浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



柳橋二丁目・中国料理・馥香 その1

dancyotei2016-04-03

4月2日(土)夜

木曜日から、内儀(かみ)さんのお母さんが

北海道から上京している。

ほぼ毎年のようになっているが、

この花見の時期。たのしみにしてきている。

と、いうことで、土曜日夜、義母の希望で中華。

浅草橋というのか、柳橋二丁目、

蔵前通り(江戸通り)沿いの中国料理店、

[馥香(フーシャン)]。

ヌーベルシノワというのであろうか。

大皿で取り分けるのではなく、

銘々の皿に盛り付けて供し、また、盛り付けも美しい

料理を出す。

チューボーですよ!」にも浅草橋の巨匠として

度々登場する。有名店といってよろしかろう。

昼、TELをして18:30に予約を内儀さんがする。

どうやら今日は混んでいるよう。

10分ほど前に出て、3人でタクシーで向かう。

須賀橋交番の信号と柳橋二丁目の信号の間、

南へ向かって左側。

隣に食べ放題が売りの中国料理店がある。

二軒同業が並んでいるわけである。

いつからかよくわからぬが、おもしろい。

客層は違うのであろう。

ビルの一階。店の前に竹などの植え込み。

ガラス面が多く中国料理店らしからぬ

明るいイメージ。

ドアを開けて入る。

ウエイターのお兄さんに名前をいう。

席は厨房の前。

他は満席。なるほど。

座ってビール。

7,000円のコースにする。

アミューズ



ほたるいか紹興酒漬け。

うまいもんである。

生のほたるいかからむろん作るのであろう。

生はあまり流通していない。

たまに吉池などでも見かけることもあるが

確か、衛生上はらわたは取って食べるようにと

書いてあった。

紹興酒漬け、やってみたいが、危ないのか。

このテーブルは厨房との間がガラス張りでよく見える。

戦場のような厨房。

シェフの声などもよく聞こえて、なかなかおもしろい。

シェフに若い料理人が4〜5人であろうか。

時々、シェフの叱り飛ばす、大きな声。

料理人の世界はなかなかやっぱりキビシイ。

前菜がきた。



やはり、うつくしい。

上から時計回りに、

揚げた春巻きのようなもの。

湯葉といっていた。

中身は青菜と桜海老

春らしい。

茆(じゅんさい)のゼリー寄せ。

姿くらげの酢漬け。

蕪ときゅうり。

小さなくらげの形のままの酢漬け。

味は普通のくらげと変わりないが、ちょっとおもしろい。

グリーンのひし形のものは空豆のムース。

数の子キャビア

真ん中は豚トロの叉焼

豚トロは脂があるが、やっぱりそのまま脂がある。

脂のある叉焼というのは、なかなか

新しい。

スープ。



これがすごい。

フカヒレ

それから、すっぽんの肉。

他に牛筋?、さらにキノコの類であろうか、

コラーゲン質のものがいくつか入っている。

スープは別に取った清湯かもしれぬが、

薄味で腹に滋味が染み渡るよう。

海老と季節の野菜炒め。



やはり鮮やかである。



海老は甘海老といっていた。

グリーンのものは空豆

赤はパプリカ。

白く長いのは、おそらく黄にら。

それにエリンギ。

黒っぽいのは芋のような味。

むらさき芋か。

それぞれの素材への火の通り方が絶妙。

全体にほんのわずかにとろみで絡めている。

この技は味をしっかりつけるためだと思うが、

中華ではよくやられる。

少し前に焼きそばでやってみようとしたことがあるが、

真似できぬ。

熱が入りすぎると、すぐに固まって、

団子になってしまうのである。

おそらく、一瞬の技なのであろう。





つづく









台東区柳橋2-14-2

アリス・マナーガーデン浅草橋1F

TEL.03-5833-6555




馥香