浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



鯒(こち)

dancyotei2009-10-18



10月17日(土)第二食


第一食は、冷飯があったので、チキンライスを作る。


12時半頃、買い物に出る。


毎年買っている、都電のカレンダーを求めに、
大江戸線上野御徒町駅まで、で、ある。


いつでも買えると、たかをくくっていると
売り切れてしまうので、思い出した時に
買いにいくことにしている。


だいぶ涼しくなったが、運動のため、汗をかくほど
早足で歩く。


カレンダーを買って、魚を見に、吉池へ。


と、今日は、ちょっと変わったものを見つけた。


コチ。


漢字で書くと、鯒。


30cmほど。
生き〆、と、書いてある。
一匹、300円程度。


安い、のか?。
よくわからぬが、買ってみようか。


コチといえば、私などは、天ぷらにするメゴチが思い浮かぶ。
メゴチは、大きくとも10cm程度の身の細い魚である。


通常ただコチと、いうと、マゴチのことのよう。


少し調べると、マゴチ、メゴチと同じようにいうが、
種類はまったく違う魚のようである。
マゴチは、カサゴの仲間、メゴチはほんとうは、
ネズッポ、と、いう名前で、ネズッポ科、ということである。
それでも、マゴチは、鮨や、で、食べた覚えがある。


それから小肌の酢〆。
自家製、と、書いてある。
買ってみようか。


帰宅。





こんな感じである。


あえて、上から見ているのではなく、
このようにしか置けないのである。
どういうことかというと、平目や鰈とはまた違うのだが、
平べったい魚、なのである。


腹側が真っ平らで、これはその腹を下にして
置いたところ。
輪切りにすると、ちょうど正三角形になる。
お分かりになろうか。そんな形をしている。


生き〆にしてあるので、頭の下、顎に下から包丁が入っている。


売り場には、刺身、塩焼、と書いてあったので、
刺身にしてみようか。


どうやってさばくのであろうか。
わからぬが、一先ず、頭を落としてみる。


平らな腹を、割いてみる。
はらわたを出し、洗う。


普通に三枚におろすのと同じ要領でやってみる。
意外や、やってみると、特段、むずかしいこともなく、おろせた。





白身のきれいな魚、で、ある。


どうやって、刺身に切ろうか。
白身なので、薄く切るのがよいのであろう。


皮を先に引く、というのもあるが、
これは、リスクが高い。
初めてなので、うまく引けるかどうか、不安。


そこで、尻尾側から、皮に向かって、斜めに刺身包丁で
薄く切り、皮から削(そ)ぎ切る。
ふむふむ、これならば、よいぞ。


半身、切れた。


毎度、参考にさせていただいている
「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」さんのページによると、頭は塩焼にすると、
そうとうにうまい、らしい。


中骨、皮、頭を塩焼にしてみる。




塩焼。



まずは、刺身。


旬は、初夏、の、ようであるが、
脂、というのは少ないのだが、十分にうまみが濃く、
うまい。


塩焼の頭。


食べるところはほんのわずか、なのであるが、
まずは、ぷりぷりの食感。そして、香りがいい。
そして、刺身以上に、濃厚なうまみ。


なるほど、これは、うまいぞ。


鯒。


刺身でも塩焼でも、
なかなか、うまい魚、で、ある。