浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



ますのすけとわらび

4558号

5月8日(水)夜

最高気温は23.8℃(10時30分)。

ただ、夕方に向け気温が下がり、雨も降る
との予報。
前線が通過するのか。

上野方面に出たついでに、吉池に寄ってみる。

ん!。
ちょっと珍しいものを見つけた。

“ますのすけ”。
ご存知であろうか。

鮭の類なのだが、北海道で獲れるのはレア。
実は、キングサーモンなのだが、北海道で
獲れると、ますのすけと呼ばれる。

主にもっと北のアラスカ付近の北太平洋にいるのだが、
稀に北海道周辺にも回遊し、それがますのすけ、
と呼ばれる。

生で、一切れ780円が半額。
希少なので、ほんとは高価。
買ってみよう。

地下へまわり、野菜もみる。

生のわらびとアスパラ。

どちらも今が旬。
買ってみよう。

わらびというのを買うのは初めて。

さて。

わらびというと、落語「愛宕山」に
こんなものが出てくる。

さわらびの握りこぶしを振り上げて 山の頬ずら春風と拭く

短歌、和歌、あるいは狂歌になるのか。
有名なものであろう。
わらびの先を、握りこぶしに例えているが、
なかなかよいではないか。
古典であるが、初夏らしい佳作だと思う。

作者はなんと、かの蜀山人太田南畝先生。
落語などに出てくる、蜀山人作と呼ばれるものは
眉唾のものがほとんどなのだが、これは本物のよう。
出典も「巴人集」と、はっきりしている。
(落語は、頬ずらといっているが、横づら、
が正しいよう。)

わらび、ぜんまいと、どちらも今が旬の定番山菜だが
どちらも、シダ類。
シダ類を食べてしまうのは、よく考えると、なかなか
なものであろう。
日本人も食べるが、朝鮮半島、中国でも食べる。
世界中でシダ類はどれだけ食べられているのであろうか。
欧米ではあまり聞かぬのではなかろうか。

買ってきたわらびは、山形のもの。
調べると、さすがに山で採ってきたものではなく
ちゃんと畑で栽培されているよう。

アクが強いので、ゆでる時に、重曹を入れるよう。

重曹はないので、主成分が重曹のベーキング
パウダーで代用してみよう。

小さじ1強のベーキングパウダー。

ゆでて、冷ましながら6時間置かなければいけないよう。

ますのすけは、どうするのがよいのだろう。
魚焼きグリルで塩焼き?。
フライパンでオリーブオイルで焼く?。

オリーブオイルでいってみるか。

アスパラはゆでておく。

ますのすけ。

水で洗って、両面、塩。

たっぷりのオリーブオイル。
ますのすけを投入。

上から熱くなった油を掛けながら、焼く。

両面こんがり。

気持ち、くっついてしまった。

ますのすけ、アスパラ、まだ早いかもしれぬが、
わらび、どうであろうか。
たけのこなども、最近は糠など入れなくとも、
アクが残ることはない。
だいじょうぶかも。削り節としょうゆをかけて
添える。
アスパラには、マヨネーズ。

出来上がり。

ビールを開けて、食べる。

まず、ますのすけ。

いわゆるキングサーモンなので、ほんとは
日本のノーマルな銀鮭よりも脂があってよい、
のではないか、と、思って食べたので、
ちょっと物足りない印象。

こんなものであろうか。
この切り身は、背側だと思うが、それもあったか。

このくらいであれば、ムニエルにして、
タルタルでも付ければよかった、か。

わらび。
これはちょっと、なめていた。
置いた時間は1時間もなかったが、さすがに
アクは抜けておらず、渋かった。
もう一度、ベーキングパウダーを入れて
ゆで直し、翌日まで置いた。
で、リカバー。
うまく食えるようになった。
一般に売っている水煮よりは、生からのものは
流石に、うまい。

 

 

 

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