1月30日(土)昼
今日は名古屋出張。
昼で東京へとんぼ返りなのだが、昼飯は
名古屋駅で食べることにした。
と、なると、やっぱりこれしかなかろう。
[山本屋本店]の味噌煮込みうどん。
この日記は、私が名古屋に単身赴任をしていた98年から
書き始めている。
17年も前。
私もまだ35歳であったのか。
しかしまあ、相も変わらず、同じようなことを
しているものではある。
試みに、この日記の名古屋にいた頃を
振り返ってみると、意外や[山本屋本店]を
書いていない。
なん度も行っているはずなのに。
書いていない理由はわからないのだが、
他の名古屋でも外食をほぼ書いていないようなので、
自分では憶えていないのだが、外食は
書かないようにしていたようである。
この寒い冬の時期に、例えば風邪を引いたら
土鍋の煮込みうどん、というのは条件反射のように
思い浮かぶ人も多かろう。
とにかく身体が温まる。
東京の煮込みうどんはむろんしょうゆ味。
これも、子供の頃から食べており、慣れ親しんだ
定番の味、で、むろんうまい。
そう。東京では煮込みうどんではなく、
鍋焼きうどんといっていた。
またまた、落語で恐縮である。
なんと、この鍋焼きうどんの落語がある。
マニアの方はご存知であろう。
その名も「うどんや」という噺。
そばではなく、鍋焼きうどんを担いで売る商売が
あったようである。
まったく他愛のない噺ではあるが
しみじみとしたよい噺である。
八代目(先代)可楽のものがよかった。
売り声は
「なぁ〜〜〜〜〜べやぁ〜〜〜〜〜〜きぃ〜〜〜〜うどん」
という。
(「い〜〜〜しやぁ〜〜〜〜きいも」のメロディーで。)
江戸の頃なのか明治になってからなのか。
これもわからぬ。
しかし、昔から東京にはあったのであろう。
そういえば、他の地域に土鍋で煮込んだ
うどん、というものがあるのであろうか。
例えば、うどんといえば、讃岐うどん、香川県であるが
そういえば讃岐うどんの煮込みというのは、
あまり聞いたことがない。
ないのではなかろうか。
また、他の地方はいかがであろうか。
しかし。
土鍋で煮込んだうどんといえば、
もう名古屋の、味噌煮込みうどんにかなうものは
この世には存在しないであろう。
東京の鍋焼きうどんなど、遠く及ばない。
おそらく、世界一であろう。
(世界に、鍋焼きうどんはなかろうが。)
名古屋駅の新幹線側の地下街。
「エスカ」。
ここに[山本屋本店]の出店がある。
名古屋ではもう一系統、山本屋があるので
注意が必要である。間違えてはいけない。
うまいのは「本店」の方である。
具が色々あって、いろいろ入れると高くなる。
鶏肉、名古屋コーチン。今であれば牡蠣入りもある。
これがまた、絶妙にうまいのではあるが、
今日は、なにもなし。
一半(イチハン)といって、1.5倍のうどんが入るのもあるが、
若い頃ならこれでもよかったのだが、今はこれは
やめる。しかし、ご飯はどうしても付けたい。
とにかく[山本屋本店]のものはつゆが濃くて、
うまいので、うどんだけを食べるのは、もったいない
のである。是非ともご飯をつけたい。
ご飯をつけると、漬物がついてくる。
この漬物は特別なものではないのだが、
いい塩梅でうまいのである。
そして、なくなるとお姐さんが持ってきてもくれる。
これで必要十分。
あまりに待ち遠しかったので、写真を撮り忘れて
食べ始めてしまった。
生玉子は、溶かしてもよいのだが、
溶かす前の味噌煮込みのつゆの味も楽しみたい
という名古屋の人は多いという。
愛知県名物、赤味噌、いわゆる八丁味噌が
ベースなのであろうが、味噌も八丁味噌だけでは
実は旨みが少ないので米味噌との合わせ。
出汁はなんなのか。鰹が主体なのだと思うが
むろんそれだけではなかろう。とにかく濃い。
べら棒に濃い。
ご飯に合うこと、夥(おびただ)しい。
まさに飯がとまらぬうまさ、で、ある。
食べ終わると、薄汗をかいている。
あったまった。
他を探しても唯一無二。
名古屋でも、最もうまい。
[山本屋本店]の味噌煮込みうどんには
重要無形民俗(?)文化財に値するのでは
なかろうか。
うまい。
山本屋本店