7月25日(土)昼
土曜日。
突然であるが、皆さんは牛丼はお好きであろうか。
ご存知の[吉野家]だの[すき家]だの、チェーンのもの、
で、ある。
私は、きらいではない。
いや、むしろ好きといってもよいかもしれぬ。
30代の頃であろうか一週間に1回程度の頻度で
食べていたこともあったと思うし、今でも、
ごくたまににではあるが、時間がない昼飯などに
食べることはある。
うまいもの、で、ある。
そしてまた、時として無性に“あの味”が食べたくなることがある。
昨夜、無性に食べたくなり、帰り道にハナマサに寄って
牛のバラスライスを買ってきていた。
牛丼を出すチェーンは先の二つ以外にもまだいくつか
あるが、味は違っていようか。
微妙に違うような気もする。
また、時代によっても違ってきたのではあるまいか。
自分自身の舌が変わった可能性もむろんあるが、
一番の老舗の[吉野家]で考えても、私が20代の頃と
今とでは違うような気はする。
しかし、あの牛丼のうまさはなんであろうか。
具は牛肉と玉ねぎのみ。
いさぎよい、ともいえよう。
すき焼きの具であれば白滝だの、豆腐などが入ってもよさそうだが
それもなく、また野菜も玉ねぎでなくて、長ねぎでもよさそうである。
むろん、いろいろな材料を入れればそれだけコスト高には
なろうし、好き嫌いもあるかもしれない。
今は女性も食べるし、高齢者もよく見かけるが、
当初の主要なターゲットは10代〜30代くらいまでの男性、
ではなかったろうか。
このあたりであれば、やっぱり、肉、であろう。
余計な具材は不要。なにはなくとも肉だけが入っているのが、
私なども初めて食べた時には魅力に感じた覚えがある。
野菜も、長ねぎは玉ねぎよりも煮崩れるのが早いと思われ、
作り置きには向かなそうである。
また、他の野菜を入れるのも同じくコスト高になろう。
もう一つ、牛肉の種類。
[吉野家]は確かアメリカ産一本で、狂牛病の頃に
アメリカからの輸入が止まった時には販売をやめたり、
豚丼を出していたこともあったか。
ハナマサではいつも脂のある豚の三枚肉のような
バラのスライス、主にアメリカ産、を売っている。
おそらく、この肉が牛丼チェーンで使っている肉に
近いのであろう。
これを買ってきたわけである。
さて、最大の問題はつゆの味付け。
しょうゆベースで濃いめの味付けだが、
見た目にはしょうゆの色は濃くついてはいない。
濃口しょうゆ、酒、砂糖。
これに各チェーンさまざまな秘伝、工夫があるのであろう。
だがまあ、やってみるしかなかろう。
牛バラ肉は薄いスライスなのですぐに火が通りそう。
玉ねぎから時間差をつけた方がよさそうである。
玉ねぎを厚めに切って、鍋に入れる。
しょうゆを先に入れると色が付きすぎるので
後にし、水、日本酒、赤ワイン。
赤ワインはちょっと思いついたのである。
大昔に[吉野家]のものには、赤ワインが入っている、
と、いうのを聞いたことがあったからである。
これでしんなりするまで煮る。
玉ねぎの煮え具合ももう一つのポイントの
ように思う。
味が染みずぎず、クタクタにはならないくらい。
それで、肉を煮る時間も計算して、
しんなりしてきたら、砂糖、濃口しょうゆ。
たまりしょうゆも少し入れてみる。
味見。
色が付きすぎるのも牛丼のイメージではないので
多少控えめにし、砂糖はしっかり入れてみる。
牛肉も投入。
肉に火が通り、味が馴染めばよいだろう。
火の通しすぎはやはり、いけなかろう。
皿に盛り付ける。
今日は、酒の肴なので丼ではなく、具だけ。
本来であれば紅しょうがなのであろうが、私は
紅しょうがはちょいと苦手。
いつもの京都の柴漬けも出す。
ビールを抜いて食べる。
肉も玉ねぎも煮え具合は狙ったところにきている。
つゆの味はどうであろうか。
ちょっと色が濃いようには思うのだが、
やはり甘みを多少強めにしたのはよかった。
80点くらいであろうか。
まあ、上々。
あとで調べると[吉野家]は隠し味程度なのであろう、
しょうがを入れているという。
今度試してみようか。