浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



鴨ぬき、鴨せいろ その2

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引き続き、鴨。

鴨胸肉を焼く。

その前に、焼くのか?、と思われる方も
あるかもしれぬ。

つゆに入れて煮込むのでは?と。

以前はそばやの鴨南蛮でもつゆで煮込んでいるところも
少なからず見かけた。ひょっとすると、今もあるか。
鴨肉というのは、熱を掛けるとすぐに縮む。
縮むと同時に堅くなる。
理想は、中がレア、であろう。
煮込むとこのコントロールが難しいのである。

それで煮込まない。焼く。
焼いたものを、後から入れる。
味はつくねで出す。

で、焼く作業。
今回は、新グリルで焼くことにしたのだが、プラス
ちょっと燻製香を付けてみたらどうであろうかと思い付いた。

新グリルの下の皿にアルミホイルを敷いて燻製用のチップを
入れて加熱してみる。

強火7~8分で香りが出てきた。

この上にのせて、焼く。
網は、油を塗っておくのを忘れずに。
脂身の皮側を上。

最初、強火。
が、これはだめだ。

強すぎる。
焦げるだけ。
すぐに最弱火にし、様子を見ながらじっくり焼く。

10分弱。

いい感じ。

脂がじんわりにじんで、下にも落ちている。
色もよさそう。

中はどうか。串を刺してみる。

しっかり熱は入っている。

側面。

OK、いいか。

ドリップが出る。
落ち着かせるため、このまましばらく置こう。

その間に、つゆ。もちろん、いつもの桃屋
水としょうゆをちょいと、足す。
鴨ぬきのつゆだが、かけ、ではなく、もり用の
つけ汁の濃さ。

加熱し、叩いた鴨肉と脂身を丸めて、入れる。

ある程度煮えたら、火を止めておく。

先ほどの焼き鴨。
切ってみる。

おお。なかなかいい色ではないか。
これは、初めてにしては、よい。
新グリル、なかなかの優れものである。

つくね入りのつゆにねぎ投入。

ねぎは5cm程度に切って、半割。
三つ葉、油揚げなんというのを入れてもよいのだが、
保守本流はやはりねぎのみであろう。
今日はそんな気分。

薬味用のねぎも切っておく。
ねぎが煮えたら、器に移し、焼いた鴨スライスも入れる。

鴨ぬき。

これで、ビール。

この鴨ぬき、我ながら、かなりよくできた。
つくねから鴨の脂と香りがしっかり出る。
そして、なんといっても焼いた鴨が、上々に仕上がっている。

鴨ねぎというが、ねぎも、もちろんうまい。

そうそう、燻製香。
ほんのちょっとでも付けばよいか、と思ったが、
これは、まったくしない。
弱火で焼いたので、香りが付くほどにならなかった、
ということか。

燻製というのは、少し前から人気で自分でする人も増えている。
実のところ、私は苦手なのである。
燻製香というのは、ほのかであればよいのだが、強すぎると
食べられない。和製燻製の、秋田のいぶりがっこもだめである。
燻製香というのは、なんであろうか。木から出る煙に含まれる
化学物質なのであろう。
多少、私、化学物質過敏症の気はあるかもしれぬ。
そんなことで、燻製用のチップは買ったがほぼ使っていない。

ともあれ。

鴨肉とつくね、ねぎだけ、お替りをする。

つまみ終わり、呑み終わり、そばをゆでる。

もちろん、生わさびもおろす。

今日の生蕎麦は、あまり今まで見かけなかったが、
吉池にあったマルちゃんのもの。
ちょっと白っぽい。
更科系といったところ?。

つくねとねぎもまだ残っていた。

ペロッと手繰る。

ここで、一句、、、

と思ったが、私、詩人ではないのであろう、
やめておく。

 

 

鴨ぬき、鴨せいろ その1

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11月1日(日)第二食

11月になった。

霜月。

晩秋。

11月になったら、鴨、で、ある。
鴨南蛮。

これはもちろん、浅草並木の[藪蕎麦]

なのだが、最初は、自作しようと決めた。

先日、鴨南蛮は季語であることがわかった。

では、鴨南蛮を使った俳句にはどんなものがあるのか、
気になってくる。
調べてみた。

意外に、最近のものが多そうである。


先口の鴨南蛮(かもなん)忘れ居らぬかや 高澤良一


蕎麦やでの、あるある。
先口は、せんくち。先に頼んだ私の鴨南蛮がこない。
なかなかよいではないか。

次。


二十日正月鴨南蛮を喰ふもよし 田中貞雄


今はもう言わなくなっているが、二十日正月
正月行事の開ける日。お節やら正月にまつわる食べ物から
離れて、鴨南を喰う。

もう一つ。


末枯れやカレー南蛮鴨南蛮 田中裕明


末枯れは、うらがれ、と読む。
晩秋の枯れた草木、その寂しい様子。
この句では鴨南ではなく、末枯れが季語になろう。
末枯れに、下世話なカレー南蛮、鴨南蛮を
重ねているところが、詩人であろう。

三人とも名のある俳人の方々である。
田中裕明氏が45歳で亡くなられているが、生まれは1959年で
年代とすれば一番下。他のお二方は高齢だがご存命のよう。

これ以外にネットでは見つからなかった。
鴨南蛮が、俳句に詠まれ、季語として認知されるのは
戦後、あるいは最近のことではなかろうか。

これは取りも直さず、鴨南蛮がポピュラーになったのは
そう昔のことではないということではなかろうか。

鴨南蛮そば、というのが、例えば浅草並木の[藪蕎麦]で
出されるようになったのは、いつ頃からのことで
あろうか。
並木[藪蕎麦]は大老舗のようだが、創業は明治ではなく、
大正2年(1913年)。先日の上野[翁庵]よりも新しい。

鴨南蛮はそばの中でも、かなり高級で、趣味的、
と、いってもよいかもしれない。昔も今も。
ただ、大正であればあったかもしれぬ。

もちろん、鴨自体は、江戸期の江戸でも食べられていた。
鴨鍋として。しかし、レアで鶏よりも大ご馳走であったろう。

蕎麦の種として使われるのは、ずっと時代が
下ってからのことではなかろうか。

天ぷらそばは、例の歌舞伎「直侍」には出てくる。
これは明治の初め。
また、ここに天(ぷら)のぬき、玉子のぬき、は出てくるが
鴨のぬき、というのは出てこない。

そんなことを考えていたが、ちゃんと調べると、
幕末の博物誌、定番の「守貞謾稿」には既に鴨南は出てくる。
意外に古いか。ただ、やはり高級なものではなかったか。
どのくらいポピュラーであったのか。

天ぷらはさらに20~30年ほど前、文政10年(1827年)の
川柳に出てくるよう。
これより前からあったということにはなる。
鬼平には出てくる。作品の時代設定は、田沼時代。
文政10年までは30年程度の間がある。池波先生は
考証されていたのか。わからぬが田沼時代はちょっと
怪しいかもしれない。
いずれにしても、やはり天ぷらそばと鴨南には文献上は多少の
時代の差があったようである。

さても、さても、鴨南蛮。

鴨は、昼すぎ、ハナマサで、冷凍の合鴨胸肉を買ってくる。
よくある鴨ロースというのは胸肉。

タイ産。一つ300円程度で意外に安い。

これを少し切って、叩いてつくねにし、つゆに入れて煮る。
つくねが一番鴨の出汁が出る。
あとは、きれいに焼いて、スライスで入れる。

作るのは、鴨南蛮ではなく、鴨ぬきと、鴨せいろ、
で、ある。

鴨をそばにするのであれば、鴨南よりも
鴨せいろの方が、よいだろう。
扱いやすい。
呑んだ後に、ざるで手繰るのがちょうどよい。

生蕎麦も買っておいた。

カチンコチンなので、パックのまま水に入れて
解凍しておく。

作る。

溶けた胸肉はこんな感じ。皮側。

裏。

これを1/4ほど切る。

脂身も身も細かく切って、叩く。

これをつくねにする。

残りは焼く。

どう焼こうか考えたのだが、例の新グリルで
焼いてみようか。

 

つづく

 

 

鶏と大根の鍋

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10月30日(金)第一食

そろそろ、こんな季節になってきた。

池波遼太郎レシピ「鶏と大根の鍋」
で、ある。

簡単なので、毎年やっている。

出典は、仕掛人・藤枝梅安シリーズ。
4巻目の梅安針供養。

池波正太郎著「仕掛人・藤枝梅安(四)梅安針供養・
あかつきの闇」講談社文庫から)

梅安シリーズ初の長編。
この一巻で一つの話になっている。

池波作品人気3シリーズ「鬼平犯科帳」「剣客商売
「梅安」とあるが、鬼平、剣客は、全体を通すストーリーは
ほぼないといってよいと思うが、梅安シリーズは全巻を通す
大きなストーリーがある。もちろん、一話読み切りが基本だが、
そこにもベースを通すストーリーを背景にしている。
これが特徴であろう。

特に、この四巻針供養は、固有のストーリーもありながら
ベースストーリーを進める役割を強く持っている。

そんなこともあって、登場人物もそこそこ多く、
筋が複層し、謎解き、ミステリー要素も仕掛けられている。

今回改めて読み直してみた。
むろん、なん度も読んでいるのだが、このところ少し
離れていたのであった。

それで、改めて気づかされたのは、周到に作られた筋立てと
おもしろく読ませる構成力である。

元来、池波作品は大衆小説であり、気軽に読める。
難しくはない。
先生自身、そのスタンスをアイデンティティーといってよいほど
貫かれてきた。

この針供養も、実際は大身旗本のお家騒動という
誰にもわかりやすい基本ストーリー。

読み終わって、謎解きが終わっても、
どうしてもわからない、謎だらけ、難解な
ミステリー小説もあるが、この作品はそんなことは
一向にない。読み終わればきれいに解決される。

途中、ハラハラドキドキ、謎、謎、、、を抱かせるのは
先に書いた、構成力。

池波先生の場合、3シリーズ月刊連載同時進行で、
エッセイなどを読んでも、事前に別紙にプロット設計、
構成の検討などはせずに、いきなり原稿用紙に
向かわれているようにみえる。

同じ長編ものも鬼平、剣客にあるが、ストーリーは長いが
時系列に進みあっと驚くトリック、謎はあまりなかった
のではなかろうか。

そういう意味では、この梅安針供養は、通常以上に
時間を費やして書かれたのではなかろうか。
そして、読みごたえがある。

舞台は、いつもの品川台町の梅安の自宅兼針医者としての診療所、
浅草外れの塩入土手の彦次郎の自宅。これに今回は小杉が潜む葛飾郡
新宿(にいじゅく)の布海苔(ふのり)問屋下総屋の離れ屋、
戦う相手となる下谷御徒町の大身旗本池田備前守屋敷、などなど
江戸府内、郊外と飛び回る。

季節は江戸の「秋が深くなる」頃に話を起こし、大きな仕掛けを終え、
少なからぬ後味のわるさを残す。追われるように梅安、彦次郎、小杉の
三人は江戸を立ち、熱海の湯につかり骨休めをするまで。

そんなところに、この「鶏と大根の鍋」が出てくる。

梅安お手製である。

大根を鶏の出汁で煮るだけ。
作品中は、薄味を付けて、油揚げも入れている。

私の場合はつゆに味は付けずに、しょうゆだけを直接掛けて
食べるようにアレンジしてきている。

まあ、どちらにしても、誰でも簡単にできて、
うまい、のである。

用意するのは、大根と鶏の手羽

手羽は出汁も出るし、脂も出る。
また、食べてもうまい。
ただ、やはり、よく煮出した方がよい。
柔らかく食べやすくもなる。

大根も火が通るのに多少の時間が掛かる。

それで、圧力鍋。
まあ、圧力鍋がなければ、柔らかくなるまで煮ればよい。

大根は皮をむいて、2cm程度の幅に切り、さらに1/4。
これを鶏手羽とともに、水を張った圧力鍋へ。

ふたをして加熱加圧上がったら弱火で5分、後は消火、放置。

30分後。

煮えた。
まったく簡単。

これを土鍋に移して、カセットコンロを出し
お膳で食べるだけ。

酒でもよいが、やっぱりまだビールを開ける。

大根。

しょうゆだけを掛ける。

まったく簡単なものだが、作中にも書かれている通り、
こんなものが、と思うほど、うまい。

手羽

手羽も柔らかく煮えている。

もちろん、つゆも、うまい。

飯を入れて雑炊にしても、うまいのだが、
さすがに、それはやめる。

うまかった、うまかった。

兎にも角にも、
そろそろ、晩秋、で、ある。

 

 

稲荷町・洋食・レストランベア本店

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10月30日(金)第一食

さて、ご近所、稲荷町の[レストランベア本店』
で、ある。

ちょっと久しぶり、かもしれない。

9/23

2019年

気取らない下町の洋食や。
ありがたいことに、昔から出前もしてくれる。

東京下町の洋食やは、出前をするのは
伝統といってよいだろう。

それこそ池波先生は、戦前、私の住む七軒町の北隣、
永住町の生まれ育ち。エッセーにも書かれていたと思うが、
洋食やは町に一つはあった、と。
と、すると、稲荷町まで歩かなくとも、あったので
あろう。

昼、内儀(かみ)さんと、ぶらぶら歩いて。

天気もよい。

どぶ店のお祖師様(長遠寺)の前を通り
清洲橋通りを渡って左の角。

外に立っている看板に、今日の日替わりが
三つ、いつも書かれている。

カキフライとハンバーグ、メンチカツカレー、
(もう一つ、忘れた)、。

おお。
かきの季節が始まったのである。

やはり、皆、たのしみにしているだろう。

先シーズンは確か、今一つではなかったか。
大きいいものが、なかなか入らない、なんという声を
聞いていたような気がする。

今年はどうであろうか。

店に入って、おねえさんに二人という。

テーブルが一つあいていた。

掛ける。

カキフライとハンバーグではなく、
カキフライだけの定食にしよう。

水を持ってきてくれた、おとうさんに、
注文。

今日は12時台。
やはり近所のサラリーマンでにぎわっている。

ややあって、きた。

カキフライ。

ご飯にわかめの味噌汁。

深めの色に揚がったカキフライが五つ。
タルタルソース。

この牡蠣、デカイのではなかろうか。

アップ。

ソースもかけて、食べる。

やはり、デカイ。

カキフライは大きい方がよいのは
いうまでもなかろう。

そして、うまい。

950円。
高級店ではない、町の洋食やである。

今年は牡蠣がよいのではなかろうか。

うまかった。

ご馳走様でした。

勘定をして出る。

今シーズン、たのしみ、で、ある。


追伸

こんな句があった。

カキフライが無いなら来なかった

ご存知の方はおられようか。
作は、かの、ピース又吉氏こと芥川賞作家又吉直樹氏。
自由律俳句になる。

同名の句集が共著で出ていた。

読んでみたが、なかなかおもしろい。

 

03-3831-6430
台東区東上野2-2-9

 

 

イカリング

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10月28日(水)第二食

さて。

これ、書くつもりはなかったのだが、
うまかったので、書くことにした。

冷凍庫にいかがあった。
9月に天ぷら用にハナマサで買ったもの。

下足なしでえんぺらと胴だけのもの。
まだ、3杯分あった。

これをなにかにしようと考えて、イカリングフライに
たどり着いた。

いかを輪切りにして、フライにしたもの。
まあ、居酒屋などにもありそうな、あたり前のもの。

だが、私、結構好き。
あまりにも、あたり前のものなので、今は、
居酒屋などにもないかもしれぬ。
意外に食べる機会は、減っているのではなかろうか。

5年前に、フィリピンにダイビングに行った際に
リゾートホテルのレストランで食べたのが
最後かもしれぬ。

ボラカイ島である。フィリピンの人が食べるのか、
わからぬが、こんなところにあったのは、びっくり。

ともあれ。

いかは水で解凍して、えんぺらを取る。
皮をむこうとしたのだが、切れてしまってうまく
むけない。
あきらめる。まあ、よいであろう。

そして、リングなので当然輪切り。

普通は1cm程度の幅であろうが、
ちょっと大き目、1.5cm~2cmにしてみる。

皆さん、いかがであろうか。
私は、衣は厚め、いかは大き目がうまいと考えた。

海老フライなどでも海老の倍以上の大きさの衣、
なんというのは、さすがによくないが、厚め、
しっかりがよい。
薄い衣では頼りない。

玉子冷水を作る。
しっかりした衣のために玉子二個。

パン粉も用意。
細かいものしかなかったので、それ。

玉子冷水に天ぷら粉を入れてしまう。

竹串を用意。
竹串に引っかければ手が汚れない。

厚い衣のためのポイントはもう一つ。
二度付け、で、ある。

普通のフライであれば、小麦粉→玉子冷水→パン粉、
の順で終了ある。
これを、玉子冷水に小麦粉を入れたもの→パン粉→
もう一度、玉子冷水に小麦粉を入れたもの→パン粉。

自己流ではない、プロでこういう技がある。

ちょっとつきすぎてしまう、ものも出てくるが
かなりしっかりした衣になる。

衣のボールに段々にパン粉がたまって、最後には
どろどろになっていく。
最初と最後では粘度が違うということである。
最後の方が衣がより厚くなる。
まあ、こういったことを頭に入れておかなければ
いけない。

揚げ鍋に油を用意。

170℃程度でよいか。

衣が厚いので、じっくり。

いか三杯分なので、ちょっと量もある。

揚がった。

ちょっと不格好。

実際の量はこの二倍ある。

さて、ソースである。

ハインツのちょっと辛めのサルサ

冷蔵庫に常備してタコスチップを
ディップして食べている。

これにケチャップを加えて少しマイルドに。

盛り付け。

ソースは真ん中に。

アップ。

ビールを開けて、食べる。

お!。
これ、かなりうまい。

天ぷら粉なので、カラッと揚がっている。
皮はむいていないが、まあ問題はない。

実は、上の写真の手前中央が、衣二度付けをしていないもの。
一つだけ作ってみた。
比べると、やっぱり頼りない。
衣もうまい、のである。まあ、私の好みではあるが。

しかし、たくさんできてしまった、、、。

 

 

浅草・レストラン・大宮

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10月27日(火)第二食

さて、浅草の[レストラン・大宮]、で、ある。

一人でふらっと入ることは珍しい。

予約をしてくる。

少し前にさかのぼる。

夜、なにを食べようか考えて、ビーフカツレツに
たどり着いた。

例の和知シェフのレシピにあったもの。
と、いうことは自作をしようとしていたのである。

レシピはアンガスのヒレ
ヒレが柔らかく歯切れがよく合っている、
とのこと。

アンガスといえば、西友
肉売り場にきてみると、

ない。

ステーキ用のロースは定番で、ローストビーフ用の
ももブロック、その他、カルビ、などはあるのだが。

そうかー。
西友といえども、ヒレは置いてないか。

ビーフヒレは最も高いか。

スーパーでこんなものは誰も買わないか。

和牛であれば、和牛を扱うデパートの肉売り場など、
高級店であれば、おそらくある。
ただ、和牛のヒレは、まあ相当な高価格であろう。

は、はーん。
どうしたものか。

ビフカツが食べたかったので、どこか洋食やへ
入ってもよいか。

と、思って、きてみたのか[大宮]でだった
のである。

店脇に自転車をとめて、入ってみる。

いらっしゃいませ、と元気に声を掛けられる。

下には3人ほど。
ご主人の大宮シェフは、ここにはいない。
丸の内か。

下のカウンターは、時節柄使っていないよう。

ただ、静か。
お客さんはなしのよう。

お二階へ。

二階の一番手前のテーブルに掛ける。

若いお兄ちゃんが、メニューを持ってきてくれる。

メニューを見る。
ビフカツはあるか?。

あー、ない。
万事休す。

しかたない。
こうなったら、ヒレのステーキでも食べるか。

入ってきたときに黒板に書かれていたのを
見ていた。

松坂牛のヒレステーキ、100g。
これにしよう。

グラスのビールももらう。

ビールを呑みながら、待つ。

静かなので、下で調理が始まった音が
よく聞こえる。

チャームといってよいのか。

お兄ちゃんが持ってきてくれた。
チーズを練りこんだシュー、とのこと。

食べてみると、クリームが入っているのかと
思ったら、シューのみで、シューに練りこんであった。

そして、きた。

きれいな盛り付け。

ポテトに野菜。
ポテトはチーズをまぶして焼いてある。

野菜は、青いのは小松菜であろうか。
蕪になす、ミニトマトなど。
ソテーなのか。
色がよい。
火の通りも上品で、うまい。

松阪牛ヒレ

アップ。

表面がこんがりと、素晴らしい。口当たりも抜群。
自分でもこんな風に焼けたら、と、思ってしまう。

火の通り具合は、ミディアム程度か。
比較的よく火が通っている。

流石に柔らかく、うまみに満ちている。

そして、もう一つ。
奥の白い器に入っているソース。
玉ねぎとしょうゆ、赤ワインのソースとお兄ちゃんが
説明をしてくれたが、これ、かなりうまい。
これだけ、飯に掛けて食べたいほど。

うまかった。
食べ終わり、下で会計。

ビールも入れて5000円也。
なかなかなもの。

ご馳走様でした。

さて、アンガスのヒレ、どこで買えようか。

 


大宮

台東区浅草2-1-3
03-3844-0038

 

 

秋刀魚塩焼きと戻り鰹刺身

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10月26日(月)第二食

今日は、浅草。

よい天気。
暑くもなく、寒くもなく、よい季節である。

この土日は、浅草も結構な人出であったが、
ウイークデーはちょうどよい感じ。
伝法院通りも人はいるが自転車で走れる。

いつも通り、ロックスの西友に寄る。

やっぱり、魚売り場。
今日は、特にあてがあるわけではない。

安いものを見る。
西友はほぼどれも安いが、超特価、となっているもの。

鰹。
宮城産のサク、大きなものではないが、370円。

今は戻り鰹であろう。

私は、基本、生の鰹はスーパーでも、吉池でも
買わないことにしている。
今のものも、初夏のものも。

買って自分で切ったものは、かなり生ぐさいし
血の味。

もちろん、鰹の刺身はきらいではない。
鮨やであれば、必ずもらう。
プロの出すものは、あたりまえだが血生ぐさかったりは
絶対しない。みずみずしい。
これほど違う魚も珍しかろう。

そもそもの鮮度の違いもあろうし、さばいてから
時間が経っている、ということもあろう。

脂が多い戻り鰹であれば、多少はよいか。
安いし買ってみよう。

それから、秋刀魚があった。
一本、127円。
今年にしては、かなり安くなっている。

山ほど報道されているが、今年もかなりの不漁。
脂ののりも寂しいのであろうし、無理をして
食べる必要もないだろう、というのが、持論である。
鮨やなどでも、出すところは多いのであろう。
希少だから、高い金を出して食べる、なんというのは、
まったくナンセンスである。
どうかしている。
これは、金ならあるぞ、感だけではないか。
希少→高価・・・→うまい?、、、はずがないであろう。

小肌の子供、新子なども同様である。メダカサイズの
ものを夏前に出す鮨やがある。あれなど、酢の味しかしない。
希少で高価だが、ありがたかって食べる神経がわからない。
昔からのことだが、初物をむやみに喜ぶ、よろしくない
思考であろう。

まあ、基本はこう考えているので、300円、400円の
秋刀魚であれば、絶対に買わない。

だが、127円、であれば、多少話が違ってくる。
少し考えて、今日は買ってみようと決めた。
もちろん、今年初めて。

127円であれば、逆に買うべきではなかろうか。
買わなければ、漁師の皆さん、卸、その他流通関係者、
この安くなった秋刀魚に関わったすべての方々に
申し訳がない、気がしてきたのである。

この価格で売れる理由の本当のところははわからぬが、
ある程度の量が獲れているのであろう。

帰宅。

こんなもの。

問題は、鰹。
今日、考えたのは、血合いを全部取ろうということ。
生ぐささの原因の一つは、鮮度もあろうが、
血合いも大きかろう。

鮨やなどでは、ちゃんとしたところであれば、
血合いはすべて取ってある。

家で刺身に切る場合は、血合いは残していた。
鰹のサクから、血合いを全部取ると、残りは
半分に減ってしまう。
かなりもったいないが、やってみよう。

パックではよくわからぬが、半分ということはないが、
1/3以上は血合いである。
小さくなるが、切ってみた。

秋刀魚。
大根は天ぷらに使ったものがまだある。

大根をおろす。
秋刀魚には、たっぷり。

半分に切って塩をし、ガスレンジで焼く。
これも新グリルで、自動で焼ける。

皿にのせて出来上がり。

鰹刺しは、脂のある戻り鰹なので、しょうがではなく
和辛子。

ビールを開けて、食べる。

少し残っているが、ほぼ血合いは取った。

やはり、かなりよい。
いやな血なまぐさは、ほぼない。
みずみずしい。

脂もそこそこ。

もったいないが、血合いを取った威力は
十分である。

うまい戻り鰹の刺身である。

和辛子で食べるのは、私は池波先生のエッセイから
だったと思うが、森下の[山利喜]でも見かけた。
東京下町では一般的か。
よく合う。

秋刀魚塩焼き。

脂は焼いていると下にそこそこ落ちていたが
焼き上がると、あまり感じられない。
その上、やっぱり細いのは、寂しい。

もはや、秋刀魚はこんな魚と思った方がよいのでは
なかろうか。