浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



たらこ煮付け

dancyotei2010-02-24



2月21日(日)夜


昨日は、高校の頃のクラス会。


予想通り、二日酔い。


二日酔いの上に、数日前からの副鼻腔炎
というやつで、副鼻腔がズキズキと痛く、微熱もあるか。


第一食は、まずは酒を抜こうと、辛いスープ麺。
今日は、トムヤムクンにうどんを入れようと思い立つ。


冷凍庫にあった鶏皮とスライス干し椎茸を煮出し、出汁を取る。
ここに、トムヤムペースト、さらに鷹の爪を加え、仕上げにレモン汁。
これでトムヤムクンができる。
ここに茹でた乾麺のうどんを入れ、トムヤムクンうどん。
辛くてうまいものができた。
タイなどでは、米の麺ならばありそうだが、おそらく、
こういうメニューはないであろう。


汗はかいたが、体調はたいしてよくもならぬ。


鎮痛剤二種類、市販の鼻炎薬、抗生物質、胃薬も飲み、
もう一度、寝る。


1〜2時間ほど寝たら、だいぶよくはなった。


もともと、アレルギー性の鼻炎は子供の頃からあるのだが、
その上、耳鼻科医にいわせると、私の鼻は細く、副鼻腔炎
なりやすい形らしい。


痛みが取れれば、普通に起きられる。


風呂に入り、少し、さっぱりする。


次の火曜日に、以前は一度流れたが、職場の宴会で久しぶりに
落語をやることになっている。
ちょっと、さらおう。
(演るのは、毎度お馴染み、黄金の大黒。)


床屋と、買出しを兼ね、徒歩で出る。
落語の稽古、と、いうのは、基本はプロも歩きながらする。
歩くテンポが噺のテンポにちょうど合うというのと、
飽きないで稽古に集中できる、というのが利点、で、ある。


今日の床屋は、稲荷町の、QBではないのだが、
1000円の床屋。


稲荷町まででは、一席終わらないが、一先ず、
髪を切る。


床屋を出て、アメ横まで。


つづきを稽古。
簡単な枕も含めて、一応のところ、一回さらえた。
先週は、家で、声を出し、内儀(かみ)さんを相手に
やったが、まあまあ、という意見ももらえた。
長さは10分程度にしてあるので、この噺はもう大丈夫。
そこそこ自信をつけてよかろうか。


腹が減ったので、七志、によって、ラーメンを食う。


七志から、アメ横の魚や。


そういえば、先週、ここであん肝を買って、いつもの通り、
作ったのだが、えぐ味、の、ようなものが出てしまった。
安いものなので、中国産だろうが、いつもではないのだが、
こういうことが、ある。


今日は、なにがあるかな?
この前、鯖がうまかったが、今日もある。
また同じ物、というのも芸がなかろう。
するめいかが、新鮮そう。
ほたるいかももう出ている。
が、なんとなく、いかの気分ではない、な。


吉池にまわる。


腹が一杯だと、あまり食指が動かないのか。


白子。
これもうまそうだが、当たり外れがある。
(私の場合、多少でも生ぐさいとダメ、なのである。)


生のたらこ。
たらこといっても、いわゆる真鱈の子ではなく、
塩漬けのたらこにする、スケトウダラの子。
スケ子。


煮ようか。


それから、子持ち、と、書いてある、茹でてむいた、
蝦蛄に目がいった。
(なんだか今日は、妙なものにばかり目が止まる。)


うまそう、で、ある。


この二つを買って、吉池を出る。


と、店の前で、じゃこ天だよ〜、といって、
売っている人がある。


山口、萩、と書いて、じゃこ天、ごぼう天、
竹輪などを売っている。
うまそうだ。
じゃこ天、ごぼう天、竹輪二種を買う。


帰り道ももう一回、稽古。


さて、たらこ。





夜、煮始める。


玉子の煮付けは、霜降りをするのかどうか、疑問に思い、
少し、レシピを調べてみた。


たらこを甘辛く煮る、というのは、一般的である。
霜降りはしないようである。


レシピも随分あるのだが、中で、キッコーマンのもの。
これがよさそうだ。


以前に、東京風のおでんを調べていたら、
キッコーマンのページに、(元の)銀座のお多幸の
レシピを紹介していたのを読んだことがあった。


お多幸の場合、水にしょうゆと酒のみ。
これであの味になる。
しかし、あの色にするには、
しょうゆの量は半端なものではない。
(煮込みすぎるととても食べられなくなるほどの濃さで、ある。
このため、お多幸では、営業を終えると、つゆから上げておく
ようである。)


さすが、濃口しょうゆ文化の東京の味覚を支えてきた
キッコーマン、で、ある。


たらこの煮付けのレシピは、
しょうゆ1/2カップ、酒、みりん、ともに1/3カップ


水も、砂糖も入れていない。
そして、さらに、煮詰める。


ははー。
そうとうに、濃そう、で、ある。
これが、正調東京風煮付けの味。


たらこは、洗って、切り離し、味が染みやすいように、
縦に切れ目を入れておく。


鍋に、レシピ通りしょうゆ、酒、みりんを入れ煮立てる。


水なしで、酒とみりんたっぷりなので、においが強い。


たらこを入れると、熱で、パッと、広がる。
しかし、不思議なもので、つゆに玉子がほぐれ出てしまう、
と、いうことはない。




味見。


やはり、そうとうに、濃い。
が、ちょっと、甘味が足らないのでは、、、?
少し、砂糖を加える。


ここから、鍋を傾け、つゆをかけながら、煮詰める。


多少煮詰まったら、終了。
置いておく。


蝦蛄は切って、盛り付け。


じゃこ天とごぼう天は、オーブントースターで
軽く温め、切り、皿にのせる。


たらこ。





なかなか、いや、そうとう、濃く仕上がった。
(砂糖は、やはり、入れなくともよかったか。)
内儀さんは、うまい、うまい、といっていたが、
まさに、東京の味、で、あろう。


蝦蛄。





これは、わさびじょうゆ。
子持ちと書いてあったが、ほんの小さなもの、で、あった。


じゃこ天と、ごぼう天。





しょうがじょうゆ。


どちらも、うまい。
(こういうもの、で、あろうが、
西日本のものは、私の味覚では、甘いように感じる。)


たらこ煮付け、と、題したが、なんとなく、ばらばらした内容。
断腸亭の、ある日曜日、で、ある。