浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・天ぷら・晴光

dancyotei2015-02-25



2月22日(日)第2食

先日の人形町[よそいち]は
ミシュランのピブグルマンになっている、
と書いた。

15年版の書籍を入手しようとしたのだが、品切れだとかで
Webの会員になってみてみたのである。

だいぶピブグルマンが増えている。

まずは近所からとみていると
地元浅草で知らない家が載っていた。

天ぷらやで[晴光]という。
読みは、ハルコウ、のよう。

ミシュランの記事によれば、
「大正時代創業」「天ぷら専門店になったのは昭和20年代」。
最大の特徴は塩で食わせる天ぷら、とのこと。

場所は寿司屋通りの東側、
隣は[釜めし春]。

こんなところがあったのか、で、ある。

日曜日は夜は、夜の営業があるのだが、
昼は15時までの営業だとのこと。
これに間に合うように、出掛けることにする。

寿司屋通りというのは、国際通りから一本目の南北の
アーケード街。そのまま北上すると六区の通りになる。

鮨やがなん軒もあったのでこの名前がついているのだが
今は二軒ほどであったろうか。
それでも名前は変わっていない。

この寿司屋通りのアーケードの真ん中あたりで交わっている、
東西の狭い通り、食通街というがこれを東に歩き、蕎麦やの
[長浦]が左にあり、細い細い路地一本。
お稲荷さんがあって、もう一本の細い細い路地。
その次に通りを左に折れる。

[釜めし春]の北隣。

天麩羅[晴光]の看板。

間口は一間ほどかもしれぬ。
小さな店。

格子を開けて入ると、中は数席のカウンターと
奥にテーブル二つほど。

浅草には割によくある、古いタイプの
小料理だったり、焼鳥やだったり、という店の造り。

予約も特にしなかった。

先客は、カウンターに男性一人。
奥のテーブルに若い男女が一組。

あいているカウンターの奥から座る。

瓶ビールをもらい、昼のおまかせ、2,000円也
を頼む。(夜は4,000〜5,000円)

カウンターの向こうは、四代目という30代後半から
40代のちょっとガタイのよい兄ンちゃん二人。
体格も顔もそっくりなので兄弟であろう。
喧嘩が強そう。
三社祭ではおそらく大活躍するのか。

先に書いたように、ここは天丼をのぞいて、
天つゆは出さず、塩だけで食べてくれ、という店。

五種類の塩が用意されている。



メニューに細かく説明が書かれている。
ノーマルな焼き塩からマスタード、しょうが、海老、
あとはカレー?で、あったか。

きた。




手前のかき揚げは季節の白魚。

海老、穴子
野菜は、アスパラに、ちょっと珍しいカリフラワーなど。

この天ぷら、ちょっと他にはないかもしれぬ。
これでもか、というくらい、カリカリの揚げ上がり。

天ぷらというよりも、スナックに近いくらい、
芸術的なカリカリ、で、ある。

用意された塩で食べる。

むろん、まずいわけはない。
十二分にうまい。

ただやっぱり、カリカリなので半生ということはなく、
白魚のような細いものはもうおせんべい状態ではある。

この前、天ぬきで、天ぷらというのは、
甘辛のつゆに浸して、ふやけた衣がうまいと、
書いた。

東京の人間なので天丼であれば、甘辛の濃いつゆが
なければあり得ないとは思う。

しかし、こうして目の前で揚げて食わせる天ぷらの
場合は、いかだったり、海老だったり、
天つゆではなく、塩で食べてもうまいし
そうすることは私も多い。

せっかく熱い状態で供されているものを
天つゆに入れて冷ましてたべるのは、非合理
である、といった先輩がいたが、まあ、そういう
理屈もわからぬではない。
(天つゆを温めておけば解決するか?)

また、天ぷらはやはり濃口しょうゆの東京生まれ
天丼もしかりで、甘辛のつゆと衣とが出会う時に
うまさを大いに発揮することもまた事実ではある。

塩で食べさせる天ぷらの場合は、素材の味、
なんということをよくいうが、その場合、衣を
つけて揚げるだけで、最もうまくなるのかということ
になる。実際には、この店以外でも塩をリコメンドする
天ぷらやの天ぷらは、そこまで至っていないのではないと
思うのである。
(おそらく、いかや、海老は衣をつけて揚げることが
最もうまい料理法の一つであると思われる。つまりものによりけり。)

天つゆを使えば、どんな種でもそれなりに落ち着く。

逆に、穴子などは生ぐさみもあり、やはり
天つゆにつけた方がうまいだろう。

塩で食べさせる天ぷらというのは、まだまだ
これから、発展途上なのではなかろうか。

天ぷらは、にぎりの鮨同様に江戸生まれで、200年弱であろうか、
歴史の中で、今の天つゆで食べることが定着し
受け継がれてきたのである。

これを越えるには、まだまだそれなりの時間と、天才料理人が
必要なのかもしれない。




晴光



台東区浅草 1-14-8
03-3844-8701