12月21日(日)
引き続き[福住楼]二日目。
夕食。
先付。
あんきもともずく酢、右はふぐの皮の煮凝り。
造り。
鯛、まぐろ、海老、手前は昨日もあった、やがら、か。
鍋。
開けると、
なんと、活きた、鮑。
蒸し焼きになる。
刺身をつまんでいると、火が通った。
バターを落としてナイフで切る。
身もむろんうまいが、肝もまた、よい。
さて。
二日目の夜は、鍋の二回戦。
牛すき焼き、なのだがピンボケ。
煮えるのを待って、焼物。
鰆(さわら)の幽庵焼き。
幽庵焼き、と、いうのは酒、しょうゆ、味醂に
柚子の香りをつけたつゆに漬けこんで焼いたもの。
上品である。
揚げ物。
これは、ふぐ。
煮物。
煮魚、なのだが、なんの魚か忘れてしまった。
ご飯。
おつゆは赤だし。
昨年もそうであったが、鍋が2回戦、
それも生鮑とすき焼き。
連泊するレアな客用の献立ということになろう。
メニューは一泊の客のために一種類だけ用意されている。
これ以上の我儘はいうまい。
まあ、毎年のことなので慣れてしまってもいるが。
続けて、朝飯。
二日目は湯豆腐はなし。
出汁巻玉子ではなく、オムレツ。
オムレツもむろん温かい。
レタスにポテトサラダ、ウインナー。
わさび漬けに蒲鉾、焼きたらこ、昆布の佃煮。
干物はえぼだい。
えぼだいは鯵の開きよりもうまいかもしれぬ。
まぐろ中落ち。
焼き海苔、お新香。
味噌汁。
それから。
立つ朝は、コーヒーを出してくれる。
部屋で勘定をして、10時出立。
仲居さん、若旦那に見送られて、立つ。
お世話になりました。
また、来年。
帰りは、箱根山を一まわりしていこう。
国道を登って、宮ノ下、小涌谷。
元箱根に降りる。
今日は、快晴。
しかし、風が強くて寒い。
芦ノ湖も白波が立っている。
早々に車に戻り、ターンパイクへ。
見晴らしがよい、尾根道。
あまりにも美しいので、車を停めた。
箱根には、今年も会社の合宿研修など、
生まれてこの方、むろんなん度なん度もきている。
しかし、富士がきれいに見えるということは、
箱根でも意外に少ないように思う。
この姿を見ると、美しい山河のある我が国国土の
素晴らしさを思わずにはいられまい。
特に富士というのはその代表であることに
異論のある者はおそらくあるまい。
既に冬枯れの木立、芦ノ湖の青さ。
手前に箱根外輪山があって、広く裾野を見せ、
その多くを白い雪に覆われている。
イタリアシシリア、タオルミーナのホテルから
見えた、富士同様の成層火山のエトナ山も素晴らしかった。
エトナを遠景にした紺碧の地中海、
ギリシャローマ時代からの石造りの街並みもよい。
しかしこの富士の絶景とこの二日間お世話になった
箱根塔ノ沢温泉の数寄屋造りの日本旅館[福住楼]は
私達が守らねばならぬ誇るべきものであると実感する
のである。