いは
よくわからないのが正直なところ。

ピッツアというのは発酵させた小麦粉の生地を手でのばし、
なんらかソース、各種チーズ、具をのせて、短時間高温で
焼いたもの。

例えば、フランス料理などと比べると、
加工度というのは見た目には高くはない。

前から私もそう思っていたのだが、ピッツアはよく
日本のにぎりずしに、たとえられる。

どちらも加工度は高くはないが、高度な職人仕事である。

にぎりずしは魚の目利き、仕込み、飯の炊き方、すし飯の
仕上げ方、種の切り方、大きさ、にぎり方、、、素人でも
なん回かやればできるようになるが、むろん達人とは
雲泥の差がある。

おそらくピッツアもそうなのであろう。

にぎりずしは立ち喰いのような簡易の
ファストフードのようなところから始まっている。

ナポリピッツアの初期の形は、マリナーラという
チーズの入らないトマトソースのみであったという。
マリナーラ=船乗りでナポリの船乗りや漁師が
食べていたものであったという。

庶民の食べ物という顔を持っているのも同じである。

ただ、イタリアナポリなどでは、やはりべら棒に高価な
ピッツアというのはないようだが、日本ではにぎりずしは、
かなり高価なものでもあるのは、大きな違いであり
おもしろい。(江戸末期に江戸で生まれたにぎりずしだが
生まれてしばらくすると、既にお座敷で食べさせる
超高価なものも出てきており、これは我が国の食市場の
特徴といってよい。)

加工度は高くないが、技を磨いてよりうまいものを
作ろうという職人魂のようなメンタルがあり、それを認める
文化があるのは、イタリアと日本の共通するところと
いってよいのかもしれぬ。

この二つの食文化の共通点なのだが、完全に同じかといえば、
本質はちょっと違ったところから出発しているようには思う。
長くなるので今日はやめておこう。

さて。

ピッツアも、いいもの、わるいもの含めて長年
いろいろなところで、いろいろなものを食べて初めて
違いがわかってくるものなのであろう。

やはり一度はナポリへ行ってみなければなるまい。

 

 

PIZZERIA CAPOLI
ピッツェリア カポリ
03-5363-1787
新宿区新宿4-1-9 新宿ユースビル(PAX)B1

 

 

 

食べたものいろいろ その1

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旧臘から長々、京都、歌舞伎と、イレギュラーバージョンを
書いてきたが、そろそろ通常バージョンに戻る。
その前に、今年になって食べたものを少し。

1月7日(月)

吉池で買った鰤のあらで、鰤大根。

大根は半分に切ったもの。
皮をむいて、厚いいちょう切り。

大根の下煮は圧力鍋。
ひたひたに水を入れ、ふたをし、点火。
加熱、加圧。
圧が上がって、弱火にし5分で消火。
野菜でも肉でも私が圧力鍋を使う場合はこんな感じ。

鰤の方は、霜降りから洗う。

水を薬缶にたっぷり沸騰させ、ざるに並べた鰤あらにかける。
ひっくり返し全体にくまなくかける。
水洗い。

圧力鍋は消火から30分。
大根は十分柔らかくなっている。

平たい鍋に霜降りをした鰤、大根を並べる。
しょうゆ、酒、砂糖、水。
魚の煮込みの味付けは濃いめ。

煮立ててアルミホイルで落としぶた。
煮込み時間は短時間。7~8分が限度。

煮魚はこれ以上煮てしまうと魚からコラーゲンや
脂が出てしまいパサパサになってしまう。
そのかわり、煮汁は濃く。これは鉄則。

煮あがり、盛り付け。

血合いもあるが、ぷりぷりに煮あがり、
よい鰤大根になった。

さて、次。

1月8日(火)昼

昼飯は外に出ることがほとんど。

寒いので温かい味噌ラーメン。

近所で味噌ラーメンといえば、私にはここ。
御徒町の[ひむろ]。

広小路交差点から中央通りを北へ。
一本目を右に入った左側。

[ひむろ]あるいは[味源]は北海道ラーメン。
この御徒町の店がいつできたのかはわからぬが、
[味源]自体は東京にとんこつみそを移植した嚆矢であろう。
それからもう20年以上になるのではなかろうか。

味噌ラーメン。

おろしにんにくを入れ、食べる。

とんこつみそでこの味は、他にありそうでないのではなかろうか。
それでずっと通っている。

夏でもよいが、冬は温まり、よい。

台東区上野4-5-2
03-5688-6777

次。

1月9日(水)夜

やっぱり寒いので、今日はアヒージョにしようと考えた。

具を探しに、吉池に寄ってみる。

ムール貝あたりが定番か。
それから?。

鯛のあら?。
頭や骨ではなく、刺身の切り落としのような部分。
こんなもの一口に切って入れてもよいかもしれぬ。

お?!。
はぜが安い。

アヒージョではなく、簡単に唐揚げにしてもよいかもしれぬ。

地下でフランスパン、きのこも。
きのこはしめじとなめこの中間のような茶色いぬめりのない
なめこ。きのこというのは、白いものよりも茶色いものの方が
うまみは濃いように思う。

帰宅。

はぜ。

宍道湖産。
格安。

アヒージョから。
にんにくは、2かけらほどスライス。
私のアヒージョは土鍋。
にんにくスライス1/3を、先に土鍋で少量のオリーブオイルで
炒める。軽く焦がすため。
にんにくは少し焦がした方が香りがよくなりうまい。

鯛のあらは一口に切って、オリーブオイルを足し、
揚げ煮。きのこもここで入れる。
火が通ったら、洗ったムール貝も投入。
口が開いたら、塩で味付け。

パセリも散らす。

OK。
パンをオーブントースターで焼いて出す。

アヒージョといえば、海老や貝が多いが、こうして
魚そのものを入れるのもうまい。
鯛なので、よい出しが出るだろうと考えたが、成功。
切り身ではアヒージョにしてしまうのはいささかもったいないが
あらであれば、骨などあるが十分。

ムール貝もうまいし、このきのこもめっけもの。
やはり味が濃い。

これで十分。

はぜは明日。

塩もみし、ぬめりをきれいに取って
冷蔵庫へ入れておく。