4426号
引き続き、竹富島。
「断腸亭の夏休み」も、16回、四週間目に突入し、
10月も中旬になってしまった。まあ年に一度『特別編』
ということで、お許し願いたい。
沖縄、もしくは八重山というところ。
やはり、私にはとても興味深い。
もちろん、日本語が通じ、日本円が使える。
間違いなく、日本なのだが、やはり、文化的には
異なったところなのである。
その背景となっている、海、陸、の自然環境も違う。
魚、花や木、草、虫も違う。
気候も違えば、食べ物も違う。
もちろん、言葉も違う。
だが、それでもさかのぼったルーツは十分に
日本人に近い。
沖縄=琉球・八重山人以外にも日本人、いわゆる
大和人・和人の隣接した民族は他に二つある。
北海道など東北日本のアイヌ民族、そして朝鮮民族。
それぞれ、歴史的に違った関わりを持ってきた。
アイヌの人々は大和国の江戸期末まで狩猟採集を行い文字を
持たなかった。
朝鮮の人々は中国の隣でむしろ和人よりもずっと先に
文明化され、弥生時代から五、六世紀まで倭国は、
国成立以前の稲作に始まり、文字、仏教その他、文化、
文明を学ぶ先達であった。
琉球・八重山民族は、王国統一が1429年と大和国の
室町時代。時代的には1000年弱遅かったが、それでも
文字を持ちかつ周辺国と外交関係を持ち、数百年
王国として経営されてきた。
それぞれの地政学的位置が違い、社会・文化発展の
時期が違い、皆さんご存知の現代に通じる大和との
関係になっている。
こんなにも違うのか、と思うほど。
さて。
今日は諸事情でダイビングをキャンセルした。
竹富では二日間の予定だったが、結局一日に。
昼飯を食いに[星のや]の巡回バスに乗って
集落に一番近いところで降りて、集落の方へ。
まあ、とにかく暑い。
おそらく、気温としては32~3℃なのであろうが、
今日は、それこそ雲一つない快晴なので、日差しが
ものすごく強い。ローカルの人々は男女問わず
色が真っ黒だが、そういうことなのであろう。
集落の入口にこんなもの。
案内看板が立っている。
国立公園だがらであろう、環境省。
この一里塚のようなものがスマンシャーというよう。
集落、ここは東集落、の入口に石垣で囲んだ中に太い木。
この木も福木?、わからぬが。
集落の外と中を分ける目印という。
風水思想の影響もあるというが、集落中に「病魔や凶事が」
入らないようにするもの、と。
こういう境になにかを建てるというのは、
日本国内でもそう、ないことではない。
恒常的に置いている、ということは、多くはないが
例えば、日本の場合はお祭りの時などに表れたりする。
私の住む台東区の鳥越祭では、お神輿を町から町に
継いで担ぐのだが、祭の時には隣町との境に
注連縄を張って、そこで神輿を受け渡す。
また、日本各地にあるが、どんど焼き、などと
いう正月15日・小正月に行われる、火祭。
多くは、正月飾りを燃やすが、今は、神社で
行うところも多いが、元来は、ムラの境で
行うものと考えてよろしかろう。
この行事自体を、サイノカミ(境の神)という
ところもある。祭の目的はやはり厄払いで、ある。
これが、実際の竹富島の集落の家屋。
これぞ、伝統的。
サンゴの石垣に赤瓦。
[星のや]のものよりも石垣の高さが低いよう。
これが本来なのであろう。
これ、竹富郵便局。
郵便局まで赤瓦。
ヒンブンに、屋根正面にちゃーぁんと一体のシーサーも。
暑いので、とにかくどこかに入ろう。
[かにふ]というちょっとちゃんとしたレストラン。
エアコン完備。
やっぱり、ビール。
暑いので、生き返る。
もらったのは、タコライス、スープ付き、と
毎度お馴染み、そば。
ここは八重山なので、沖縄そばではなく、八重山そば
というのが正しいのかもしれぬが、メニュー上は
わかりやすく、なのか、沖縄そば。
白く細いのは練り物で、サイコロ状のものは、豚肉。
そばはどこでも、安心して食べられる。
うまいもんである。
タコライスというのは、内地でも最近は認知され
お洒落なカフェメシになっているが、沖縄では、
随分前からよく食べられている料理である。
レタスが散らされ、下にはご飯。その上に挽肉の
入っている“タコ”のソース。そしてチーズが
散らされている。
とうもろこしや小麦の皮で、ちょっとスパイシーな
トマト系のタコソースに肉、生野菜などの具材を
はさんで食べるのがタコス、で、ある。むろん
ご存知メキシコ料理だが、アメリカでもよく
食べられている。
そして、このタコライスは、メキシコでもなく、
アメリカ本土でもなく、ハワイでもなく、沖縄発祥で
あるという。
戦後の米軍統治下以降、彼らの影響でアメリカ流の
タコスが沖縄に移入され、その具材とソースをご飯に
掛けて食べるという、タコライスが生まれた、と。
つづく
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