浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



帝国ホテル・ラ ブラセリー その2

4557号

引き続き、来月末で閉店を控えている
帝国ホテルのレストラン[ラ ブラセリー]。

内儀(かみ)さんのホタテのポワレ

アップするとこんな感じ。。

このほたて、かなりでかい。
特大ではないだろうか。
小判型。
こんな大きいのは、見たことがない。

そして、紫の野菜。
私は初めて見たかもしれない。
カリフラワー?、で、よいのか。
味はあまり変わらないか。

緑の葉っぱはルッコラ、か。

そして、私の魚介メイン。

そう、これが、Prawn and Sole ''Queen Elizabeth II''、
海老と舌平目のグラタン“エリザベス女王”風。

昭和50年(1975年)英国エリザベス女王訪日時、
ここで午餐会が開かれた際、女王が海老好きというので
女王のために当時の村上信夫シェフが考えたもの。
女王の名前を冠することの許可を得て、この名を
頂いている。
フランス語でレーンヌ・エリザベス(Reine Elizabeth)
という料理名のよう。(Reineが仏語で女王)

海老は伊勢海老系の大きな海老ではなく、車海老系の
中形海老、いわゆるPrawn

車海老に舌平目を巻いて、ソースを掛けて焼いた、
ように見えるのだが、実はこれ、かなり手が込んでいる。
それはそうであろう。それだけでは、まさか女王には
出せまい。

海老、舌平目、ほたて、白身魚などで作った餡を
海老の身の形にし、モルネソースというベシャメル系の
ソースを掛けて焼いているのである

そして左に添えられているのはアメリケーヌソース。
これは海老の殻を炒めて作るソース、とのこと。(ウィキ

ちょっとカニ味噌のような感じでもありまた、
香ばしい。

また、添えられている葉っぱ型のパイは
なにも入っていないもの。

しめて、これがまずいわけがない。
これでもか、と、大きいわけでもないのも上品。
流石の女王風。

そして、内儀さんの肉料理。

仔羊背肉のロースト ソース・シャスール。

ラムチョップといってよいのか。
これもデカい。
この大きさだが、火の通り方も流石のミディアムレア。

下にマッシュポテト、というのか、ポテトピューレ。
クリーミーで極上。

ソース・シャスールというのは、主に肉に合わせる
フレンチの古典的ソースのよう。
(シャスールchasseurは仏語で猟師、狩人)
ちょっと緩くしたデミグラスのよう。
マッシュルーム、ポルチーニやら、きのこ。
青みはモロッコインゲンと、葉っぱはこれも
ルッコラか?。

上質でバランスが取れ、いかにもオーソドックス。
うまい一皿。

そして、私のメイン。

これ!。

まさに、真打登場。
シャリアピンステーキ

付け合わせは、ポテトピューレ、にんじんのグラッセ
揚げた茄子、菜花。

シャリアピンステーキは、柔らかく、うまい。
もちろん使ってはいないが、しょうゆ味のように
感じる。

私もなん度か作っているが、みじん切りの玉ねぎに
漬け込んで柔らかくしている。かなりの手間が掛かっている
わけである。

1936年(昭和11年)に日本に訪れたロシアのオペラ歌手、
フョードル・シャリアピンは、ステーキが好きなのだが
歯がわるく食べられないので、柔らかいものを考案した、
というのが由来。それでシャリアピンシテーキ。
日本の洋食では、帝国ホテル以外でもスタンダードだが、
日本にしかない。

デザートとコーヒー。

コーヒーは型通りだと、後なのだが、一緒に
してもらった。

私はワゴンからショートケーキを選んだ。
いちごとブルーベリー、ピスタチオ。

内儀さんのは、決まりで

クレープシュゼット。
これも、伝統のメニューで圧倒的人気だったらしい。
オレンジにアイスクリーム付き。
シロップもオレンジ。なかなかの甘さ。
こういうもの、なのであろう。

もちろん、腹一杯。
だが、多すぎない。

以上、会計は二人で35,700円也。
もちろん、安くはない。

行き届いたサービス。

伝統に裏付けされた、
オーソドックスで安心できる、高品質な味。

この年になると、こういうところの
こういうものがよろしい。

 

帝国ホテル・レストラン

 

 

 

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