浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・餃子の王様

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6月29日(月)第二食

また、夕方、浅草。

なにを食べようかと考えて、餃子。

今日は、かなり暑くなってきた。
暑くなってきたら、餃子、で、あろう。

それで、[餃子の王様]

雷門通りから、ヨーロー堂の角を入って新仲も越え
右側の小さな店。
昭和29年、戦後すぐの開業。
もはや、有名老舗。
餃子だが、町中華、というフラッグも立つか。

コロナ前の一時期は、ウイークエンドは列になっていた。
外国人観光客も多かったと思われる。

ここ厨房の人数も少なく、混んでいる時には
出てくるまでの時間は覚悟しなくてはいけない。

と、まあ、こんな状況なので、しばらくこれなかった。

どんなものか。

カウンターの奥に、若い女性一人。
ジョッキでビール。

カウンター、真ん中あたりに、掛ける。

私は、瓶ビールと餃子。

ここは、サッポロのラガーがあるので、それ。

餃子もすぐにきた。

ここのは小ぶり。

私は餃子といえば、どちらかといえば
大ぶりなものが好みで、アメ横ガード下の[昇竜]
http://www.dancyotei.com/2016/jul/syouryu.html

なのだが、小ぶりは小ぶりで、わるくない。

世間一般では小ぶりなものの方が、主流なのかも
しれない。

アップ。

焼き方がよい。
羽付きではないが、かなり、パリッとしている。

うまい。

ビールを呑み、餃子をつまんでいると、
一人の背広姿の男性が入ってきて、一つあけて、
奥のスツールに腰かけた。
ここのご主人と話を始めた。

やっぱり、お客はまだまだ、だねぇ~。
そうですね~。

ここのご主人と顔馴染みのよう。
声がでかい。整髪料プンプン。
年は私と同じくらいかもしれぬ。
話を聞いていると、界隈のそこそこ大きそうな
飲食店の主人、社長のよう。

頼んだのは、半チャンラーメン。

この人のラーメンができた、うまそうなにおい。

私はもう一品、頼もうと思っていた。

かに玉、あるいは肉野菜炒め、あたり、、?
と考えていたのだが、、

ラーメンにしよう。

ラーメン。

アップ。

いわゆる、中華そば。

期待通り、かなりうまい。

やっぱりスープがよい。
ここはすっきり、だが、確実なうまみ。

ご近所小島町の[幸楽]

の、いわゆる中華そばもうまい。

東武浅草駅北、ガード脇の[ぼたん]

合羽橋[十八番]

浅草というのは、町中華も多いし、
皆、中華そばが、決まってうまい。

実のところ私は“町中華”なる言葉が出てきて、
話題になるまで、いわゆるどこにでもある町の
中華料理店にはあまり焦点を合わせていなかったと
言ってよいだろう。
あまりにもあたり前であったからか。

ただ、やっぱり、今、東京では、個人経営の立ち喰いそば
“路麺”ではないが、個人でやっている町中華は、
確実に減っている。
いや、もはや実際には淘汰というのか、閉まるところは
閉まってしまった、といえる状態かもしれぬ

おそらく新規開店はないのだろう。
どこも古い。

東京の町中で古い店が生き残っているのは、
確実に馴染みのお客があって、
うまい、ということである。

そして、ラーメンは、オーソドックスなしょうゆ味の
中華そばだが、例外なく、うまい。

また、概ね、こんな店は、ちょっとクセのあるメニューがあって、
そんなものは、当たりはずれがある。
これも愉しい。
まあ、自分の好みに合うかどうかであるが。

そして、炒飯はもちろん、中華丼など、
定番のご飯ものも総じて、うまい。

中華のニューウェーブも、もちろんよいのだが、
町中華”にスポットが当たってよかった。
お蔭でこんなにうまいところが、浅草には残っていた
ということに気が付くことができた。

 


03-3841-2552
台東区浅草1-30-8