浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



五反田・立ち喰い鮨・都々井

dancyotei2016-11-21

11月15日(火)夜

さて、叔母の葬儀やらでバタバタ。

後始末はまだまだこれから、で、ある。

ともあれ、オフィスの帰り、

今日はなにを食べよう。

鮨にしようか。

久しぶりに、五反田駅前の立ち喰い[都々井]に

ちょいと、寄っていこうか。

今、立ち喰い鮨というと、チェーンのものがあるが、

あれは駄目である。

種はほぼ回っている鮨と同レベルであろう。

鮨も、立ち喰いそば同様、個人営業のところがよい。

それこそ、東京で鮨といえば発祥は立ち喰いであり、

昔はもっともっと、あったのであろう。

今はチェーンを除けば数えるほどだと思われる。

(個人経営の)立ち喰い鮨のなにがいいのか。

むろん、安いというのが真っ先に挙げられよう。

しかし、ただ安いのであれば、別段回転寿司でも

よいわけである。

私は地方以外は回転寿司には行かないことにしている。

(北陸だの、北海道、三陸、、地魚を使っている

地方の回転寿司は、うまい。もちろんこれらは除いて、

で、ある。)

先にも書いたが、回転寿司もチェーンだが、

種が違う。

どう違うのか。

むろん、そこそこ食べられる種もなくはない。

例えば、マグロ。

近海の生でなければ、どこで食べても冷凍もので

味に大きな差は生まれようがない。

また、光物。

これも本来安い種なので、冷凍ものなどなかろうし

回転寿司でも一定以上の味にはなるのであろう。

問題は、それ以外。

チェーンというのはどうしたって大量に仕入れて

セントラルキッチンのようなところで一気に下拵えして

いると思われる。

あるいは、そういうものを買ってくる。

例えば、回転寿司(に限らないが)によくある種で

えんがわというのがある。

普通鮨やで、えんがわといえば、むろん平目のえんがわである。

当然、高級ネタ。

しかし、回転寿司ではそんな高価なものが出てくるわけがない。

妙に脂だけ強くて、とても食べられたものではない。

北海道や、北洋で獲れる巨大な鰈、オヒョウやアブラガレイ

というもののエンガワが冷凍されて入ってきているという。

もはや日本の回転寿司は世界の水産産業が支えている

といってよいのであろう。

と、まあ、いかに安くとも、回転寿司チェーンは

私は行かない。

では、普通の鮨やに行けばよいのだが、

値段の問題ではなく、普通の鮨やではそこそこ面倒

ではないか。

予約もしなければいけないし、

ちょいと寄って、つまんで、というわけにはいかない。

気合を入れずに、軽く鮨が食いたいという気分のことがある

ではないか。

また、本来そういうものでもあったわけである。

と、いうことで、五反田駅前の[都々井]。

7時前、店に入る。

ここは鋭角の頂点を持った不思議なカウンター。

(まあ、店が三角形だからなのだが。)

瓶ビールをもらって、

まぐろ、鰯、鯵。



浅草橋の[美家古鮨]も同様だが、カウンターに

手を洗うための水道の蛇口がある。

ここはさほど古くは見えないが、そういう意味では

東京の古い立ち喰い鮨やの形をきちんと踏襲している

といってよろしかろう。

やはり、鰯や鯵などは問題なくうまい。

鰹。

季節的には脂のある戻り鰹のはずだが、脂はない。

初鰹とも違うのであろうが、さっぱりとして、うまい。

もう一回、光物。

小肌に秋刀魚。

秋刀魚はばかうま。

小肌は、好みもあろうが、私はもう一つ。

自家製であろうか、〆方が浅い。

シマアジ

養殖ものではあろう。

シマアジというのは、養殖と天然を見分けるのがかなり

難しい。まあ、逆にいえば、養殖でも十分食える、

のである。

いか。

スルメイカ、というのも品書きにはあったのだが、

ただ、いか、と、いって出てきたもの。

これは、そのスルメイカにしておけばよかったかもしれぬ。

冷凍もの?、なにか薬品のような匂いが微かにした。

刺身用のいかも冷凍で出回っている。

ロッコあたりのコウイカの仲間を先のエンガワ同様、

産業として大量に加工しているもの、なのであろう。

ここにも、こういう種があるということは、

覚えておかねばならない。

やはり、よほど、注意が必要ということである。

ともあれ。

腹一杯。

勘定は2000円ちょい。



充分である。



御馳走様でした。









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