浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



鴨ぬき、鴨せいろ その2

f:id:dancyotei:20201103231544g:plain
引き続き、鴨。

鴨胸肉を焼く。

その前に、焼くのか?、と思われる方も
あるかもしれぬ。

つゆに入れて煮込むのでは?と。

以前はそばやの鴨南蛮でもつゆで煮込んでいるところも
少なからず見かけた。ひょっとすると、今もあるか。
鴨肉というのは、熱を掛けるとすぐに縮む。
縮むと同時に堅くなる。
理想は、中がレア、であろう。
煮込むとこのコントロールが難しいのである。

それで煮込まない。焼く。
焼いたものを、後から入れる。
味はつくねで出す。

で、焼く作業。
今回は、新グリルで焼くことにしたのだが、プラス
ちょっと燻製香を付けてみたらどうであろうかと思い付いた。

新グリルの下の皿にアルミホイルを敷いて燻製用のチップを
入れて加熱してみる。

強火7~8分で香りが出てきた。

この上にのせて、焼く。
網は、油を塗っておくのを忘れずに。
脂身の皮側を上。

最初、強火。
が、これはだめだ。

強すぎる。
焦げるだけ。
すぐに最弱火にし、様子を見ながらじっくり焼く。

10分弱。

いい感じ。

脂がじんわりにじんで、下にも落ちている。
色もよさそう。

中はどうか。串を刺してみる。

しっかり熱は入っている。

側面。

OK、いいか。

ドリップが出る。
落ち着かせるため、このまましばらく置こう。

その間に、つゆ。もちろん、いつもの桃屋
水としょうゆをちょいと、足す。
鴨ぬきのつゆだが、かけ、ではなく、もり用の
つけ汁の濃さ。

加熱し、叩いた鴨肉と脂身を丸めて、入れる。

ある程度煮えたら、火を止めておく。

先ほどの焼き鴨。
切ってみる。

おお。なかなかいい色ではないか。
これは、初めてにしては、よい。
新グリル、なかなかの優れものである。

つくね入りのつゆにねぎ投入。

ねぎは5cm程度に切って、半割。
三つ葉、油揚げなんというのを入れてもよいのだが、
保守本流はやはりねぎのみであろう。
今日はそんな気分。

薬味用のねぎも切っておく。
ねぎが煮えたら、器に移し、焼いた鴨スライスも入れる。

鴨ぬき。

これで、ビール。

この鴨ぬき、我ながら、かなりよくできた。
つくねから鴨の脂と香りがしっかり出る。
そして、なんといっても焼いた鴨が、上々に仕上がっている。

鴨ねぎというが、ねぎも、もちろんうまい。

そうそう、燻製香。
ほんのちょっとでも付けばよいか、と思ったが、
これは、まったくしない。
弱火で焼いたので、香りが付くほどにならなかった、
ということか。

燻製というのは、少し前から人気で自分でする人も増えている。
実のところ、私は苦手なのである。
燻製香というのは、ほのかであればよいのだが、強すぎると
食べられない。和製燻製の、秋田のいぶりがっこもだめである。
燻製香というのは、なんであろうか。木から出る煙に含まれる
化学物質なのであろう。
多少、私、化学物質過敏症の気はあるかもしれぬ。
そんなことで、燻製用のチップは買ったがほぼ使っていない。

ともあれ。

鴨肉とつくね、ねぎだけ、お替りをする。

つまみ終わり、呑み終わり、そばをゆでる。

もちろん、生わさびもおろす。

今日の生蕎麦は、あまり今まで見かけなかったが、
吉池にあったマルちゃんのもの。
ちょっと白っぽい。
更科系といったところ?。

つくねとねぎもまだ残っていた。

ペロッと手繰る。

ここで、一句、、、

と思ったが、私、詩人ではないのであろう、
やめておく。