浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



天ぬき

dancyotei2015-02-23



2月21日(土)第一食



さて。



土曜日。



朝からではあるが、天ぬきで一杯やろうかと
思いついた。


毎度書いているので、もはや説明の必要は
ないかもしれぬが、天ぷらそばの、そば抜き。
つまり、天ぷらをそばつゆに浸した状態のもののこと。


私は、ちゃんとしたそばやでは、天ぷらそばを
食べるよりも、酒の肴の天ぬきを食べることの方が
多いかもしれない。


天ぷらをのせたそばというのであれば、
路麺などの立ち喰いそばやの方が機会が多い。
これは皆さんもそうであろう。
立ち喰いそばでは100%、春菊や玉ねぎなどの
かき揚げをのせているであろう。


それにしても、天ぬきにしても立ち喰そばの
かき揚げ入りそばにしても、なにがうまいのかといえば、
濃いめのつゆに、衣がふやけて広がっている。
このこと、なのである。


衣がうまいのであれば、具なしの、例えば、
たぬきそばのような天かすだけでもいいようなものの、
やっぱりそれではさびしい。


食い意地が張っているのか。


海老でなくともむろんよく、ねぎや玉ねぎ、春菊、
などの野菜が入っていてくれるとうれしい。


ちゃんとしたそばやでは、立ち喰そばのような
野菜の入ったかき揚げなどというものはないのだが、
衣と一緒につゆと渾然一体となった場合、野菜入りが
もっともうまい、ように思われる。
立ち喰そばやで、かき揚げ天ぬきを作ってもらって
呑めたら愉しいかもしれぬ?!。
(どこかにありそうであるが。)


ともあれ。


今日は、冷凍庫に豚細切れがあったので
これにねぎで、かき揚げにして、天ぬきを
作ることに決めた。


まずは揚げ油の準備。
これは胡麻油。


余熱開始。


せっかくなので、今日は出汁も取る。
天ぬきのつゆは、桃屋のつゆの原液を伸ばす。
水でもよいのだが、鰹出汁を取る。


同時進行で豚肉を解凍。


一口に切り、ボールに入れ天ぷら粉を混ぜ込む。
最近、粉は市販の天ぷら粉一本槍である。


ねぎは一本、五分切りにし、豚肉のボールに
合わせておく。


玉子一個を割りほぐし、氷を二個ほど。
今日使うであろう衣になる程度の量の水を
加え、混ぜ合わせる。


ここに天ぷら粉を合わせていく。
かたくもなく柔らかくもない量まで、
さっくり合わせる。
OK。


準備完了。


油温を上げる。


ある程度いい温度になったら、種のボールに
衣を合わせる。


OK。


大きなスプーンで二回程度に分けて、油に投入。


自分で食べるものだし、形などは気にしない。
具入りを二回投入した後に、具なしの衣だけを
追っかけて落とす。


OK。


長ねぎをかき揚げに入れると、焦げ目が入り始める。
これが目安であろうか。


あげる。





丸っこいのがいくつかできた。
こんなものでも、十分。


桃屋のつゆに取っておいた鰹出汁を加え、5cm、1/4割りの
ねぎを加え、熱くし、丼へ。


かき揚げを入れ、薬味のねぎも散らす。





できた。



ビールを抜いて、食べる、というのか、すする。


やっぱり、うまい。


特にかき揚げのねぎ。


揚げると、ちょっと焦げ目がついて焼きねぎのようになり、
あまくなる。


五分切りの長ねぎを入れたかき揚げというのは
路麺でもそう一般的ではないかもしれぬが、
そうとうにうまい。


そしてなにより、やっぱりうまいのは、
ほぐれた衣、で、ある。


呑み終わり、食べ終った。


つゆが残ったので、乾麺のそばでも茹でようかと
思ったのだが、冷蔵庫にゆでうどんの玉があったので、
温めて入れよう。


ついでにちょっと残っていたかき揚げと天かすも入れる。





こんなものだが、大満足、で、ある。