浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



宮ノ下・富士屋ホテル

引き続き、箱根。



宮ノ下の[富士屋ホテル]での昼飯。






メインダイニング「ザ・フジヤ」の椅子の刻印。


1878年明治11年創業。


ここも実は池波レシピ。


いや、このレストランだけではなく[富士屋ホテル]自体が
エッセイ『よい匂いのする一夜』に書かれている。



よい匂いのする一夜 (講談社文庫)



食べ物で登場するのは、虹鱒、牛ヒレ肉の煮込み、その他色々。


私はここに泊まったことはないのでわからないが、
昭和初期の一流ホテルのサービスがどんなものであったか
わかるであろうと、書かれている。


箱根にくるときには[福住楼]に決めているので
なかなかここに泊まる機会はなさそうであるが、
一度くらいはここにも一泊くらいしてみたいものである。


ともあれ。


昼飯だ。


虹鱒のムニエルも食べたことはあるが、メニューを見ると
ここは最近は、カレーを推している。


カツカレーがあるので私はこれにする。
内儀(かみ)さんはドリア。


薬味が運ばれる。





下の木の台は箱根細工であろうか。
スプーンの向きがきれいに揃っている。


銀座の資生堂パーラーの薬味セットもよいがここもなかなか。


きた、ポークカツカレー。





カレーがカレー用のポットに別に入れられて出てきた。
かかっていないカツカレーとしてはちょっと珍しかろう。


カツもまた揚げたものではなく、焼いたものかもしれぬ。


カレーをかけて、食べる。





いわゆる欧風カレー。
辛みは少ない。
穏やかな、うまいカレーである。


コーヒーをもらってゆっくり。





やはり、このレストランも希少である。


昭和初期の和洋折衷、不思議な空間ではあるが
なん度かきて馴染んでくるうちにそう思うようになってきた。
これもまぎれもなく箱根の、日本のリゾートホテルの歴史。


また、ここのサービスも名前と場所に恥じぬほど
行き届いているといってよいだろう。


このままの姿を是非続けていってほしいものである。


さて。


再び、塔之澤[福住楼]に戻る。


またまた丸風呂に入り、夕飯。


基本、私達のように今時連泊をする者はいないのであろう。
おそらく用意している献立は一種類。
従って、二日目は、一日目とは多少毛色、と、いうのか
“方向性”が違う。


刺身、湯葉、鮟肝。





刺身は、鯛、まぐろ、海老。(一番右は忘れてしまった。)


鍋は二種類、とお姐さん。


ん!、それはたのしみ。


一つ目は、なんと、鮑の踊り。





これ、動いている。


バターをのせ、ふたをする。





火が通ったら、ナイフで切って食べる。
贅沢、贅沢。


鮑を食べ終わると、次の鍋。


豚のすきやき。





燗酒ももらう。





焼物は、鰆の幽庵焼き。




(昨日分、間違えてしまった。こちらが幽庵焼き。昨日のものは鰤照りでした。)




揚げ物は天ぷら。





海老に椎茸、茄子。



煮物、ご飯、香の物、赤だし。





(煮物はなにかの揚げ出し、だったと思うのだが、憶えていない。)


ただ、気になるのは、これ三日目になるとどうなるのか。
最初の回に書いたが、この部屋に長逗留された
田山方南先生は、なんと200日という。


まあ、なにか考えてくれるのであろう。
家庭の食卓だって同じである。
お母さんは毎日、同じ苦労をしている。





つづく。






福住楼

 


富士屋ホテル