浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



水餃子 その1

dancyotei2013-09-03


8月31日(土)



さて。



水餃子、で、あった。


うどんに使った生地の残りは冷蔵庫に入れておいた。


夕方から作り始める。


まずは、種(たね)。


この種は、点心の基本的なものだと思う。
水餃子(正確にはゆで餃子かもしれぬ)は茹でるが、
同じ形で蒸してもよいし、四角い皮で包めば焼売にもなる。


水餃子にしているのは、簡単だからというのもあるが、
もう20年ほど前であったであろうか、北京へ旅行に行った
際に、万里の長城のなんでもない食堂で食べた水餃子が
べら棒にうまかった。
これを帰ってきてから作ってみたところから
始まっている。


中華の点心にはご存知のように実に様々なものが
あるが、水餃子というのは、北京のような中国でも北部で
よく食べられているものである。
(上海だったら小籠包が有名であろう。
焼売は広東であろうか。そういえば、焼売は日本では
餃子の次に好まれているが、中国では日本ほど多くは見かけない
かもしれない。)


また、日本では餃子は焼くものであるが、
中国では、茹でたり蒸すのが普通で、
焼く場合は食べ残したものを、翌日食べる場合
のようである。


さて、種。


最初にねぎと生姜の搾り汁を作る。


ねぎはみじん切り。生姜はおろす。
これを両方合わせて小さなすり鉢に入れ、
水を入れておく。
エキス分を水の方に出しておくためである。


次に豚ばら肉(スライス)を細かく切る。


中華では例の大きな中華包丁を二本両手に持って
叩くが、今日は出刃包丁を出してみた。


普通の洋包丁で細かく切って、より細かく叩くのは
歯が厚くて重い出刃包丁の方がよいだろう。


ある程度細かく切れたら、ボールに移す。


ここからこねる。


これは点心の種には必須である。


豚肉はこねることによって、組織が壊れ、
アミノ酸が増え、点心独特の味=うまさ、に、
なる。


本当は、手でこねるのだが、ベトベトになるので、
大きなスプーンでこねる。


ある程度こねてくると、糸を引くような
粘りが出てくる。
これが全体に粘ってくればよいであろう。


15分ほどはかかったであろうか。


ここに、先ほどのねぎとしょうが。
すり鉢に入れたのは潰してよりエキス分を
出すため。


小さなすりこ木で潰す。


これを濾す。
布(白布、さらし)などがよいのであろうが、なかなか、そういうものは
ないので、金属製の目の細かい灰汁(あく)取りで濾す。


これを豚肉に合わせる。
目的は香りをつけるため。
この香り加わると、点心らしくなる。


種に水分を入れすぎるとゆるくなり固まらないので
ある程度の量まで。


この他に、全卵、紹興酒、しょうゆ、胡椒、
胡麻油、レモン汁。(味王も少し。)
脂を増やすとよりジューシーになるのでラードを
さらに加えてもよいのだが、今日は切れているので
なし。


さらに、調味料ではないが、冷凍庫にあった小海老を解凍し
軽く切ってこれも混ぜ入れる。
海老を入れると食感もよくなるし、より点心らしくもなる。

日本の餃子はにんにくを入れ、葉物の茹でた野菜を
たくさん入れるが中国北部の水餃子の基本レシピでは
このように基本は肉のみで野菜は入れない。


(むろん、そういうレシピもあるのであろうが、
少なくともメジャーではないと思われる。
なぜ野菜が多いものが日本では一般化したのであろうか。
歴史的経緯を考えると、おそらく戦後、満州からの帰国者が
餃子は持ち帰ったものだと思われる。
野菜をたくさん入れるのは、当時貧しく、
量を増やすためであったのかもしれない。)


ともあれ。


調味料を入れ、よく合わせてさらに練る。


これはラップをして冷蔵庫に入れて休ませておく。


ここから皮を作る。





まずは生地を細長く棒状にする。
直径は3cm程度。


これを一つ、1.5cmに切る。


切ったものにはよく打ち粉(片栗粉)をまぶす。





まず最初に切り口側を手のひらでつぶし、円形にする。


左手の親指と人差し指でつまみ、
点心用の麺棒を右手のひらで転がし、伸ばす。
一度転がしたら、左手で生地を回す。


これをリズムよく均等の円形に伸ばすのであるが、
なかなか難しい。





こんな感じだが、まあよい。



まず、8〜9枚。



種を包む。



餃子を包むのは皆さんご存知であろう。


ヘラ(バターナイフ)で取って真ん中にのせ、
皮の閉じ合わせ部分に水を塗り、閉じる。


適当にひだをつければOK。
ゆでるので隙間があってはだめ。
完全に閉じる。




途中だが、今日はここまで。


つづきはまた明日。