浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



村上シェフのハンバーグステーキ

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2月24日(月)天皇誕生日 第二食

さて、ハンバーグ、で、ある。

ハンバーグなど、さほど珍しくはないし、
自分で作ることは、あまりない。

だが、今日のは村上シェフのハンバーグステーキ。

村上シェフとは、もう故人であるが、帝国ホテルの
総料理長であった村上信夫氏。

日本の家庭にハンバーグのレシピをNHK「今日の料理」で広めた人、
でよいのか。ハンバーグの起源はドイツのハンブルグなのであろう。
ドイツではFrikadelleという家庭料理だそうな。
また村上シェフは「東京オリンピックでは選手村の料理長
として尽力」したことでも記憶されている。

帝国ホテルでは今もこのハンバーグステーキが食べられる。
この村上シェフの元祖ハンバーグステーキのレシピがないかと
探してみたのである。

と、なんと、簡単に見つかった。
「今日の料理」のサイトにあったのである。

よし、これ作ってみよう。

付け合わせもせっかくなので、いつも作っている
にんじんのグラッセとマッシュポテト。
村上シェフの料理写真にマッシュポテトが写っていたので、
これも「今日の料理」で探してみた。

栗原はるみさんのもの

これがよかろう。
料理研究家でもこの方は、別格であろう。
私は信用している。仕事ぶりをなにかのTVで視たことがあるが、
レシピを見て素人が作っても絶対に失敗しないように
考えられるあらゆる場合を想定してレシピを作っている。
プロ中のプロであろう。

ハンバーグのレシピは半量。まずは、玉ねぎみじん切りを炒める。

「ほんの少しあめ色」になるまで。

グラッセ

これはいつも通り。切って、バター、お湯にブイオン1個。
砂糖は入れなくなった。これでラップをしてレンジ10分でできる。

ジャガイモは一個、ラップで包み10分。

皮をむいて、あたり鉢。

潰して、牛乳少量、生クリーム。

塩胡椒。

味見。生クリームを入れるのは、初めて。
それらしくなった。
裏漉し器をかければ、完全になめらかになるのであろうが、
今日はいいか。

冷蔵庫から牛ひき肉を300g取り出し、炒めた玉ねぎ、生パン粉。

全卵を溶きほぐし、合わせる。

ひき肉は1パック400gあって最初ここから300g取ったのだが、
余らせてもしょうがない。残りも一緒に入れて、練る。
ナツメグも。

粘り気が出てきたら、二つ分に分ける。

成形。

両面に小麦粉。

ここ、ポイントであろう、あまり見たことがない。

フライパンに多めに油を敷いて「手前から滑らせるように」投入。

焼き色を見て、ひっくり返す。

なんだかいい感じ。小麦粉の効果であろうか。

脂が大量に出ているので、ペーパータオルで吸い取る。
このままソース作り。
ブランデーを投入し、フランベ。

アルコールを飛ばし、ブイオン、水、ケチャップ。
混ぜながら、煮詰める。

かなりいい感じ、なのではなかろうか。

とても、それらしく焼けた。
さすが「今日の料理」村上シェフレシピ。

皿へ。
作っておいた、グラッセ、マッシュポテトも。

出来上がり。

切ってみる。

肉汁ジュワー、ではないが、こんな感じ。

ビールを開けて、食べる。

よくできている。
厚いハンバーグを、ソース作りを兼ねて、煮込む格好で
中まで火を通す、という配慮であろう。

味は、いたってノーマル。
ただ、牛100%なので、やはり、うまい。

肉汁ジュワー、は、やったことがある。生地にヘッドなど
脂を多く入れれば出てくる。
これはこれで、よい。

家庭のハンバーグとしては、120点。
むろん、これは帝国ホテルで出されるハンバーグステーキ
ではなく手近にあるものだけでできる、家庭用のレシピ。
だがやはり、流石、で、ある。

 

 

らーめん天神下大喜・二長町

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2月24日(月)天皇誕生日 第一食

昼。

昼飯兼ねて、自転車で出る。

方向は、拙亭から南方向。

南方向だと、浅草橋になるのだが、そこまで行かない。
鳥越、おかず横丁清洲橋通りと蔵前橋通りの交差点。

休日だし、その角の[吉野家]にでも、と思ってきた。

きてみると、なんだかとっ散らかっているよう。
狭い店で従業員は3人、空席もあるが、
段取りがわるいのか、、。

一度入るが、なんとなく見ていられなくなり、
出てしまう。

どうしようか。
吉野家]の頭になっていたので、他の店へ行こうか。
界隈の[吉野家]はだいたい頭に入っている、が、、、、。

あ。

[大喜]があるじゃないか!。

もちろん、ラーメンの[大喜]

ここからちょっと秋葉原へ行った、蔵前橋通りの
向こう側。
休日だがやっているか?。

お!。
暖簾が出ている。

のぞいてみると、カウンターに二人だけ。
やってはいる。
祭日は休みだと思っている人が多いのかもしれぬ。

入ろう。

入って、券売機前。
なんにしよう。

ノーマルの定番ものは、おもしろくない。

が、限定系のものは、軒並みなし、のよう。

つけ麺でもないし、、、、

納豆!。

以前に、まだ、湯島天神下にあった頃、一度食べた

ラーメンに納豆?、
と、思われるかもしれぬ。
もう4年も前だが、覚えている。
この店のこと、もちろん、うまかった。

これにしよう。
せっかくなので、煮玉子にわんたんも入った
「特製納豆」にしよう。
1100円也。

カウンターに掛けて食券を出す。

すると、眼鏡で細身、ごま塩短髪、にこやかなご主人から、
麺の種類を聞かれた。

細麺なのか、太麺なのか、と。

おすすめは?と、聞くと、太麺ですね。

では、それで!。

今まで、天神下の頃から長くきているが、
いつも忙しくしているからか、ご主人と言葉を交わしたのは
初めてかもしれぬ。

やや待って、きた。

いつもながら、盛り付けがきれいである。
こんもりと白髪ねぎと、細切りの海苔。
鶏ひき肉も見える。

麺は

平打ちの縮れ麺だからか、いうほどは太いとは感じない。

食べると、スープは最初、魚介系の印象。

だが、食べるとすぐに変わっていく。

表面に浮いているのは、おそらく、納豆に
玉子を入れて、かき混ぜて、泡立てたもの。

これがスープに混ざり、渾然一体とした味になる。
もちろん、それを想定したスープになっている
のであろう。

私が家で納豆を食べる場合、必ず白身も込みの全卵を入れて
よくかき混ぜて飯に掛ける。
つまり、慣れ親しんだ味。これが、うまい。

ここの、ご主人、和食の出身というが、
この納豆らーめんも、ラーメンの顔をしているが
和食、なのである。

そして、納豆とラーメンをきれいに、うまい一杯の料理として
まとめる、味のセンス。

書いているが、こういう方はなかなかいない。
新しい味を設計できるセンスといってよい。

私が他に思い出すのは、このところちょっとご無沙汰だが
新作ラーメンを毎月出している市谷左内坂の[庄の]。
もちろん、他の料理でもこういう料理人はいるのであろう。
技術は研鑽を積めば上達するものだと思うが、
センスは持って生まれたもので、真似したくても
真似のできないものだと思っている。

うまい、うまい。

スープもみんな飲み干す。

こういうラーメン・料理を食べると、なんだか、
愉しく、うれしくなる。

これが[大喜]、で、ある。

ご馳走様でした。

 


台東区台東2-4-4
TEL 03-3834-0348

 

 

西浅草・焼肉・本とさや

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2月22日(土)第二食

さて、土曜。

焼肉、で、ある。

世の中には、焼き肉マニアというのか、フリークという
人々がいるが、私はそこまででこだわることはない。
だが、たまにやはり食べたくなる。

私の住む上野、浅草界隈には、かなりの数の焼き肉やがある。
選び放題、なのであろう。

ただ、そんな感じなので、決まったところにしか
いかない。

今日は、西浅草の[本とさや]へ行ってみようか考えた。

なん度もいっているが、まあ、有名店といってよいだろう。

午後、TELを入れてみると、予約の枠は一杯で、
直接来てください、とのこと。

5時を目指して出掛ける。

場所は、ビューホテルから道1~2本南、裏通り沿い。
初めてくると少しわかりずらいかもしれない。

到着すると、1階へそのまま。

板の間の座敷。

先客は一組で、やはり今入ったばかりといった趣。

ここは、

七輪。
炭(おが炭か)をカンカンに熾して持ってくる。

瓶ビールをもらって、バラバラっと、丹生から、キムチなど
一通り頼む。

上タン塩から。

なかなかの厚切り。

ナムル。

サンチュ。

カルビ。

ちょっと珍しい切り方ではなかろうか。

オイキムチ

スタミナ焼き。

こてっちゃん、ホルモン、レバ、こぶくろなど盛り合わせ。

焼く。

上タン塩は厚切りなので、ちょっとよく焼いてしまったが
よかったろうか。

食べ応えがある。

カルビはなかなかよいものではなかろうか。
脂もよい。

薄切りだが、細長く切ってあるので
食べ応えもある。

スタミナ焼きの、細い管のようなもの。
これ、なんであろうか。
私は、初めてかもしれない。
コリコリとした食感がおもしろい。

お仕舞に、カルビクッパを追加。

スープもうまいのだが、
カルビが厚めに切ったもので、よい。

そう。
ここ、食べ応え、というのが一つのキーワード
かもしれない。

腹一杯だったはずだが、
このカルビクッパは食べられてしまう。

いけない、いけない。
食べすぎてしまう。

もう一つ。
ここは、肉もよいのだが、タレもよい。
後味、というのであろうか。
食べ終わっても、後を引く味わいが残る。

うまかった、うまかった。

腹一杯で苦しい。

勘定は二人で、酒も入れて、1万円也。

まあ、安くもないが、こんなものであろう。

ご馳走様でした。

 

 

本とさや

03-3845-0138
台東区西浅草3-1-9

 

 

笹乃雪

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2月20日(木)第二食

さて、豆腐、で、ある。

豆腐といえば、台東区では根岸の[笹乃雪]

といってよいのだろう。

元禄5年(1692年)創業。
上野の宮様とともに京都から江戸へ下ってこの地に店を
構えた。東京でも屈指の老舗、豆腐料理店。
食い物やでこの歴史は東京では数少ない。

根岸の里に34歳の若き最期まで居を構えていた正岡子規
多く詠んでいる。

春惜しむ宿や日本の豆腐汁

水無月や根岸涼しき笹乃雪

蕣(あさがお)に朝商ひす笹の雪

蕣の入谷豆腐の根岸哉

最近、私も視ているが、TV番組の影響で俳句は
一般にも人気になっているのであろうか。
調べてみると、豆腐だけでは季語にはならないよう。

春、水無月、蕣がそれぞれ季語か。やはり基本は春と夏。

だが、豆腐は冬も食べる。冬だと湯豆腐。
ちなみに、湯豆腐も季語になるよう。

私は、湯豆腐というのはあまりやらない。

するならば、あんかけ豆腐であろう。

出る前に、昆布でだしの用意。

今日は、利尻のものを使ってみる。
先日同様、軽く加熱し止めておく。

[笹乃雪]は料理やだが、豆腐を買うこともできる。

今日は、自転車で上野の山から、鶯谷・根岸にまわる。
上野公園の正面、黒門口の両脇に植わる早咲きの桜が
二株、もう咲いている。

[笹乃雪]で豆腐一丁と飛龍頭も一つ購入し、帰宅。

昆布だし。

利尻だと、色が出る。

昆布をあげて、鰹削り節を入れ、先日同様、一番だしに。

[笹乃雪]の絹ごし豆腐一丁。

値段は高いが、一般の豆腐の二、三丁分はある。

飛龍頭。

まあ、がんもどき、なのではあるが、飛龍頭という。
そのまま、ヒリュウズ、あるいはヒロウズ、ヒロウス、
などともいう。どちらかというと上方の言葉か。

まずは、あんかけの餡から。

味付けは、この前の大根よりは濃いめ。
酒、薄口しょうゆ、濃口も入れる。

水溶き片栗粉を加え、餡に。

飛龍頭の方は、濃口はなしで薄めにし、
煮含める。

豆腐は、レンジで温める。

器に湯を張り、1分程度加熱。

本当は湯に入れて温めるのであろうが、レンジでも
加熱しすぎなければ問題ない。

出来上がった餡をかける。

[笹乃雪]の豆腐であんかけ豆腐。

ここの豆腐、なにがよいのかというと、やはり濃さ
で、あろう。

豆腐のよさは、水、などというが、私にはよくわからない。
しかし、濃い、というのはわかりやすいだろう。

正直のところ、私は子供の頃から、この豆腐を食べるまで
豆腐自体、うまいものであると思わなかった。
スーパーなどに売られている豆腐を食べてきたのだと
思うのだが、今はスーパーのものでもうまいものも
あると思うが、やはり、ここのものは違っていた。

餡。
多少濃いめを意識したのだが、それでも薄かった。
濃口しょうゆを足してしまった。
やはり、私の口には上品な薄味は、合わない、か。

飛龍頭。

この飛龍頭も、スーパーのがんもどきとは別物。
銀杏なども入っている。
ぎっしり、ずっしり、密度がまるで違う。

このつゆは薄味で成功。

さて、もう一つおまけ。

仕上げに茶碗蒸し。

一番出しがあったので、作ってみた。

玉子1に対して、出し3。
これがプロのレシピだそうな。

そして、味は塩のみ。

具は冷蔵庫にあったモロッコいんげんと、
シマアジの身あらをちょっとだけ切って入れた。

ラップをしてレンジ200Wで7分。

即席で作ったが、まあまあ、であった。

一番出しのお蔭であろう。

 


笹乃雪

 

 

ふろふき大根

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2月18日(火)第二食

火曜日。
なにを食べよう。

ふろふき大根を作ろうか。

今シーズン、食べていなかった。
久しぶりに作ろうか。

そう難しいものではないが、レシピはこれ

昼、夜を目指して、まずは、昆布のだしを取る。
大根を煮ふくめるつゆになるもの。

昆布だしは水に漬けて一晩などというが、そこまで時間はない。
使う昆布は真昆布にしてみる。

鍋に水を張り、真昆布を三枚ほど入れ、軽く温める。
真水よりは早く昆布がふやけるだろう。

すぐにふやける。

このまま置いておく。

出たついでに、買い物。

大根は半分。90円。
鶏ひき肉。

味噌は、最近使っていた江戸甘味噌が切れた。
本当は、これがよいのだが、次善は八丁味噌西京味噌
合わせ。

江戸甘も、西京味噌もどちらも米麹が多く、
冷蔵庫に入れておいてもすぐに使えなくなる。
今、西京味噌は冷蔵庫にあるので、これから使おう。
八丁味噌もある。

それから鰹削り節が少なくなっていたので一袋。

帰宅。

大根は三つほど輪切りにし、皮をむく。
面取りはめんどうなので、しない。
家庭では、必要なかろう。

下茹では、圧力鍋。
水をヒタヒタに入れる。

米の研ぎ汁だったり、米粒を入れて茹でるのが、
昔からの和食の作法であるが、なにかおまじないの域を
出ていないように思うのだが、どうであろうか。
今日はやめてみる。

ふたをして、点火、強火で加熱、加圧。
圧が上がったら、弱火で10分。

10分で消火。放置調理30分。

昆布だし。
真昆布は水に漬けて置いても、他の昆布と違って
色が出てくることはないので、なんとなく頼りない。
点火し、沸騰前に取り出す。
もったいないので、今日は昆布は切って佃煮にしよう。
小鍋にしょうゆ、砂糖、酒、ちょっと酢も入れて煮ておく。

昆布だしには、鰹削り節をたっぷり。

煮立てて、弱火にし、3分ほど。

火を止め、置いておく。

10分ほど置いて、濾す。
この鰹の出し殻も、佃煮にしよう。

出しには薄口しょうゆ、酒で味を調整。

どうも私の好みなので、薄口しょうゆでもちょっと濃いめ。

昆布の佃煮。煮詰まってきたので、これで出来上がり。

煮汁に先ほどの鰹の出し殻を入れ少し水でゆるめ、煮ていく。

大根が茹った。

大根を出しに入れる。

軽く煮立て、火を止め、置いておく。
置いておくことで、味が染みる。
最低でも1時間程度は置いておきたい。

食べる少し前に肉味噌にかかる。

鍋に鶏ひき肉。

酒、水を少量入れ、しゃ文字で混ぜながら火を通す。
完全に火を通した方がよいだろう。

ここに八丁味噌西京味噌を半々。

よく馴染ませる。
特に八丁味噌が馴染みにくい。

馴染んだら、水分がなくなるまで煮詰めながら、混ぜる。

味見。
ちょっと甘さが足りない。西京味噌を足す。
砂糖も。


OK。

大根を温める。

一つ、皿に取り、肉味噌ものせる。

出来上がり。

鰹と昆布の佃煮も出す。

ビールを開けて、食べる。

大根も味が十分染みている。

変わったものではない、ノーマルなふろふき大根だが、
うまいものである。
三つとも平らげてしまった。

 

 

 

新作歌舞伎[風の谷のナウシカ]ディレービューイングとトップス・銀座店

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2月17日(月)第一食

さて、月曜日。

今日は、AM11時、銀座というのか、築地の東劇へ。

12月に新橋演舞場で行われた新作歌舞伎[風の谷のナウシカ]の
ディレービューイング
を観に行く。

ディレービューイングといっても、シネマ歌舞伎、映画である。
シネマ歌舞伎というのは、松竹で他の演目でもやっている
歌舞伎の舞台を撮影して映画にし、映画館で上演しているもの。

主演の尾上菊之助が公演中、怪我をし、一公演だけ
休演したのがニュースになっていた。

あのジブリの名作「ナウシカ」を歌舞伎化したのは、
話題でもあったと思うし、菊之助は40代前後の役者の中でも
私は贔屓にしている。
前売り4000円、シネマ歌舞伎になったのであれば、
観てみようか、と考えた。

公演は昼夜別で計6時間。今日のシネマ歌舞伎はその前半。

私はジブリフリークではない。アニメ好き・オタクでもない。
だがさすがに「ナウシカ」はTVであるがなん回か観たことはある。

が、今回このシネマ歌舞伎を観てわかったのだが、
映画の歌舞伎化ではなく、原作コミックス全7巻の歌舞伎化で
あった。知らずにきてしまった。

かなり複雑な筋。

菊之助の強い希望でコミックス全巻を歌舞伎化した、ともいうが、
もしかして、菊之助宮崎駿マニア?。
つまり、かなりマニアックなものであった。
評ぐらい、探して読んでくるのであった。

ただ、筋は複雑だが、舞台はよくできていたのではなかろうか。

私自身、猿之助が演っているスーパー歌舞伎「ワンピース」あるいは、
新作歌舞伎「NARUTO」なども観たことはない。
あるいは、歌舞伎座でたまに上演される、新作は観たことはあるが、
今一つ、という印象がぬぐえない。

古典歌舞伎を新作が越えられるのか、などと考えてもしまう。
落語でも、どうしても古典を上にみてしまう。ある意味古典至上主義。

だが、新作、古典は別のもの。まあ、そこまで硬く考えなくても
よいとも本当は考えてもいるのではあるが。

宮崎作品は歌舞伎に合ってるのでは、なかろうか。

ストーリーにしてもディテールにしても、氏はいわゆる
コテコテの和風の作風ではないのだが、日本人のメンタルに
根差していることは間違いない。
作品の世界観、小道具なども中央アジアっぽくしているが
やはり日本人の馴染み深さを随所に持っている。

見得だったり、花道の六方(弁慶が片足でポンポンと
飛びながら引っ込む、あれ。)など、違和感なく歌舞伎の
様式が「ナウシカ」に溶け込んでいた。いや、それ以上に、
相乗効果として引き立て合っていたと感じた。

宮崎作品の舞台化というのは、過去、ほぼ許可されていない
という。
歌舞伎で、菊之助だから、からか。

七之助もよかったのではなかろうか。
歌舞伎座でも立女形に向けて奮闘しているようだが、
このところの芸の進捗を感じられたと思う。

よかった。
だが、いかんせん、マニアックさは否めない。
このマニアックさがよいのかもしれぬが。
後半も観るかどうかは、、考え中である。

さて。
観終わって、14時。

遅くなったが、第一食。

カレーが食べたいと、考えてきた。
銀座には[デリー]などもあるが、インドカレーではなく、
欧風カレーがよい。

そこで、選んだのは[トップス]。

チョコレートケーキとカレーの赤坂[トップス]の
銀座店。
昔から三越松屋の間の三和ビルの地下に入っている。

ここ、意外に知られていないと思うのだが、池波レシピ。

先般も引いたが「池波正太郎の銀座日記(全)」

に出てくる。
ただ、先生の書かれているのは、ドライカレーとブルーベリー
シャーベットではある。店員が親切だとほめている。

先生は映画フリークでも有名で試写会の後、銀座で
買い物と食事ということをよくしていた。

映画の後、銀座の[トップス]でカレーは、なんとなく
なぞっている感じもしてよい、ではないか。

地下。
入ると、ちょっとうなぎの寝床のような奥深い席に
案内される。

池波先生は、ドライカレーであったが、欧風カレー。
せっかくなので「国産牛ほほ肉 プレミアムカレー」
スープ付き、2350円也であったか、を頼む。

スープ。

濃厚なかぼちゃのポタージュ。

きた。

ご飯にポットからスプーンで一杯かける。

左上が薬味。ピクルス、福神漬け、チーズ。

皿にのっているご飯は少量。
銀色のふた付きの皿で、別にお替りのご飯。
別にしているのは、ご飯はたくさんいりません、という
マダムのためか。

辛味はかなり少ない欧風カレーだが、デミグラスソースのようで
かなり濃厚。ただ、なにかの味が突出しておらず、
バランスと取れた味。

ゴロっと大きな牛ほほ肉。

むろん柔らかく煮込まれており、ほほ肉なのでねっとりうまい。
ほとんどフレンチ。値段だけのことはある。

うまいので、バクバク食べてしまう。
ご飯、お替りができるが、もちろんやめる。

うまかった、うまかった。

ご馳走様でした。

 

トップス

03-3535-5221
中央区銀座4-6-1 銀座三和ビル B1F

 

 

浅草・洋食・ヨシカミ

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2月16日(日)第二食

日曜日。

浅草六区の洋食や[ヨシカミ]。

日曜日は珍しいかもしれない。

昼間は、行列だが夜であればと思ってきてみた。

18時すぎ。

雨がしょぼしょぼ。

今日は一日降ったりやんだり。
だが、気温はさほど低くはない。

店に着くと、やはりこの時刻、列はない。

ドアを開けて入る。

外に列はなかったが、さすがに中は一杯。

だが、カウンターには余裕があり、
開いていたカウンターの奥へ案内される。

カウンターの向こう側は調理場。

掛ける前に、前のお兄さんが、メニューを置いてくれる。

いつものことだが、ここにくるときには
決めてくる。

ご存知、毎度お馴染み、チキンライス!。

ここ以外の洋食やでも、必ずチキンライスを頼む。

好物であるし、ここのものは、味が濃く、
東京の他のどの洋食やと比べても、私の好み。

もう一品。

コンビネーションサラダもここでは定番である。
ここのものは、マヨネーズがおそらく自家製で
酸っぱさが抑えられたもので、うまい、
のである。

が、今日は、ポークのカツレツ。
なんでであろうか、自分でもよくわからぬが、
食べたくなった。

ポークカツレツのここのメニュー名は、
ロースカツレツ。

ちなみに、ロース以外にヒレのカツレツ、
同じくヒレの一口カツレツもここにはある。

と、いうことで、メニューを開くが、
ポークカツレツ→ロースカツレツを確認するだけで
ビール中瓶、チキンライス、ロースカツレツを
頼む。

ビールがくる。

ここは、というよりは、浅草では、アサヒビール
地元だけあって、スーパードライ

お通しは、塩味の揚げ餅。

例によって、目の前で忙しく立ち働く料理人達の
仕事ぶりを眺める。

これがなにより、愉しい。

ここは狭いわりに料理人の数が多い。

私の目の前が二口の大きなガス。

そこでフライパンを振る。
時折、油のはねているフライパンを持ったまま
後ろを向く。
後ろにも別の料理人がいる。
あやうく接触しそうになるが、むろん、そんなことはない。

私の、らしい、チキンライスを作り始めた。

1mというのは、大袈裟だが、40cm以上は
ご飯が、宙に舞っているだろう。

かかれば、すぐに出来あがる。

先に、チキンライスがきてしまった。

揚げ物は目の前の調理場ではなく、奥なので、進行具合が
わからない。

さほど時間差なく、きた。

ロースカツレツ。

たっぷりかかったデミグラスソース。

ラードであろうか、いい香り。

細かめのパン粉。揚げあがり軽め。
ちょっと薄め。
とんかつとは、一線を画す、洋食やのポークカツレツ。

苦みの少ないうまいデミグラスソース。
パリッとした衣。

ビールによく合う、
うまいロースカツレツ。

ビールを呑み終わり、
ロースカツレツを片付けてから、
チキンライス。

毎度食べて、毎度書いているので、
今さらではあるが、うまい。

やはり、この濃い味がよいのである。

カツレツにしたので、今の私には、ちょっと
量が多かったが、むろん、平らげる。

今日もうまかった、うまかった。

ご馳走様でした。

 

 


ヨシカミ

台東区浅草1-41-4
03-3841-1802