浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



dancyotei2009-11-18

11月15日(日)夜


第一食は、冷蔵庫に冷飯があったので、
チキンライス。


月曜から出張なのだが、忘れ物に気が付き、
オフィスへ行かなければならなくなった。


第二食はそのついでに、御徒町に最近でき、
噂になっているという、手打の蕎麦やをのぞいてみる。
(「沙羅の花」というところ。
この店については、もう少しいってみて書かせていただくか
考えたいと思っている。)


ついでに、アメ横の魚やものぞく。


お!鰤(ブリ)、メジマグロ、も、ある。
これはこれは。


が、オフィスへいくのに、今買ってもしょうがない。
帰りにもう一度寄ろう。


大江戸線に乗って、牛込神楽坂までいく。


無人の日曜日のオフィス。
忘れ物を取るだけなので、すぐに出て、
再び引き返す。


もう一度、アメ横の魚やの前。
今度は落ち着いて、ゆっくりと見ると、
他に、すみいか、あおりいか、なんというのも
ある。今日は充実、ではないか。


しかし、まあ、鰤にはかなうまい。
ここで、鰤なんというのを見るのは、
滅多にないかもしれない。
一本800円。
長さは50cm程度、は、あろうか。


このくらいの大きさでは、本当は
ブリ、ではなく、ハマチ、なのだろう。
しかし、今、一般に、ハマチは養殖ものに
使われる呼び方で、これは養殖じゃないよ、という
意味合いで、あえて、ブリ、と
いっているのであろう。


迷わず、買い。


いつもの、坊主頭のおいちゃん。
声をかけて、購入。
最近は、このおいちゃんも、私の顔を
覚えてくれているよう。
よさそうなのを選んでくれて、袋に入れてくれる。


浮き浮きと、袋を下げて、帰宅。


調理は、夜。


まずは、こんな感じ。





重さはどのくらいあるのか、
調理用のハカリに載せてみたら、
許容重量を超えていたようで量れなかった。
(1kgまでであった。)


しかしまあ、立派なもの、で、ある。
そういえば、今年は、9月に小さな、ワカシ、を
食べていた。
あれは、まったく脂がなかったが、この大きさである、
少しは期待が持てるかもしれない。
ワカシやイナダが出回っていて、その上の
このくらいの大きさのものも、東京でも安く出回っているというのは、
どういうことなのだろうか。
通常、大きくなると、関東近海では獲れない、のだろうが、
今年は、揚がっているのか。
ことによると、そうかもしれない。


ともあれ。


さばく。


頭を落とし、腹を割き、きれいに腹を洗い、
おろす。


半身は骨付きのまま、ひとまずは置いておき、
骨のない半身を刺身にする。


まずは、真ん中に包丁を入れ、背側と
腹側に分け、半分に。


次に、皮を引く。
ここからは、刺身包丁に持ち替える。


尻尾側から、刃を入れ、皮と身の間を包丁を
前後させながら引いていく。
鰤は皮がしっかりしているせいか、なんなく
きれいにできた。





あとは、刺身に切る。


刺身包丁を買ったのはいつだったのか、
まだ一年も経っていないかもしれない。
(それまでは、出刃で、これらの作業もしていたのである。)


皮を引くのもそうだが、刺身に切るのは、
やはり、あたりまえだが、圧倒的に刺身包丁、柳葉の方が
きれいに切れる。


きれいに切れる、というのは、その後、
きれいに並べる、というのとも実はつながっているのも
わかってきた。


角度を揃えて切り、一切れを切り終わると、
左手でつまんで、左方向に重ねながら並べていく。
全部切り終わると、刺身包丁の長い刃を並べた刺身の
下に差込み、そのままの状態で、皿に盛り付ける。


商売人が、やっている一連の動作、で、ある。


最近やっと、これができるようになってきた。
見た目も味の内、ではあろう。





どうであろうか。
なかなか、きれいではないか。


さて。


味は?


ふーむ。


脂ののりは、やっぱり、富山などで揚がる、
いわゆる寒鰤、などには、及ぶべくもない。


だが、それでも腹側の身は、ワカシよりは、
むろんのこと、脂はあり、うまい。


さて。


残り。


頭は、半分に割っておく。
これと骨の付いた、もう半身は、さすがに食べきれないので、
また、煮てもいいかと、冷凍庫に。


そして、さらに、残っている半身の半分の、一サク。


一計を案じた。
なにかというと、酢〆。


実はこれ、例の新橋の鮨や、しみづの、鰤、からである。
あそこの鰤は、なにかしてある。
最初に聞いたのだが、むろんのこと、教えてくれなかった。
ヅケか酢〆か、、、。


で、酢〆をやってみようか、である。


実際にやってみる前に、鰤の酢〆、という料理法が、
あるのかどうか、あまり聞いたことはないのだが、調べてみた。
すると、鰤の膾(なます)、というような名前で、
例は少ないが、あることはある、というのが、わかってきた。


これは心強い、というので、始めてみた。


〆るといっても、軽く、であろう。
しみづ、でも、ほとんどわかるかわからない、程度。


軽く、塩をして、30分か。


後は洗って、酢に漬ける。
(実は、この作業は、私は酔っ払いのため、指示だけで、
内儀(かみ)さんにさせている。)


酢に漬ける時間は、1時間程度。
その後は、上げて、冷蔵庫。


食べたのは、月曜は出張のため、火曜日の夜。





表面がうっすらと白くなっている。
これ、しみづ、で、でてきたものに、近いかも知れぬ。
なにか、期待が持てる。


食べてみると?


いやいや、これは、よいかもしれぬ。
鰤らしい、生のナマグササ(という表現も変だが)が
なくなり、食べやすくなっている。
脂のある腹側の身、で、あったのもよりよかった。


発見、で、ある。


ワカシ、イナダ、でもよいかもしれぬ。


メッケモノ、メッケモノ、、。