浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



〆鯖のにぎり鮨・赤酢の酢飯で その3

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引き続き、赤酢の鮨。

〆鯖の話であった。

水と半割の酢で塩抜き兼、漬けを行う方法。
これを去年からしているのだが、どうもこれ、いい感じなのである。

塩が抜けるだけでなく、通常の酢で漬けるだけでは入らない中心部にも
どうも酢が入っている。不思議ではないか。

こうなると最初の塩がなくてもいいのではないか、とも思えてくる。
なんであろうか、これは。
塩を全くしなくても、半割であれば、酢が入る?。
そんな気もしてくるではないか。

このあたりのこと、サイエンティフィックなメカニズムも
含めてきれいに説明できる人はいるのであろうか。
(ガッテンか)

身近なことだと思うが、意外に難しい。
今度、塩まったくなしで、半割に漬けてみようかしら。
どんなことになるのか。

〆鯖のにぎりはさらに四つにぎって食べてしまう。

〆鯖もよいし赤酢の酢飯も予想以上にうまかった。
ただ、〆鯖。
〆鯖だけで食べてみてもいるのだが、これはもう一つ。
特に、しょうゆもわさびもつけずに食べたものと、
つけないものの差。
しょうゆをつけないとイマサン。
生ぐささなのか、味が足らない、のか、、原因はわからぬが。

さて。
もう一つ買っていた、マグロ。

赤酢の酢飯で鉄火巻も巻いてみる。

むろん細巻である。

マグロを用意。
切り落としなので、細巻によさそうな細いものもあって、
そのまま使えそう。

海苔一枚を半分に折って切る。

もちろん、長手方向を縦に置いて、半分である。
これが細巻。
(これをさらに九十度まわして太く巻く鉄火巻も、
柳橋[美家古鮨]にはある。なぜ太くして巻くかというと、
お腹をすかせた働く男達のためだそうである。)

余談だが、この海苔一枚全形のサイズは21cm×19cm。
なにに由来しているのか、ちょっと疑問に思って調べてみた。
海苔の問屋さんのページに答えがあった。

江戸期、海苔の養殖、製造販売が江戸湾で始まったわけだが、
その頃のこと。物資の輸送は大八車。大八車も大きさが決まっていた
のであろう。ここにきれいに積める海苔の箱が規格化され、
ここから一枚のサイズが決まってきたという。合理的である。
大森で作られたものなので、大森小判という名前の規格で、
今の大きさはほぼこれらしい。

海苔の大きさ形で、海苔巻の太さ、長さは決まっているのだが、
なんと大八車から由来していた、というのはおもしろい。

ともあれ。

巻き簾を用意。

海苔はご存知の通り表裏があるので気を付けて、
表を下にして巻き簾の上に置く。

手を湿らせ、赤酢の酢飯を取り、海苔の上に広げる。

上側に糊しろ部分を少し開ける。

できるだけ薄く広げるのがよいのだろう。

マグロを並べ、わさびも塗る。

巻く動作は、なかなか文章で描写できない。

まあ、にぎりだけでなく、これも習ったわけでもなく、
プロが巻いているのを鮨やで見ていただけで、完全に自己流。

一応、手前にギュッと引いて巻き締める。

出来た。

刺身包丁で切る。

かんぴょう巻以外は八つ切り。
かんぴょう巻は六つ切り。
鮨やではそう決まっている。
理由を調べたのだが、わかっていない。
私の仮説は、かんぴょう巻が巻物では最も古く、
やっぱりお腹を一杯にしたいというニーズから、
なのではないか、と。

包丁に蛇口から水をつけ、縦にし、下にたらし、
まず、中央を切る。
ためらわず、軽く引きながらザクっと。
まあ、まあ、ちゃんと切れたか。

皿に。

うーん、もう一つか。
巻き方も、切り方も。
にぎりの方がまだ機会が多い。もっと稽古をしないと
だめである。

端っこの方ももう少しきちんと酢飯を置いておく必要が
あったか。下段右端のものは酢飯が少なく切る時に
形が崩れてしまっている。

さて、味。
味はまあ、鉄火巻
〆鯖のにぎりでも書いたが、見た目ほどは大幅に酢飯の味は
違わない。こんな色なのでしょうゆをつけないでも味がありそうだが
やはりしょうゆは必要。

さて、赤酢のこと。
透明な米酢や穀物酢よりも旨味が多いことは間違いなかろう。
ただ、粘度が高くそのままでは飯全体に混ざり切らないくらい
使いずらい。やはり米酢などと割る必要がある。
次は、半割で試そう。

もう一つ、赤酢の値段のこと。
あまり作られておらず、高いと書いたが、今回のものは、
150mlで500円を超えていた。調べると岐阜のメーカーのものが
アマゾンで500mlで500円であって、さっそく取り寄せてみた。
味が違うのかどうか。

今回のものはもう一回使えば終わってしまいそうである。
しばらくは、赤酢を使ってみよう。