浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



dancyotei2009-12-01

11月28日(土)夜


さて、引続き、土曜。


牡蠣のソテーを散々食って、呑んで、うたた寝


起きたら、外出をしていた、内儀(かみ)さんが帰ってきていた。


牡蠣とともに、アメ横で買ってきた、
鱒、一本、で、ある。





大きさとすれば、40〜50cm程度。
ただマス、と、書いてあったが、これ、なにマスで、あろうか。


よくよく考えたら、マスにも色々いる。


以前に、サクラマスの干物を食べが、これは、高価なものなので、
まさかこれではなかろう。


いや、それこそ、種類とすれば、鮭だって、
仲間、で、ある。


魚やで、一般に、マス、といってるのは、
なんであろうか。
マスといえば、なんとなく、子供の頃、鮭よりも安いもの、
というような位置付けだったもの。
(これはカラフトマスかな?)


色々調べると、海に降りず、北海道の阿寒湖などにいる
淡水のヒメマス。
見た目には、これが近そう、なのだが、
釣りをする人には、かなり希少なもののようなので、
違うのかもしれぬ。


さらに、おもしろいのは、このヒメマスというのは、
カラフトマスという類の海に降りないもの、らしい。
そして、この海に降りるカラフトマスは千島列島や
カムチャツカに遡上するもので、日本では北方領土択捉島
以外にはいないという。(ようは、いない、ということか。)
つまり、海に降りるものは、日本にはいないが
降りないヒメマスだけが、種としては残っている、
ということである。


まあ、結局のところ、なんだかわからない。


サクラマスの時にもいろいろと悩んだが、
シャケ、マスの類は、種は皆そうとうに近いのだが、
住んでいるところ、海に降りるのかどうか、などで
名前も違えば、大きさ、色なども随分違う。むろん、
味も随分違う。
サクラマスの例でも、ヤマメ、アマゴ、サツキマス
と、DNAレベルにまで遡らなければ、違わないくらい
近く、同じ種と呼んでいいものなのに、名前も違えば、
生態から、見た目も違う。
他の魚なら、淡水魚でも、海水魚でも、種が同じなら
同じ、魚、で、あろう。
シャケ、マス、と、いうのは、不思議な魚である。



ともあれ。


おろしてみる。
頭を落とし、二枚に。





色はきれいな、サーモンピンクであるが、
身が柔らかい。
いや、水っぽい、という表現が合っているかもしれぬ。
しかし、腹の方は、脂はありそうである。


半身は塩焼きにしよう。


もう半身。
刺身で食うのは、やはり、不安。


なんであろうか。
シャケ、マスのことは、北海道出身の内儀さんに、
と思い、相談すると、、、まあ、そうそう詳しいわけではないが、
マリネにでもしたら?という。


ふむ。


なるほど。


じゃあ、酢〆にしてみようか。
ちょっと、富山のますのすし、を、思い出した、
のである。(しかし、あれは、サクラマス、で、あるとも
聞いたような気がするが。)


半身、皮付きのまま、身の方から、斜めに薄く、
刺身包丁で、皮に向かって皮直前までそぎ切る。


軽く塩をし、並べておく。





水っぽいのは、塩をすれば抜けるであろう。


半身は骨付きのまま、半分に切って、
そのまま塩焼き。




内儀さんと、食う。


脂はないわけではないのだが、どうも
今一つ。
内儀さんも、ヘン、な顔をしている。
北海道人の内儀さんも、子供の頃、
なんとなく、塩鮭の代用品としての、塩鱒、
というのを、思い出すようである。


塩焼きではなく、先ほど(昨日配信)の牡蠣ではないが、
バターでムニエルにでもすればよかったか。


さて。


塩をした薄切り。


30分ほど置いてみた。
水分はだいぶ抜けた。


水洗い。
水気をペーパータオルで一度取り、
小肌の酢〆のように、酢洗いをしてみる。
さらに、もう一度、水気を拭き取り、
ちょっと、砂糖も入れた、漬け込み用の
酢をパッドに作り、薄切りを入れる。
砂糖を入れたのは、ますのすし、が、少し
甘めであったのを思い出して、のことである。


漬け込む時間は、1時間弱。
ほとんど、白くなった。


上げて、飯を炊いたので、のせて、海苔を散らし、
食べてみる。





しょうゆもかけ回す。


味は、、う〜ん、、、。


もう少し、砂糖を入れてもよかったか。
ほとんど酢の味で、甘さは感じられない。
富山のますのすし、は随分と甘かった。


食べられない味ではなく、それなり、なのだが
もう一つ、か。



結局、なんであったのだろうか、、鱒(マス)。


やっぱり、扱い慣れない、食べ慣れないものは、
むずかしい、と、いうことか。