浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭の夏休み「セイシェル」その7

dancyotei2014-08-27



引き続き、セイシェル三日目。

二回目のダイビングが終わって、同じように1時すぎ、
部屋に戻り、シャワーを浴びて、着替える。

昼飯。

最近はどこのリゾート、まあそこそこ以上のところなのか、
鮨、いやSushiを出すレストランはある。
もはや、欠かすことができない料理になっていると
いってよろしかろう。

ここにも昼だけだが、Sushiを出すところがある。

内儀(かみ)さんなどは、あんたはきっと怒るだろうから
やめたら、というが、やはり、話の種に
一応のところ覗いておかねばなるまい。

Sushiのレストランは我々のヴィラのビーチの端っこ。
ビーチ脇の木陰を歩いていく。

プールが脇にあり、なかなか寛げるところ。

プールでは欧州人の若い夫婦が小さな子供を遊ばせているのが
見える。

奥に、Sushiのカウンターがあり、東南アジア系とみられる
短髪の男性の料理人が立っている。
彼がにぎるようである。

カウンターに座るのかと思ったら、プールサイドの
テーブル席に案内された。

いつも通り、ビール。


ローカルビールのセイブリューには缶のものもある。

メニューをもらい、ウエイターのお兄さんに説明を聞く。
Nigiri、Maki、Sashimi、それらのセットなどあるようだが
実際にどんなものなのか、今一つ要領を得ない。

Sashimiではないものを二人、違うメニューをテキトウに
頼んでみる。

ウエイターのお兄さんが細長い、陶器の器になにやら入ったものを
持ってくる。

器にはねぎ、椎茸、わかめ、小さく切った豆腐。

味噌汁か!。

そこにウイエター君は、得意げに、土瓶のようなものから
具のない味噌汁を注ぐ。

なにかパフォーマンスのつもりのようである。

スプーンが添えられ、こんな感じ。

ちょっと飲んでみると、これがぬるい。

得意げに、大真面目に、これをしているというのは、
怒るというよりは、笑ってしまった。
まさに珍妙である。
(具と汁を別しているのもインスタントを表明しているようで
そもそもヘンである。)

先にもってくるというのは、文字通りスープ扱い
なのであろう。

日本人とすれば先に味噌汁を飲むというのは、
どうしても受け入れがたい。

しばらく飲まないでいたら、ウエイターのお兄さんが
様子をうかがいにきた。

彼はやはり味噌汁を先に飲むのを待っていたようである。

我々日本人は、味噌汁は食事と同時、または後に
飲むものだよ、といってみた。

一応は理解をしたようで、二人のSushiを持ってきた。

 

 

食べてみると、意外に(?)味はわるくない。

海外で食べるSushi、というのは、酷いものもある。
いつであったか、ParisだかRomeの空港でパックに入ったものを
安くない値段で買ったのだが、これがとても
食べられる代物ではなかったことがあった。

大方の食べられないものは、酢飯がヘンなもの。
ポロポロだったり固まっていたり、等々で、ある。
酢飯がある程度のものなら種(たね)はともかく
食べられる。

そのあたり、酢飯の塩梅がちゃんとできる兄ちゃんのようである。

にぎりの方は、サーモンとまぐろ、そして白身
白身はなんのものかはわからないが、わるくない。
インド洋には生でうまく食べられる白身は少なくないので
どれか、なのであろう。

まぐろはインド洋はまさに本場。
普通の脂のない赤身で、生かどうかはわからぬ、
さっぱりしているのであるいは、キハダかもしれぬが、
普通に、食べられる。

ただし、サーモンの方は今一つ。
外国人にはサーモンは食べやすい種の一つなのであろう。
ただ、ここのサーモンはスモーク臭が強い。
日本のサーモンのにぎりも、出始めの頃は、
いわゆるスモークサーモンであったように思うが、
今は生に近い(解凍?)ものでスモーク臭はほとんど
しなくなっていると思われる。

Maki、の方。
これは見た通りカリフォルニアロールのような
海苔を中にしたいわゆる裏巻。

上にはマヨネーズで和えたまぐろと飛子と、
なぜか天かすがのせてある。
別段これも普通に食べられる。
だがまあ、回転ずしにもありそうなものではあろう。

ある種、怖いもの見たさで食べにきているような
感じであるが、今日のは傑作、で、あろう。

セイシェルにはほとんど日本人もこないし、
このリゾートにはまず年になん人もこないのであろう。
(バギーの運転をしている兄ちゃんと話をしていたら、
中国人か?聞かれたくらいで、中国人、韓国人、などとも
区別は付かない、いや、彼らには区別を付ける必要もない
のかもしれぬ。)

スープに見立てた味噌汁を目の前で注ぐパフォーマンスの
滑稽さはまあ、ほとんどのお客にはわかるまい。
(ウエイターのお兄ちゃんなどは、話している感じでは、
Sushiがそもそも日本の料理というのすら知っているかどうかすら
怪しいように思われた。)

ただ、日本人にはやらない方がよいだろう。

世界は広い。
いろいろなことに出会えるということであろう。


つづく。