浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭の年越し2017

dancyotei2017-01-04

2017年平成29年丁酉(ひのととり)

あけましておめでとうございます。
旧年中はご愛読誠にありがとうございます。
本年も相もかわりませず、お付き合い賜りますれば

幸甚に存じます。
断腸亭



12月31日(土)〜1月1日(日)



2017年の断腸亭の年越し。

まあ、ほぼ例年と変わりのないもので、

あらためて書くほどのこともないような

気もするが、本来年越しなんというものは、

変わらぬものでもあろう。

書いてみたい。

晦日

11時近くに、元浅草の家を自転車で出る。

天気もよく、温かい。

晦日らしい気温ではなかろう。

晦日の私の仕事は、上野広小路

うさぎや]で正月のお菓子を買って、

予約をしてある、神田[まつや]で生そばを

買ってくること。

うさぎや]も[まつや]もともに

池波レシピといってよいだろう。

うさぎや

有名なところなので皆さんご存知であろう。

素朴だが、実にうまい。

上野広小路は春日通りの交差点から末広町方向へ向かうと

西に斜めに曲がっている。

松坂屋は南館が今タワーになるだかで改築中。

次の信号で広小路である中央通りは、斜めからまた

南北に真っ直ぐになる。

うさぎやはここにある。

斜めの広小路というのは後からのもので

元来は[うさぎや]の前を真っ直ぐ北上して

突き当たって東に曲がり、また松坂屋の前で

左に曲がる。このクランクが江戸からの道である。

むろん、この広小路は上野寛永寺の門前の

通りであるわけだが、ご存知の通り寛永寺

幕府にとって江戸で最も重要な寺の一つ。

このクランクはやはり城下町・江戸の証し

なのであろう。

どらやきと最中の各五個セットを買って

[まつや]に向かう。

南下し、昌平橋を渡って、左、神田須田町へ。

路地を入っていくと、かんだ[やぶそば]。

毎年の長い列。

[まつや]の生そばは例年、店舗ではなく、

別の場所で売っている。

あれま、今年はここまで列になっている。

自転車を停めて列に並ぶ。

10分も待たなかったか。

名前を言って、生そば三人前と、前からあったっけ、

天ぷらも購入。

[まつや]の店の方の行列。

これも吉例。

だがやはり、各所の人出を見ていると、

多少景気はよくなっている、のかもしれぬ。

帰宅。

出ている間に、おせちも届いていた。

これも毎年決まっている。

市谷のオフィスのそばの鮨や[鮨太鼓]のもの。

わざわざ家まで届けてくれる。

福ずし

と、いっているが、混ぜ込みすし。

蒸し鮑、海老、煮蛸、などがのっている。

今までの焼穴子に代わって、同じ甘辛だが浅蜊

なっている。

穴子が捕れない?あるいは、値上がりか。

一段目。

蒲鉾、出汁巻き玉子、干し柿、ごまめ、黒豆、いくら、

大根とにんじんのなます、栗きんとん、昆布巻き、

右下は、煮たやりいかだが子持ち。

二段目。

煮物はにんじん、蓮根、くわい、なんというのか細いたけのこ、

ふき、ごぼう、里芋。出汁の塩梅よく煮含められている。

数の子、ほたて貝、焼うに、からすみ。

鰤照焼き、はしかみしょうが、鴨肉。

毎年ほぼ同じだが、親しんだ味でよろしい。

午後、今[まつや]で買ってきた天ぷら、

食べてしまおう。

海老三本。

オーブントースターで温める。

海苔と大葉はちょっと焦げてしまった。

うさぎや]。

はんこが押され、



中。

あんこがうまいので、最中もいける。

紅白を視ながら、蕎麦。

鴨肉が少し凍っていたので、脂で出汁を取り、

肉を叩いて、つくねにしてみた。

鴨汁せいろ、か。

なかなかよくできた。



元朝

これも例年通り、火鉢に炭を熾し、餅網で焼く。

鶏がらだしで、しゅうゆは濃いめ。

里芋、小松菜、三つ葉





毎年、お馴染み、断腸亭の年越し。







本年が皆様に取りまして、佳き年となりますよう、

心より祈念申し上げます。