6月16日(土)第二食
さて。
引き続いて、土曜。
えんぺらは、焼きそばに使ったのだが、
いか下足。
いか下足はどうやって食べるか。
もともとは、田原町の赤札堂で、アラ、として
安く売られていたのを買った。
いか下足というのは、好物、と、いっても
よいかもしれない。
それも、なにか料理をする、のではなく、
そのまま茹でただけで、酒の肴、にぎり鮨。
ぶつぶつ切って、長ねぎと一緒に、かき揚げ、
というのも、うまい。
鮨でも天ぷらでもそうなのだが、
江戸前の基本は、すみいか。
従って、東京の子を持つ今の季節は別にして、
江戸前を売りにする、そこそこの鮨やで下足、
と、いえば、自動的にすみいかになる。
鮮度のよいものであれば、たまに、生で食わせる
こともあるが、普通は湯通ししたものを使う。
だがまあ、すみいかというのは、そうそう
一般のスーパーには売っていない。
最も安く普通に出回っているのは、するめいか。
今日のものも、するめいかのものであろう。
すみいかと、するめいか、身の味は随分と違うが
下足となると、そう大きな違いはないように思う。
と、いうことで、解凍した下足は、目玉やらついているので、
きれいに取って、湯通しし、冷水で洗う
下足といえども、堅くなるので、火は通しすぎない方が
よいだろう。
さて。
今日は、まずは、さっぱり、わさびじょうゆ。
鮨やでは、例の甘いたれを好みによって
かけたりもする。
わさびじょうゆで、しばらく食べて、
甘いたれ、も、出す。
穴子のにぎり鮨は、最近、半分に切って、片側は
甘いたれ、片側は塩で食べさせるのがあるが、
下足は塩ではなく、やはりわさびじょうゆ、である。
さて、これでビールを呑んで、次は菜飯。
先週、グリーンアスパラの混ぜ込み飯、というのを
作ったが、今度は、正調(?)の、菜飯。
ちょっと、時間がさかのぼる。
ベランダの植木鉢でほんのちょっと育てている
二十日大根。
小さな植木鉢で、日当たりもあまりよくないからか、
大根の部分がちゃんと育っていないのだが、芽が出てから
既に20日程度は経っており、これ以上は成長しないと
思われるものを今朝、抜いて、洗って、生のまま塩をふって食べた。
で、その葉っぱ。
二十日大根の葉っぱでもむろん、
立派な菜飯にはなろう。
二本分でたいしてないが、飯一杯分くらいには
十分になる。
これで作ろう。
洗って、細かく切る。
先日も書いたが、普通の大根の葉っぱであれば、
繊維が太いので、できるだけ細かく刻む必要がある。
二十日大根の葉は、根元の茎の部分でも直径1mmもないので
さほどのこともない。
葉っぱも、茎も刻んで、塩をもみ込み、
しばらくそのまま、置いておいた。
同時に米も研いで、浸水しておく。
葉っぱの方は、やはり一度熱を通した方が
よかろうと思い直し、レンジを1分ほどかけて、
水気を切って、置いておいた。
6時すぎ、例によってホーロー鍋、ガスレンジで飯を炊く。
拙亭のガスレンジには、火力違いの三つの五徳がある。
このうちの最も強いところの強火で一気に煮立てる。
噴いてきたら杓文字で底から返す。
これは均等に炊きあげるため。
返したら、今度は、最も小さな火力の五徳に移し、
その中でも最も弱火にし、水分を飛ばす。
あとは完全に水気がなくなるまで待つ。
ただし、完全になくなるのと、焦げるのは、
紙一重。
むろん多少焦げても飯の場合、お焦げはお焦げで
うまい。
鍋に付きっ切りでなくともよいが、
微かに焦げるにおいがしてきたら、火を止め、
蒸らす。
蒸らし時間は8分以上。
この飯の炊き方はもともと、京都吉兆のものであった。
懐石用の飯は、蒸らさずに、水分の多い、瑞々しい状態で
そのまま出す。
私はきちんと蒸らして、一膳分、ボールに取る。
作っておいた、二十日大根の葉を混ぜ込み、茶碗に盛る。
味は?
うん。さすがに二十日大根。
ちょっと、存在感がない。
まだ、あまっていたので、もっと、たくさん入れてもよかったか。
先日のグリーンアスパラは存在感がありすぎるほど
入れたのだが、あれがよかった。
菜飯の場合、一般のふりかけの感覚よりも、
多めに入れた方がよいのかもしれない。