10月8日(金)第一食
もう一軒。
駒形[どぜう]。
ずっと、きたかった。
どぜうで一杯。
どぜう鍋は、本来夏のもの。
夏はもうすぎてしまったが、まだ暑いので
間に合った、ということになろうか。
二時すぎ、やっぱり自転車で出る。
今日も、素足に雪駄。
駒形[どぜう]であれば、わるくは
なかろう。
断っておくが、裏は本皮で表は竹皮、鼻緒は印伝。
安いものではない。
駒形[どぜう]までは、元浅草の拙亭から
真っ直ぐ東。
自転車で5分とはいわぬが、10分はかからない。
浅草にはもう一軒、どぜうやでは[飯田屋]
というのが、西浅草にあるが、私は駒形が贔屓。
近いというのもあるが、うまい。
新堀通りを越えて、寿。
寿も抜けて、国際通りも越える。
浅草消防署の角を抜け、右にバンダイの本社。
江戸通り(蔵前通り)に出る左が駒形[どぜう]。
到着。
歩道のガードレール脇に自転車をとめて、店へ。
腰障子は時節柄か、開いている。
一人と、下足のお姐さんに。
これも時節柄か、渡されるはずの、下足札兼
勘定の札は今はない。
テーブルと座敷とどちらがいいですか?と。
もちろん、入れ込みの板の間。
床は葦簀が敷かれている。
手前から長い桜板が横に奥までずらっと並んでいる。
お客は、ウイークデーのこんな時刻、
ぽつん、ぽつん。
一番奥、壁際の列へ。
壁を背に胡坐をかいて、座布団に座る。
着物姿に襷掛けのお嬢さんが注文を取りにくる。
今日も、お酒冷(ひや)、一合。
それから、もちろん、丸鍋。
丸鍋とはノーマルな開いていない
どじょう鍋のことだが、丸のままだから丸鍋か。
炭の焜炉がくる。
従来通りであれば、隣同士でシェアする、
ねぎや薬味の入った木箱がくるのだが、
これも時節柄か、昨年からなし。
ねぎは皿に盛られたものがくる。
割り下もきて、冷酒もきた。
そして、丸鍋も。
あまり、よい色ともいえない姿のどぜうが
並べられている。
もちろん、柔らかく下拵え済み。
例の江戸甘味噌で煮てあると聞く。
これが、うまさの秘訣である。
下味は味噌であるが、つゆは、甘辛のしょうゆ。
気を付けないと、下味が味噌というのは分からない程度
ではある。
型通り、ねぎを山盛り。
もちろん、どぜうの鍋なのだが、私は
この割り下で煮たねぎが大好き。
まずは、一杯。
さすがにどぜうは、冷たいので温まるまで
待たなければいけない。
どぜうを少しよけて、ねぎのスペースを作り、
ねぎも一部、先に火を通す。
やっと、ねぎも煮えてきた。
ともに小皿に取って、
食べる。
七味や、山椒もあるが、私はそのまま。
ねぎを煮ては、どぜうを喰う。
煮詰まってくるので、割り下も足す。
時折、どぜうも動かす。
放っておくと、鍋にくっついてしまうのである。
少し前に一人鍋が騒がれたことがあったが、
池波先生も書かれているが、ここだけではなく、
浅草には昔からたくさんあったし、
多くはないが今もある。
駒形[どぜう]の一人鍋が一体いつからあるのか。
創業の江戸の頃からなのか。
わからぬが、この作業もなんとも言えず、よい、
のである。
江戸という街は、男の人口が多いお一人様の街であった
一枚きれいに平らげて、お嬢さんを呼んで、
お替り!。ねぎも。
すぐに、持ってきてくれて、今の鍋に
器用に移す。
また、ねぎを山盛りのせて、、、
なんだか、無限ループのようだが、
食べ終わる。
勘定をして、雪駄を突っかけて、出る。
ご馳走様でした。
ねぎの香りをプンプンさせて、自転車へ。
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